オーディオの足跡

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K-1の画像
 解説 

音質と機能を追及したステレオカセットデッキ。

ヘッドにはセンダスト(鉄・シリコン・アルミの合金)を用いたTriple-P-Head(Pure & Plasma Process Head)を採用しています。
このネーミングの由来はPure(高純度)であり、Plasma(プラズマ)溶射法などによってProcess(加工工程)が簡略化され高精度であることからきています。
センダストの磁気特性はパーマロイやフェライトを上回っており、しかもパーマロイの欠点である硬度についてはフェライトと同等で、フェライトの欠点であるノイズ特性や機械的欠損、温度特性といった点でも優れていまが、難加工性とコスト面で実用化が遅れていました。
ヤマハではこの問題を克服するため高真空遠心鋳造法という技術を用いており、99.999999~99.9%という高純度の材料を10-5torrという高真空中で溶かして高純度センダストを作り、同じカプセル内にセットされた高速回転するセラミックの鋳型に流し込んで鋳造することで、優れた一方向性結晶の高純度センダストを望みの形状のコア材としています。
さらにプラズマ溶射法を導入しており、センダストコアをヘッドとしてアセンブリしパーマロイのシールドケースに納めた状態で、ヘッド前面にコア材と同一のセンダストをプラズマ状にしたものを放射しすることでヘッド前面をセンダストで厚く覆い、その後で鏡面仕上げしています。
これらの方法によって完成されたヘッドはテープタッチする全面がセンダストで覆われており、片減りが無く、ゴミや埃の付着も少なくなっています。
Triple-P-Headは、コアの透磁率が高いため再生効率が良く感度が高くなり、飽和磁束密度が大きいため大きな信号電流を流す事が可能で大入力時でもリニアリティが良く歪が少ないという特徴を持っています。また、磁気歪が少ないため摺動ノイズが少なくSN比も良く、キュリー点が高いため安定した温度特性が得られ、さらに硬度も充分に高いため耐摩耗性にも優れています。
また、ヘッド形状にはコンターエフェクトの少ない形状を採用しています。

メカニズム部にはセパレートドライブ2モーター機構を採用しており、キャプスタン駆動用にFGサーボモーター、リール駆動用にDCハイトルクモーターを使用しています。
PLAY時の巻取りリールの駆動をキャプスタンモーターが兼用する方式とは異なり、キャプスタンモーターにはキャプスタン駆動のみを行わせるシンプルな構成とすることで、キャプスタンの回転精度を劣化させるメカニズム系での外乱要素を除去しています。

キャプスタン駆動用に採用されているFGサーボモーターはFG(周波数発電機)サーボ回路を採用したハイトルクDCモーターで、テープの巻き始めと巻き終わりに変動しやすいテープスピードの変化が非常に少なく、ワウフラッターによる変調歪も充分に抑えられています。

テープ巻き取り用リールモーターには起動トルク60g・cmの両方向回転型のDCモーターを採用しており、早送りと巻戻しでは回転方向を逆転させています。FF・REW時の回転数は約2000rpmですが、PLAY時には電圧制御によって約1000rpmに減速し、テープ巻取りの回転音や振動を減らしワウの向上を図っています。

キャプスタンには真円度誤差0.1ミクロン以下の物を採用しており、軸受けとのクリアランスもミクロンオーダーで精密仕上げされています。また、フライホイールは77mmφ、偏重心距離6μ以内の高精度なものを使用しています。しかも慣性エネルギーは1700g・cmと大きく、キャプスタンの円滑な回転を可能にしています。
動力伝達用の平ベルトには、伸縮が非常に僅かで圧着面積が広く、さらに圧着面を特殊技術で鏡面に近い状態まで研磨仕上げしたものを採用しています。
走行系を取り付けるシャーシは1.6mm厚の鉄板で精密に仕上げられています。

イコライザアンプは初段にローノイズFETを用いた4石構成を採用しており、±15Vの2電源で駆動しています。
初段にローノイズFETを採用したことで入力回路のコンデンサを省略でき、ヘッドの出力が直接FETのゲートに接続されるためコンデンサの悪影響がありません。しかも低域位相のバラツキや超低域でのノイズも充分に抑えられています。
また、このイコライザアンプは録音時にはNF回路のイコライザ素子を切換えてマイクアンプとして動作します。

サウンドフォーカススイッチを搭載しており、周波数特性重視のSHARPポジションと位相特性重視のSOFTポジションが選択できます。
通常のカセットデッキでは再生時に高域でのヘッドの損失を補うため、ヘッドと並列に高域ピーキング用の共振コンデンサが挿入されています。SHARPポジションでは従来通り共振コンデンサを挿入して周波数特性を重視しています。SOFTポジションでは周波数特性上は高域で1~3dB低下するものの再生時に素直な位相特性が得られます。
SOFTポジションでは高域で位相が逆転する周波数が可聴帯域外のかなり高い周波数になるため、ボーカル再生などで定位が改善されます。

バイアス発振回路には発振波形の歪が少なく、発振出力も充分に大きなものを採用しており、バイアス周波数も105kHzと高くとってあります。

消去ヘッドには60dB以上(1kHz)と消去効率の良いダブルギャップフェライトヘッドを採用しています。

使用頻度の高い操作ボタンや録音レベルボリューム、再生レベルボリューム以外のツマミをシーリングパネル内に納めたシンプルなデザインを採用しています。
また、デッキ部分の操作は全てヤマハ方式ICロジックコントロールで制御しています。

高集積のロジックICとソレノイドプランジャによるICロジックコントロールを採用しており、操作ボタンを押してから動作するまでの時間が非常に短く、しかもモードからモードへのダイレクトチェンジが可能です。

従来の録音ポーズに対応するREC ST BYボタンを搭載しており、ワンタッチでデッキ録音ポーズ状態にすることができます。

オートストップメカニズムを搭載しています。
K-1では回転検出部に12極リングマグネットとホール素子を使用しているためテープ走行停止から動作するまでの時間が1秒以内と非常に敏速になっています。

REC MUTEスイッチを搭載しており、スイッチを押している間は赤色LEDが点灯表示して無信号録音できます。

ソフトイジェクト機構を採用しており、メカニズムがどのモードでもEJECTボタンを押せば自動的に停止状態となってカセットを取り出せます。また、ドア開放時は操作ボタンを押してもメカニズムが動作しません。

蛍光表示管を用いたワイドレンジバーグラフピークメーターを搭載しています。
このメーターは24ピンICによるコンパレーターとでコーダドライバが駆動し、-30dB~+2dBを12分割して表示しています。また、リカバリータイム切換スイッチを搭載しており、0dB→-30dBの戻り時間をFAST(1.5秒)とSLOW(3.5秒)の2段階切換できます。

録音バイアス及び再生イコライザが同時切換できる3ポジションテープセレクターを搭載しています。

テープセレクターでセットされたバイアス量をさらに細かいレベルで調整して各種テープの特性にジャストフィットできる±8%可変のバイアスアジャスタを搭載しています。
このアジャスタはノーマルポジションが容易に分かるセンタークリック付きとなっています。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーNRを搭載しており、テープヒスや高域ノイズの改善が可能です。
また、ドルビーNR動作中は緑色のインンジケーター(LED)が点灯します。

MPXフィルターを搭載しており、キャリアリークの多いチューナーなどから録音する場合に19kHz以上の信号によってドルビー回路が誤動作するのを防げます。

サブソニックフィルターを搭載しています。

タイマー録音機構を搭載しており、別売のタイマーと組み合わせることで留守録音が可能です。
録音待機は電気的に行われるためデッキメカニズムやテープに負担がかかりません。

ヘッドホン用アンプには専用のICを用いたOTL回路を採用しており、8Ω~数kΩまでのヘッドホンに対応しています。

メモリーリワインド機能を搭載しており、テープをセットして聴きたい箇所の頭でテープカウンタを0に合わせて巻戻しすると、カウンター999のところで自動的にテープが停止します。

左右チャンネル同時可変式のスライド式録音レベルボリュームを採用しています。
また、マイク録音時など左右のアンバランスがある場合のためにREC BALANCEボリュームを搭載しています。

シルバー仕上げのK-1とブラック仕上げのK-1Bの2種類のカラーバリエーションがありました。

機種の定格
型式 カセットデッキ
テープ速度(偏差) 4.8cm/sec ±1%
ワウフラッター 0.03%以下(JIS-WRMS)
0.1%以下(DIN-45500)
早送り、巻戻し時間 75sec(C-60)
メカニズム 2モーター・セパレートドライブ方式
モーター キャプスタン用:FGサーボDCモーター
リール用:リバーシブルDCモーター
オートストップ所要時間 1sec以内
録音再生周波数特性 L・H:30Hz~16kHz ±3dB
CrO2:30Hz~18kHz ±3dB
総合歪率(1kHz、160nwb/m) L・H:1.0%以下
CrO2:1.6%以下
総合SN比(NR・OFF) 60dB以上(JIS基準レベル、CrO2)
52db以上(DIN・333Hz、3%歪、CrO2)
消去率 60dB以上(400Hz)
チャンネルセパレーション 30dB以上(1kHz)
バイアス周波数 105kHz
3段同時切換方式テープセレクタ L・H:120μsec(100%、BIAS)
CrO2:70μsec(140%、BIAS)
FeCr:70μsec(110%、BIAS)
バイアス可変幅 ±8%
ヘッド 録再:Pure & Plasma Processヘッド
消去:ダブルギャップフェライト
入力感度/インピーダンス Mic:0.3mV/5kΩ
Line:60mV/50kΩ
出力レベル Line:340mV(基準レベル再生時、Vol.max)
Phones:1mW/8Ω、4mW/150Ω(160nwb/m)
ドルビーノイズリダクション効果 9dB以上
付属機構 タイマー録音
MPXフィルタ、Subsonicフィルタ
サウンドフォーカススイッチ
メモリーリワインド、クイックオートストップ
Meter Recovery SW
Input Selector
電源 AC100V、50/60Hz
定格消費電力 27W
外形寸法 幅435x高さ140x奥行305mm
重量 9kg