YAMAHA NS-1000X(W)
NS-1000X:¥158,000(1台、1986年頃)
NS-1000XW:¥175,000(1台、1986年頃)
解説
デジタル時代に対応するモニターシステムを開発するという目的のもと、開発されたスピーカーシステム。
低域には30cmのコーン型ユニットが採用されています。
振動板は、カーボンファイバーが持つ弾性率・比弾性率、あるいは引張圧縮強度の高さをといった特質を生かした上で、横方向の剛性も確保すべく、特殊樹脂をマトリクスに使用したカーボンファイバーの一方向配列シートを4層にラミネートし、繊維の方向を駆動点から周辺へ放射状を揃えるという構造を採用しています。
さらに、振動板形状をストレートコニカルとして繊維方向の圧縮引張り強度を生かすとともに、全体を高剛性化し、振動板外周に折り曲げ部を容易し、裏側にコルゲーションを設けるなどして繊維と直角方向の剛性も高めています。
マグネットには、磁束密度10500ガウス、総磁束220000マクスウェルを実現したストロンチウムマグネットを採用しており、フレームは均質性に秀れた音響用特殊アルミ合金ダイキャスト製。ボイスコイルは無酸素銅使用の66.6φエッジワイズ巻きロングボイスコイルとなっています。
中域には8.8cmのドーム型ユニットが採用されています。
振動板素材には高純度ベリリウムが採用され、8.8cmの口径で0.6gという軽量型に仕上がっています。
マグネットにはストロンチウムマグネットを採用しており、磁束密度は18400ガウス、総磁束150000マクスウェルの磁気回路を構成しています。
また、スペースファクタに秀れた66.6φエッジワイズ巻きボイスコイルやタンジェンシャルエッジなどにより優れたリニアリティを確保しています。
高域には3.0cmのドーム型ユニットが採用されています。
高純度ベリリウムを用いており、0.028gの軽量型となっています。
銅クラッドアルミ線のボイスコイルをボビンを用いることなしに振動板に直結することにより、ベリリウムの持つ軽さと硬さを生かしています。
センター保持能力に秀れたタンジェンシャルエッジや、ストロンチウムマグネットを採用することで分割振動域を可聴帯域外に追放しています。
ネットワークには大型フェライトコアや無酸素銅線インダクタ、MP(中高音用)コンデンサなどにより歪を低減しています。
エンクロージャーは音質へ配慮した設計となっており、ユニットがバッフル面センターに垂直位置れうに並ぶインラインセンター配置とすることで、水平面での指向性パターンを左右等しくするとともに、バッフルの左右端をカーブさせたラウンドバッフルとし、回折波の影響を抑えています。
エンクロージャーの素材には高密度パーティクルボードを採用しています。
全体の強度バランスを重視した設計となっており、総計45mm厚の側板、バッフルのウーファーくり抜き部などでは裏板に補強を兼ねて貼り合わせにするなど内部補強もされています。
NS-1000Xと同仕様で、リアルウッドブラック塗装仕上げではなく、アメリカンウォルナットのリアルウッドオープンポア仕上げとなっているNS-1000XWもありました。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:8.8cmドーム型 高域用:3.0cmドーム型 |
再生周波数帯域 | 39Hz~20000Hz |
最低共振周波数 | 39Hz |
クロスオーバー周波数 | 500Hz、6000Hz(12dB/oct) |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
インピーダンス | 6Ω |
許容入力 | 100W |
ミュージック許容入力 | 200W |
外形寸法 | 幅427x高さ695x奥行335mm |
重量 | 42kg |