オーディオの足跡

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CA-2000の画像
 解説 

プリメインアンプの芸術品を目指し、ヤマハの回路技術を凝縮してセパレートアンプにも並ぶ高い完成度を得たプリメインアンプ。

基本的な回路構成は、イコライザアンプ-トーンコントロールアンプ-DCアンプ構成B級⇔A級等音量切換可能メインアンプと、MCカートリッジ用ヘッドアンプで構成されています。
イコライザアンプ、トーンコントロールアンプ、MCヘッドアンプはC-2とほぼ同じ回路構成となっています。

メインアンプの回路構成は、初段カレントミラーカスコードブートストラップ採用FET差動増幅→カスコード接続定電流負荷エミッタ接地増幅→ダーリントン接続ピュアコンプリメンタリーパラプッシュOCLドライブ・出力段で、信号経路・NFループからコンデンサを除去したDCアンプとなっています。
初段はヤマハオリジナルのスーパーローノイズFETによる差動アンプで構成されており、カスコードブートストラップ回路を採用し信号源インピーダンスが高くなっても歪率の信号劣化がありません。さらにカレントミラー回路をアセンブリしたことで、充分なゲインと低歪率を確保しています。
2段目は初段のカレントミラー出力のインピーダンスが高いため、2段目のトランジスタの帰還容量による周波数特性の劣化を極小に押さえ、広帯域にわたって安定に充分なゲインをかせぐカスコード接続定電流負荷エミッタ接地増幅になっています。
初段と2段目の電圧増幅段は、ドライブ・出力段とは別設定の定電圧電源から±70Vの電圧を給電しています。
電圧増幅段に続く部分はCA-2000独自のバイアス回路で構成されており、スイッチによって電力増幅段の電源電圧が切換ると自動的にA級(ID=1.4A)⇔B級(ID=50mA)のバイアスを設定しています。
ドライブ・出力段の電力増幅段は高い出力を低歪率で得るため、ダーリントン接続ピュアコンパラレルプッシュプル回路となっています。ペア特性の良く揃ったトランジスタをパラプッシュでしようすることにより、トランジスタ動作点のhfeのリニアリティが良い領域で使用でき、非直線歪を減少させることができ、熱的にも十分余裕をもって使用することが可能となっています。
さらに、メインアンプ部にはヤマハFETプリアンプC-2で得たノウハウを投入しており、NFB回路などをLow Noiseに適した構成にしたことや、初段にスーパーローノイズペアFETを採用したことなどによって、高いSN比を実現しています。

出力段の動作をA級増幅に切換えた場合、無信号時にコレクタ損失が最大となりトランジスタの発熱が大きくなりますが、熱抵抗が小さく放熱効果の大きなヒートシンクを採用することで、トランジスタのジャンクション温度を低減しています。
また、ドライブ・出力段の直前に、トランジスタ2個によるPCリミッタが設けられており、パワートランジスタにかかる電圧と流れる電流を検出し、出力端子に4Ω以下の負荷を接続した場合や出力端子をショートした場合でも、入力をコントロールしてパワートランジスタを保護します。

イコライザ回路はヤマハオリジナルスーパーローノイズペアFETを使用したカスコードブートストラップカレントミラー差動入力-ダーリントン接続定電流負荷エミッタ接地-ピュアコンプリメンタリによるSEPP出力段で構成されています。
初段差動増幅器に使用したスーパーローノイズペアFET(2SK-100)は、ヤマハがCA-2000のイコライザ用に開発したもので、マルチユース用のFETに比べて、オーディオ用で特にローノイズ用として特別設計されたものなので、gmが大きく、ペア特性が良く、ローノイズ(特に1/fノイズを抑えてある)などの特長を持っています。
初段のスーパーローノイズDual FETによる差動増幅段は、カレントミラーカスコードブートストラップ回路をアセンブリし入力は入力コンデンサを排除したダイレクトカップリングで、低域の位相特性のバラツキを抑えるとともに超低域でのローノイズ化を可能いしています。カレントミラー回路は充分なゲインを得るとともに一種のプッシュプル回路の働きをして偶数次の高調波歪を打消す働きがあります。さらにカスコードブートストラップ回路の採用により、MM型カートリッジを接続した場合など周波数によって信号源インピーダンスが大幅に変化しても歪率の劣化が殆どありません。
2段目はダーリントン接続による定電流負荷のエミッタ接地増幅器で、初段に対する負荷を軽くする一方で、ゲインを充分に取る働きをしています。
出力段は、イコライザアンプの負荷として考えられる音量ボリュームやRec out端子に接続されるテープデッキの入力インピーダンスを総合したときを約15kΩと想定し、ペア特性の良く揃ったftの高いトランジスタによるピュアコンSEPP回路で出力インピーダンスを低く設計し、十分な負荷安定度を得ています。また、Rec out端子にも電源on-off時のポップノイズを防止するミューティングリレーを採用しています。

トーン回路の基本的な回路構成はイコライザアンプとほぼ同一となっており、イコライザアンプほどゲインを必要としないため2段目のダーリントン接続は省略されています。
トーンアンプの前段には、ボリュームが挿入されており、ボリュームを絞った場合信号源インピーダンスが変化しますが、イコライザアンプと同様にカスコードブートストラップ回路を採用したことで、信号源インピーダンスの変化による歪率の劣化がありません。
このトーンアンプは、トーンコントロールとフィルタ、バッファアンプの3つの働きを兼ねていて、各コントロールを使用しない場合はバッファアンプとして動作します。
トーンコントロールはヤマハ方式のNF型で、挿入ロスが少なく、ローノイズ設計となっています。コントロールボリュームには20ステップ21ポジションのアッテネーターを使用しており、さらにターンオーバー周波数がBass/Trebleともに切り替えできます。

MCヘッドアンプ部には、ヤマハオリジナルのスーパーローノイズICを使用し、定格入力に対して高いSN比を得ています。
このMCヘッドアンプでは、入力側に50μVの低レベルポジションに切換えスイッチを設けています。これは、トランスのリーケージフラックスによるハム誘導や切換時のノイズ、スイッチ接点のゼーベック効果などの問題を解決して実現したもので、MM型カートリッジを使用していたプレイヤーにMCカートリッジを付けた場合にもピンジャックの接続を変える必要がありません。

実使用時のSN比向上のため、片チャンネル当たり2連の高精度4連ボリュームをトーンアンプの入力側と出力側に入れ、0~6dB、-24~-無限まで出力側、-6dB~-24dBまでを入力側で調整しています。
この方式によりボリュームを絞りきった場合の残留ノイズはメインアンプのみで決まり、極小化を実現しています。さらにアッテネーターと同様の高精度を実現し表示値からの誤差、ギャングエラーがともに少なく、微細な音量調整が可能となっています。

ピークメーターは、対数圧縮回路とピークホールド回路により、-50dB~+5dB(0dB=100W/8Ω)、1mW~316W/8Ωの広いレンジの信号のピークレベルを指示可能です。また、立ち上がり時間も100μsと早く、パルシブな信号にも対応しています。
さらに、メーターには切換えスイッチを搭載しており、SP outの出力レベルとRec outの出力レベルを切換えて表示できます。

Modeスイッチを搭載しており、Stereo Normal、Stereo Rev、L+R、L、Rが選べます。

ミューティングスイッチを搭載しており、スイッチひとつで-20dBのミューティングが可能です。
また、このスイッチをPre out offのポジションにすると、Pre out信号が出なくなります。

プリアンプ部とメインアンプ部をそれぞれ分離して使用できます。

ローノイズ・低歪率化をさらに高めるため、イコライザシートはリアパネルに直結されており、シールド線を使用せず、プリント基板のパターンもノイズや歪率の最少になるものを採用し、ローレベルの信号が通る基板は厳重にシールドされています。
さらに操作性を重視し、Phono selector、Rec out selector、Input selectorには、新たに開発したユニバーサルジョイントを採用し、ローノイズ・低歪率化と操作性の向上を実現しています。

機種の定格
型式 ステレオプリメインアンプ
実効出力(0.03%、Aux) 20Hz~20kHz:140W+140W(4Ω、B級)
         120W+120W(8Ω、B級)
         30W+30W(8Ω、A級)
1kHz:180W+180W(4Ω、B級)
    130W+130W(8Ω、B級)
全高調波歪率(20Hz~20kHz) Phono1、2→Rec out(5V):0.003%以下
Phono MC→Rec out(3V):0.03%以下
Tuner、Aux→Pre out(3V):0.005%以下
Main in→SP out(60W、B級、8Ω):0.01%以下
           (15W、A級、8Ω):0.005%以下
Tuner→SP out(60W、B級、8Ω):0.01%以下
パワーバンド幅(0.03%、8Ω) B級:10Hz~50kHz
A級:10Hz~70kHz
ダンピングファクター 45以上(8Ω、1kHz)
周波数特性 Phono 1、2 MC(RIAA偏差):30Hz~15kHz ±0.2dB
Tuner-Pre out:5Hz~100kHz +0 -1dB
Tuner-SP out(8Ω負荷):5Hz~50kHz +0 -1dB
入力感度(定格)/インピーダンス Phono 1:2mV/47kΩ、68kΩ、100kΩ
Phono 2:2mV/47kΩ
Phono MC:50μV/10Ω
Tuner、Aux:120mV/50kΩ
Main in:1V/50kΩ
最大許容入力(1kHz、0.02%歪) Phono1、2:310mVr.m.s
Phono MC:7.5mVr.m.s
Tuner、Aux:20Vr.m.s
出力レベル/インピーダンス Rec out:120mV/600Ω
Pre out:1V/500Ω
トーンコントロール特性 Bass(125Hz⇔500Hz):±10dB(20Hz)
Treble(8kHz⇔2.5kHz):±10dB(20kHz)
サブソニックフィルタ 15Hz、12dB/oct
ハイフィルタ 10Hz、12dB/oct
ノイズレベル・SN比(IHF-A Network) Phono1、2:82dB
Phono MC:71dB(入力50Ωショート)
       68dB(入力0Ωショート)
Tuner、Aux、Tape:100dB
Main:118dB
残留ノイズ 0.07mV以下
<メーター部>
指示範囲 -50dB~+5dB
応答速度 100μs
復帰速度 0.95sec
<その他>
電源 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 300W
外形寸法 幅461x高さ170x奥行360mm
重量 20kg