解説　

ヤマハ独自のARSアームや、クォーツPLLサーボを採用したレコードプレイヤー。

トーンアームには、アーム自体のあらゆる共振を少なくするためにヤマハが開発したARS(Anti Resonance Straight)アームを採用しています。
ARSアームはストレートパイプを採用した左右対称構造としたことで捩れ振動が殆ど発生しません。また、支点に極力近づけた大型横長矩形のバランスウェイトや、通常の倍以上にしたピボット間のスパン、軸受のアンギュラコンタクトベアリングのゴムダンパーなど、感度アップとガタによる共振の排除を図っています。さらに、パイプホルダを大型で堅牢にし支点から30mmを2重構造にすることでパイプ前後のたわみ振動にも対処しています。
また、アームの低域共振周波数は、ダイレクトカットレコードの再生スペクトルを測定した結果から12Hzに決定されています。さらに、代表的なMM/MC型カートリッジ30機種の質量とコンプライアンスの平均値を求め、アームの実効質量を決定しています。
P-650ではアームの高さ調整も可能です。

ヘッドシェル部は信頼性が高くカートリッジ交換が容易な差込型を採用しています。また、針圧調整はスライドウェイト式となっています。

カートリッジにはVM型カートリッジのCG-6700を採用しています。

駆動モーターにはDC4相8極コアレスホールモーターを採用しています。
このモーターは原理的にコギングが無く、またホール素子を採用した非接触型なので、機械的・電気的ノイズが少なく抑えられています。

サーボ回路には水晶の精度で制御するクォーツPLLサーボを採用しています。
この回路では、ターンテーブルの回転数を全周積分型のFG(周波数発電機)で検出し、水晶発振器からの信号と位相比較して精度の高い回転を得ています。

ダストカバーを閉じた状態でも操作できるようにスイッチが設けられたフロントオペレーションを採用しています。
また、フルオート機構によりオートリードイン、オートリターン、オートカット、オートリピートが可能です。

キャビネットにはBMC材を採用しています。また、3mm厚のアクリリックレジン製のダストカバーや、特殊ゴム製のW型折り返しインシュレーターを採用することで、ハウリングマージンの向上を図っています。

機種の定格

型式	レコードプレイヤー
<フォノモーター部>
駆動方式	ダイレクトドライブ
サーボ方式	クォーツロック
モーター	DC4相8極コアレスホールモーター
回転数	2スピード(33・1/3rpm、45rpm)
ターンテーブル	30cmアルミダイキャスト製、1.6kg(ゴムシート含む)
慣性モーメント	210kg・cm2(ゴムシート含む)
<トーンアーム部>
型式	ストレートアーム
全長	290mm
有効長	222mm
オーバーハング	16mm
水平トラッキングエラー角	-1゜～3゜
針圧印加方式	スライディングウェイト方式(0～3g、0.1gステップ)
実効質量	11g(針圧1.5g時、カートリッジ重量含まず)
適合カートリッジ	2.5g～10g
アーム初動感度	垂直:10mg 水平:30mg
アームリフタ	オイルダンプ式キューイング
アンチスケーティング	スプリングレバー式
アーム高さ調整	±2.5mm(ロックカム式)
ヘッドシェル	差込み型、自重2.5g
PUケーブル	容量:100pF 往復抵抗:1Ω
<カートリッジ部>
型式	VM型(CG-6700)
出力電圧	2.5mV(1kHz、5cm/sec、Peak45゜)
チャンネルセパレーション	18dB以上(1kHz)
電気インピーダンス	2.8kΩ±30%(1kHz)
適正針圧	2.0g±0.5g
ダイナミックコンプライアンス	12x10-6cm/dyne(100Hz)
重量	6g
<オートマティックコントロール部>
オート機能	オートリードイン(17cm、30cm) オートリターン リピート カット
<ボディ部>
キャビネット	BMC(Bulk Molding Compound)
仕上げ	シルバー
ダストカバー	800gアクリリックレジン
ヒンジ	フリーストップ着脱可能
インシュレーター	W形折り返し型ゴム
<総合>
SN比	77db(DIN-B、IEC 98A weighted)
ワウフラッター	0.015%(FGダイレクト)
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	5W
外形寸法	幅440x高さ132x奥行372mm
重量	6.8kg