オーディオの足跡

PR:YAMAHAの製品をヤフオク!で検索
PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

T-6の画像
 解説 

SLLシンセサイザ方式やウルトラリニア・ダイレクトディテクタなどの技術を投入したヤマハ初のデジタルシンセサイザー方式FM/AMチューナー。

FM部の回路構成は、3連ツインバラクタダイオードとデュアルゲートMOS FETによるフロントエンド、ヤマハオリジナルのレゾナンスセラミックフィルタ採用のAUTO DX回路付きIF段、ウルトラリニアダイレクトディテクタ、バイポーラDC NFB+アンチインタフェアレンスPLL+トラッキングタイプパイロットキャンセル回路からなるリアルタイム・デコーダとなっています。
AM部の回路構成は、カスコードRF増幅-差動ミキサ-トリプルチューンIFTとなっています。
さらに、コントロール部には音質を損なわずに操作性の向上を図るため新開発のステーションロックドループ(SLL)ダイレクトデジタルシンセサイザ回路を採用しています。

ヤマハ独自のSLL(ステーションロックドループ)ダイレクトシンセサイザを搭載しています。
このSLLシンセサイザ方式では、チューニングを取るためのバラクタダイオードに加える電圧をダイレクトに基準電圧源からデジタル合成して同調電圧を作り出し、放送を受信するとそのセンター同調点にロックするようにループが形成されています。このような構成とすることで、チューニングのためのDC電圧をダイレクトに合成しているため、シンセサイザ部からチューナ部への妨害がほとんど発生していません。これにより、受信周波数全帯域にわたって妨害による感度の低下、SN比の悪化などが起きません。
また、ロックする周波数が受信機の高周波信号系の最適周波数に合うようになっているため、セットの感度・歪・セパレーションなどの諸特性が一番よくなる状態で受信が可能です。

チューニングシステムは、Up/Downのタッチスイッチによるオートチューニングシステムとなっています。このシステムは表示している周波数より高い周波数を受信する場合はUp、低い周波数を受信したい場合にはDownのスイッチを押すことで自動的に局をサーチし、局にロックするとステーションロックインジケーターが点灯し、最適同調点を維持します。
また、Auto DX回路と連動してオートサーチの感度が自動的に切換り、Auto DXにしておくと電波の弱い局も受信でき、Localにしておくと電波の強い局のみが受信できます。

FM5局、AM5局の合計10局のプリセットチューニングができます。
T-6ではコンデンサによるメモリバックアップ回路を内蔵しており、停電や電源コンセントを抜いた場合でも2日以内ならメモリーの内容が保護されます。
また、最後に受信していた局をメモリーするラストチャンネルメモリー回路を搭載しており、チューナーの電源を一度OFFにして再びONにした場合には最後に受信していた局を受信します。

フロントエンドは、3連ツインバラクタダイオードとデュアルゲートMOS FETにバルンタイプのプリセレクタを付加したローゲインRF増幅と、FETバッファ付き局部発振回路、バイポーラミキサ回路で構成されています。

IF段は、ヤマハ独自の微分利得直視解析法の導入などによって各種妨害排除特性とオーディオ特性の両立を実現した低損失ユニレゾナンスセラミックフィルタとカレントリミッタ付き6段差動増幅IFアンプとで構成されています。さらに、受信する電波環境に合わせて適切な受信モードを自動的に選択する妨害検出型のAuto DX回路を搭載しています。

高音質受信が可能なLocal IF段では、低損失のユニレゾナンスセラミックフィルタ2素子にそれぞれい相補性回路を付加しており、帯域内の微分利得偏差を極小に抑えながら25dBという通常の使用には十分な選択度を得ています。
また、妨害の多い受信環境でハイクオリティ受信を可能にするDX IF段は、低損失のユニレゾナンスセラミックフィルタ4素子で構成されており、実効選択度70dBを確保しつつ定歪化を図っています。
そして、Auto DX回路では、受信電波に対する妨害の有無を電子的に検出し、自動的にIF回路のモード(Local-DX)選択しています。

検波段にはヤマハが開発したウルトラリニアダイレクトディテクタを搭載しています。
ウルトラリニアダイレクトディテクタはFM100%変調時に相当する帯域幅150kHz(P-P)に対し1200kHz(P-P)という広帯域にわたってリニアな検波特性を持ち、帯域内での微分利得偏差も極めて少ない優れた特徴を持っています。
このウルトラリニアダイレクトディテクタは、IFの10.7MHzの信号をパルスカウント検波のようにビートダウンせずにダイレクトに検波しているため、情報伝送能力はパルスカウント検波に比べて5~10倍以上となっています。

MPX回路はHighスルーレイトDCアンプを基本にしたヤマハ独自の高速バイポーラ・DC・NFBスイッチング回路で構成されています。また、サブキャリア発生回路には入力に妨害除去フィルタを入れたアンチインタフェアレンスPLLシステムを採用し、さらにパイロット信号がデコーダに入る前にキャンセルするトラッキングタイプパイロットキャンセル回路を装備しています。
高速バイポーラDC NFBスイッチング回路は、ヤマハ独自の高速バイポーラによる平均値復調方式のスイッチング回路に、オーディオアンプ同様にNFBをかけた構成となっています。この回路は、DC化しさらにNFBをかけたことなどによって優れた伝送特性を持っており、混変調歪の発生が極めて少なく、DC~超高域までフルでコードし十分な低歪率に仕上がっています。

Auto-Blend回路を搭載しており、弱い電波をステレオ受信した際に発生するノイズ成分を減少させています。
また、Auto-Blend回路はAuto DX回路と連動して動作します。

AMチューナー部は、2連バリコン相当非同調高周波カスコード増幅段、差動ミキサー段、トリプルチューン+シングルチューン構成IF増幅段、低歪率の検波段となっています。

AM用のアンテナに、ループアンテナをベースにさらに改良を施したHi-Q型ローインピーダンスアンテナを搭載しています。

Rec Cal(レコーディング・キャリブレータ)を搭載しています。
このRec CalをONにするとFMモノラルの50%変調時に相当するレベルの333Hz信号が出力されます。録音レベルを合わせる場合は、デッキのレベルメータの指示が-6VU~0VUになるようにセットすれば確実な録音を行えます。

機種の定格
型式 FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
受信周波数 76MHz~90MHz
50dB SN感度 mono DX:4μV(17.3dBf)
stereo DX:27μV(33.9dBf)
実用感度(IHF、mono、84MHz) 2μV(11.2dBf、300Ω)
1μV(11.2dBf、75Ω)
イメージ妨害比 62dB(84MHz)
IF妨害比 100dB(84MHz)
スプリアス妨害比 100dB(84MHz)
AM抑圧比 50dB(IHF)
実効選択度(IHF) DX:70dB
Local:25dB
キャプチャーレシオ(IHF) DX:2.2dB
Local:1.5dB
SN比(IHF) mono:82dB
stereo:79dB
全高調波歪率
Local DX
mono 100Hz:
1kHz:
6kHz:
10kHz:
0.50%
0.05%
0.08%
0.05%
0.1%
0.3%
0.7%
0.1%
stereo 100Hz:
1kHz:
6kHz:
10kHz:
0.05%
0.05%
0.08%
0.1%
0.1%
0.5%
0.8%
1.5%
混変調歪率(IHF)
mono: 0.05%(Local)
0.5%(DX)
stereo: 0.08%(Local)
1.0%(DX)
ステレオセパレーション
(Local)
55dB(1kHz)
45dB(50Hz~1kHz)
周波数特性 50Hz~10kHz ±0.3dB
30Hz~15kHz ±0.5dB
10Hz~18kHz +0.5 -3.0dB
サブキャリア抑圧比 52dB
AUTO DX動作レベル ステレオ時妨害レベル約-50dBにてDX MODEに自動切換
<AMチューナー部>
受信周波数 525kHz~1605kHz
実用感度 15μV(IHF)
選択度 26dB(1000kHz ±10kHz)
SN比 46dB
イメージ妨害比 40dB(1000kHz)
スプリアス妨害比 50dB(1000kHz)
全高調波歪率 0.5%
<総合>
出力レベル/インピーダンス
(1kHz)
FM(100%変調):500mV/2.4kΩ
AM(30%変調):150mV/2.4kΩ
Rec Cal(333kHz、FM50%変調時相当):250mV/2.4kΩ
付属機構 オートサーチチューニング
AM/FM各5局プリセットチューニング(メモリバックアップ付)
ステーションロックインジケーター
RXモードスイッチ
ラストチャンネルメモリー
rec cal
使用半導体 IC:10個
トランジスタ:40個
FET:3個
ダイオード:21個
ツェナーダイオード:6個
7セグメントLED:1個
LED:14個
ACアウトレット 300W MAX
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 9W
外形寸法 幅435x高さ72x奥行262.5mm
重量 3.1kg