オーディオの足跡

F280Aの画像
 解説 

大型のウッドホーン。

従来のホーンはカットオフ周波数に対して開口部の開き寸法が狭いものが多く、1kHz以下で周波数レスポンスが低下したものが大部分でしたが、F280Aでは外形寸法・開口面積に比べてカットオフ周波数を高めに設定すると共に、その広がりにハイパーボリックカーブを採用し、カットオフ周波数である280Hz付近までほぼフラットでワイドな周波数特性を得ています。

上下板は810x470x142mmという極めて大きなミズメ桜の集成材ブロックから削り出すという方法で制作されています。これはほぼ木製削り出しホーンとしては最大限のもので、削り出しとすることで殆どホーン鳴きが鳴く、大型ホーンに付きものだったホーン鳴きから開放された澄んだ再生音を得ています。
F280Aの重量は37kgありますが、ホーンの全構成部分をウッドブロックからの削り出しによっているため、原木状態では1本当り約250kg近い木材が必要となります。それを集成材とすると約1/3の80kgとなり、さらにホーン形状に削り出すことで37kgとしています。

集成材の板材を音の伝達速度が優れた前後方向に向けた縦方向使いとしています。これにより音の広がりや音放れが良く、クリアでスピード感のある音を実現しています。

内部のセパレーターフィンは音道の中にあり、薄くて強度的に弱くなりやすい箇所なので、鳴きの問題が起きやすくなります。F280Aでは非常に硬く丈夫な黒檀材を使用し、さらに上下板に溝を切ってセパレーターを挟み込む形で組み立てており、十分な強度が確保されています。

ホーンの広がり係数にはハイパーボリックホーンの定数を採用しており、変化定数Tの値を0.6とすることでカットオフ付近まで十分な周波数特性を確保しています。
これによって280Hzというカットオフに対して400Hzクロスと十分に低い周波数までの使用を可能にしています。

山本音響工芸のホーンは内部にセパレーターフィンを持たせたサイドカーブ型のディフラクションホーンの形状を踏襲しています。F280Aではその考え方を維持しながらさらに上下方向の指向性を向上するため、上下方向の開き始める位置を従来ではフィンの終了点からであったところを、もっとスロート近くに寄せ、スロート間近から徐々に開いていくように設計しています。これにより垂直方向の指向性をより低い周波数までコントロールできるようになり、軸上周波数特性を中低音域で向上させ、よりフラットでスムーズな周波数特性を得ることに成功しています。

ホーン部分のどの位置でも寸法的な絞り込みを行っていないため、内部での反射による特性の暴れが無く、スムーズな特性となっています。

砲金製で十分な肉厚を持たせたスロートアダプターを採用しています。
内部の構造は60mmの長さで高さ50x幅60mmの大きさに変換するだけに止めているため、音の広がりを自然にホーンに導き、ドライバーとホーンの接合がしっかりと支えます。砲金は非常に強度が高く、しかも重いため鳴きが少なく、響きも美しいという特長を持っています。
F280Aでは砲金製スロートアダプターにセッティング時に安定するように支柱を立て、ホーン両サイドにセッティングベースを置くことによって3点支持ができるようにしています。

機種の定格
型式 サイドカーブ型ディフラクションホーン
推奨クロスオーバー 400Hz
ホーンのカットオフ周波数 280Hz
指向性 水平90゜
垂直40゜
スロート径 4.9cm
適合ユニット TAD4001、JBL2441、2445J等
ホーンの材質 ミズメ桜集成材
外形寸法 幅806x高さ330x奥行513mm
重量 39kg
付属 砲金製スロートアダプター
3点支持セッティングベース