Victor SX-1000LABO
 


年輪の旋律。
音楽を友として、いったいどれだけの時間が流れただろう。旋律は、
ときとして甘い記憶であり。また、ときに苦い議論の対象でもあった。
およそ人の作り得た芸術のなかでも音楽ほど胸にじかに触れるもの
はない。だからこそ人は、自身の錨を下ろす最高の音を求めてやま
ないのでしょう。音楽と重ねてきた年輪の、道程。彷徨。それは、はか
らずもビクターの音作りの歳月でもありました。そして、技術の蓄
積という年輪の頂点に、いま一対の音が刻まれます。SX-1000
Laboratory。音の周囲の空気感まで、また演奏家が楽器にこ
めた心の動きまで、目を閉じるとくっきりと見えてくる。そんな、
なかば夢として語られてきた原音再生への思い。それが、工房のすべ
ての気持ちをダイヤモンド振動版という究極の高域描写へと向か
わせ、そして、また貴重なバーズアイをふんだんに奢ったキャビネット
に、工芸品にも勝る完成度と豊かな響きを与えました。木が自らに
年輪を重ねるように、ときに非効率とさえ思える長い工程のひとつ
ひとつに刻まれた、音楽への尽きぬ情熱と技術。そのハーモニーが
奏でるのは、芳醇、重厚、繊細、透明。一対一対、手作りによってのみ
生まれるそれは、その非凡なたたずまいとともに、音楽を生涯の友と
してきた毅然たるオーナーに出逢うことを、みずからの名誉とします。
今宵、音楽をかたわらに年輪を刻んだもの同士が、邂逅する部屋。
そこから漏れる光は、きっと誰の眼にも、あたたかく親密である。



1995年頃に発売しました。
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