解説　

シンメトリカルリニアアームを搭載したプレイヤーシステム。

PX-1のアーム送り機構は、2本の精密に研磨仕上げされたガイドレールの上を6つのデルリン製ベアリング入りローラ付のアームベースが移動する構造となっています。
このアームベースを安定かつ滑らかにレコードのピッチに合った速度で移動させるため、高精度の非接触光電式アーム角度検出機構でアームの角度検出し、その信号をレコードの偏心による誤作動を抑えたサーボ回路によりコントロールされたコアレスモーターを用いたアーム駆動機構に送り込んで制御しています。
このアーム駆動機構は、精密研磨仕上げのドライブスクリューでアームベースを低摩擦駆動しています。このアーム送り機構の光電式トラッキングセンサは非接触型なため、カートリッジスタイラスにアームの初動感度(5mg)以上の側圧が加わる事はありません。
また、駆動用のモーターは、回転音と振動音を遮断するためにゴムで密閉し、真鍮のケースに封入されさらにインシュレーターをつけて固定しています。そして、ドライブスクリューに振動が伝達されないよう、ゴムベルトを介してトルクを伝えるなどの注意が払われています。

リニアトラッキングアームは、実効長190mmのショートアームとし、さらに矩形で横長のバランスウェイトの採用やシェルコネクタをアーム視点に近づけたことなどによって、慣性質量がオフセットアームに比べて40%少なくなっています。このため、カートリッジスタイラスポイントにおける等価質量は16gと小さくなっています。また、左右対称設計でしかもアーム前後のバランスもとるため、ダイナミックバランス型となっています。
このアームは、リニアトラッキング方式であるためトラッキングエラーが無く、オフセット角がないためインサイドフォースの発生がありません。さらに左右対称設計になっているためラテラルバランスがとれており、レコード音溝に対してニュートラルとレーシングが可能であり、音質に悪影響のあるクロストーク歪、混変調歪が十分少なく抑えられています。そして、左右・前後のバランスが取れていて等価質量も小さいためソリのあるレコードに対しても優れたトレーシングアビリティを示しています。

シェルはヤマハ特製の音響用アルミダイキャスト製インテグレーテッドシェル(シェル+パイプ)をメインとし、別にカートリッジ交換用にユニバーサルシェル用のアタッチメントパイプも付属しています。

ターンテーブルには、超ジュラルミンを無垢から削り出した自重5.6kg、慣性質量760kg・cm²(ゴムシート含む)を採用しており、このターンテーブルをドライブするモータには、起動トルク2kg・cmの20極15ワインディングスロットレスDCモーターを採用しています。さらに、ターンテーブルを支えるスピンドルや軸受、ハウジングは可能な限り頑丈に設計しており、電子ブレーキ付両方向サーボ・クォーツPLLダイレクトドライブ構成となっています。

回転数検出のFGは、全周平均プッシュプル電磁式のもので、PLLをOFFにすればピッチを±6%可変することが可能です。

プレイヤーベースは5mm厚のアルミダイキャスト製のものを採用しています。また、インシュレーターにはスプリングとオイルダンパを組合わせた大型のものを採用し、外部振動を低減しています。
さらに、リーケージフラックスや振動の原因となる電源部は別構造とすることで、電源部からの悪影響を防いでいます。

アクリルカバーは5mm厚のものを採用しており、小面積で高剛性構造となっています。

情報量損失を抑えるため、ネグレックス銀クラッドローインピーダンスケーブルを使用し、リード線には無酸素銅を採用することで直流抵抗を下げています。

オートリードイン、オートカット、オートリターン、オートリピートの純電子式フルオートメカニズムを搭載しています。また、マニュアル操作も指先でアーム送りツマミを回せば、スムーズにアームが移動します。

動作が一目でわかるLEDシーケンス表示つきロジック回路には、ヤマハ製のロジックICを採用しています。

機種の定格

型式	フルオートプレイヤー
モーター	20極15ワインディングスロットレスDCモーター
駆動方式	ダイレクトドライブ
ターンテーブル	31cmジュラルミン削り出し、5.6kg
ワウフラッター(WRMS)	0.025%以下
SN比	62dB以上
回転数調整	±6%
トーンアーム	ダイナミックバランスリニアトラッキングアーム
取付カートリッジ自重範囲	4g～13g
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力	27W
外形寸法	本体:幅480x高さ154x奥行416mm 電源:幅124x高さ90x奥行385mm
重量	本体:27kg 電源部:5kg
別売	専用スペアヘッドシェル HS-P1(￥13,000)