YAMAHA CT-800
¥68,000(1973年頃)
¥75,000(1974年頃)
解説
NFBトランジスタスイッチング方式MPX回路を搭載したFM/AMチューナー。
フロントエンド部では、RF2段とミキサー段に低雑音のデュアルゲートMOS FETを3石使用し、クロスモジュレーションを低減して実用感度を向上しています。
また、周波数直線型の4連バリコンを同調回路に採用することで諸特性を大幅改善しました。
IF段には、定電流バイアス回路からなる高利得IC差動アンプと6素子セラミックフィルターを使用しており、リニアな位相特性と優れたバンドパス特性を得ています。
MPX回路には、ヤマハ独自のトランジスタスイッチング方式平均復調回路にオーディオアンプ同様のNFBをかけた方式を採用しています。
従来のSCAフィルターが不要となるため、位相の乱れや高域セパレーションの劣化もなく、透明な音質でFM放送を受信することが可能です。
入力依存性(アンテナ入力レベルの大小により選択度やセパレーションなどが変化する割合)が大きいと受信電波の強弱によって諸特性に悪影響を与えるため、入力依存性を最小に抑えるため、FMフロントエンドとIF段には位相特性や強入力特性を重視した設計がされています。
ディエンファシス回路を兼ねたヤマハ独自のLC型アクティブローパスフィルターにより、19kHzパイロット信号や38kHzのサブキャリアなど音質劣化を招く不安定な要素をシャープにカットしています。
FMフロントエンド部にはAFCをかけて安定化をしています。
このAFC回路はヤマハ独自のオートタッチ・チューニング機構により、チューニングツマミに手を触れ選局している間は自動的にキャンセルされるので、強電界局に隣接した微弱な電波の受信も可能となっています。
選局中に局と同調すればAFC/Stationインジケーターが薄く点灯し、正確な同調をとりツマミから手を離すとインジケーターが明るく点灯してAFC回路が動作中になったことを表示します。
SignalメーターとTuningメーターを搭載しています。
Signalメーターは、メーター回路にAGCをかけて強電界から弱電界まで飽和することなくリニアに指針を振らせているため、指針の振れから入力電波のおよその電解強度を確認できます。
また、Tuningメーターは従来のものよりも精度が向上しており、指針がセンターに位置している時に歪が最少でステレオセパレーションも最良になるように調整してあります。
MPX回路の入力段と出力段にミューティングを2重でかけており、局間ノイズや離調・選局時のショックノイズをカットしています。
ミューティングレベルはフロントパネルのミューティングレベル調整ツマミでコントロールでき、電界強度に合わせて最適のミューティング効果が得られます。
さらに、パワースイッチON・OFF時に発生するショックノイズについても、FETを使ったミューティング回路を設けてカットしています。
AMチューナー部は同調回路に3連バリコン、セラミックフィルター、同調コイル2個によるトリプルチェーン方式を採用し、選択度を向上するとともに、諸特性を向上しています。
また、AM局の大電力化に対応して専用のAGC回路を設け、歪の無い安定した受信を保証しています。
さらにLCフィルターによって短波バンドからの妨害もカットしています。
オシロスコープを接続して波形を観測しながらFMアンテナの方向を調節できるよう、マルチパス検出端子を搭載しています。
高域の周波数成分をブレンドし、周波数特性を劣化させることなく雑音だけを減らすハイブレンドフィルターを搭載しています。
ディスクリート4チャンネル放送に備え、アダプター用IF出力端子を搭載しています。
Power、FM Stereo、AFC/Station-ONのインジケーターには発光ダイオードを採用しています。
固定と可変の2系統の出力端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー | ||||
<FMチューナー部> | |||||
受信周波数 | 76MHz~90MHz | ||||
実用感度(IHF、84MHz) | 1.7μV | ||||
クワイティングスロープ | 5μV:55dB 10μV:60dB |
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イメージ妨害比(84MHz) | 100dB | ||||
IF妨害比(84MHz) | 100dB | ||||
スプリアス妨害比(84MHz) | 100dB | ||||
AM抑圧比 | 55dB | ||||
キャプチャーレシオ | 1.0dB | ||||
実効選択度(IHF) | 80dB | ||||
SN比 | mono:75dB stereo:72dB |
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全高調波歪率 |
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ステレオセパレーション | 45dB(400Hz) 35dB(50Hz~10kHz) |
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周波数特性 | 50Hz~10kHz ±0.5dB 20Hz~15kHz ±1.5dB |
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サブキャリア抑圧比 | 60dB | ||||
ミューティング信号レベル | 10μV~50μV連続可変 | ||||
IF outレベル/インピーダンス | 400mV/1kΩ | ||||
Multipathレベル/インピーダンス | Vert:17mV/80kΩ Horiz:400mV/1kΩ |
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<AMチューナー部> | |||||
受信周波数 | 525kHz~1605kHz | ||||
実用感度(IHF、バーアンテナ) | 52dB/m | ||||
選択度(1000kHz) | 30dB | ||||
SN比(80dB/m) | 45dB | ||||
イメージ妨害比(1000kHz) | 70dB | ||||
IF妨害比(1000kHz) | 60dB | ||||
スプリアス妨害比(1000kHz) | 70dB | ||||
全高調波歪率(80dB/m) | 0.8% | ||||
<総合> | |||||
出力レベル/インピーダンス (1kHz) |
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使用半導体 | トランジスタ:58個 FET:5個 ダイオード:36個 ツェナーダイオード:4個 発光ダイオード:3個 IC:2個 セラミックフィルター:FM6素子、AM1素子 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
電源コンセント | Unswitched:500W | ||||
定格消費電力 | 12W | ||||
外形寸法 | 幅436x高さ144x奥行323mm | ||||
重量 | 7.5kg |