YAMAHA AVC-3000DSP
¥350,000(1991年11月発売)
解説
CINE-DSPの可能性を追求し、全てに究極を目指して開発されたDSP AVコントロールアンプ。
音場処理のキーデバイスとして新たに開発されたYSS-213を搭載しています。
この大規模LSIは、2chデジタルイン、7chデジタルアウトを持つオールデジタル処理CINE-DSPプロセシングLSIで、内部演算語長30bitという高精度な処理能力を持っています。また、CINE-DSPで生じる様々な信号経路を自由に構成可能にし、外部アナログ回路を大幅に簡素化しています。
機能的には、ドルビープロロジックデコーダー、二重4ch、DSPの他、外部拡張インターフェイスやイコライザなどを内蔵しており、AVX-2000DSPのYSS-203とYM-3413を併せた上、周辺の回路や機能もオールデジタルで1チップに取り込んだ構造となっています。
ドルビープロロジックデコーダーの信号処理機能の全てをYSS-213に内蔵しており、精度と信頼性を高めています。
オートインプットバランス、オートアジマスコントロール及び、方向性強調回路、変形BタイプNRは内部ROMにマイクロプログラムを持つ専用ロジックとなっており、デジタルインターフェイス時のサンプリング周波数切替えにもs鋭角に対応しています。
また、センターモードコントロールやノイズシーケンサ機能も外部コントロールでき、ステアリングゲインコントロールやNRのon-offなど、フォーマット通りのデコード動作に加えて応用動作にも高い自由度を持たせて設計されています。
オリジナル入力をできるだけ大切にするため、アナログ入力時はエフェクトoff及びHiFi-DSP音場でメインch信号はそのままアナログパスを通り出力されます。エフェクトon時はアナログインプットトリムでA/Dコンバータの最適動作レベルに調整されたあと、高精度19bit相当A/Dシステムでデジタル変換され、YSS-213に入ります。
また、デジタル入力時は、デジタルインターフェイスICを介してYSS-213に入りますが、この場合もデジタルインプットトリム機能によりソース毎の音量差が補正されます。
YSS-213でDSP処理されたデジタル出力は、L、C、Rはさらにサウンドブライトネス、サウンドスクリーンイコライズのための二個のデジタルイコライザを経た後、18bitD/Aコンバーターでアナログ変換されます。
ヤマハがプロ機器用に開発したA/Dシステムを家庭用として初めて搭載しており、アナログ信号を16bitPCMフォーマット以上のクオリティでデジタル変換が可能です。
これは、大小信号用の二つのA/Dコンバーターから成り、両出力をDSP内部で管理することで、レベルに応じてデータを選択して使用するという構造となっています。これにより両者の利得誤差を10-23の精度で自動補正できるため、19bit相当のローレベルリニアリティと114dBのダイナミックレンジが得られています。
D/Aシステムには、様々なジッター変動要素を持つAVソースのため、優れた耐ジッター特性と微小信号再現性を持つアドバンスト複合補完型18bitD/Aシステムを搭載しています。
これは、高精度レーザートリミングによる18bit精度の10bitDACと、下位ビットを受持つ1bitDACとの複合動作によるもので、8倍オーバーサンプリングデジタルフィルタとの組み合わせにより、DSPの音質能力を最終的に仕上げています。
DSP処理能力を向上させたことにより、実測データから改めて起こし直した音場プログラムを、AV用15種HiFi用18種の計33種類搭載しています。
サウンドブライトネスコントロールを搭載しており、映画ソフトの一部で行われているスクリーン透過損失補正(高域ブースト)を、ISO-Bチェーンカーブに準拠した10段階の特性補正によって調整できます。
3バンドのセンターchパラメトリックイコライザを搭載しており、センタースピーカーがL/Rスピーカーと異なる場合に、周波数、レベル、Qを調節することで音色合わせが可能です。
サウンドスクリーン設定機能を搭載しており、L/C/Rchについて、2バンドパラメトリックEQと6dB/oct、ハイブーストフィルタによりサウンドスクリーン使用時の損失を補正できます。
また、使用状態により(off、Cのみon、L/C/R on)に設定できます。
スプリットスーパーウーファー出力を搭載しており、重低音の微妙な左右方向間を再現可能です。
また、Cchの低域成分も-3dBずつ左右に振り分けます。
リアエフェクトスーパーウーファー出力を搭載しており、リモコンでレベル調整が可能です。
スーパーウーファー用テストトーンを搭載しています。
ローカットフィルタースイッチを搭載しており、L/C/Rに小型スピーカーを使用する際、スーパーウーファーと自然なつながりを得ながら不用低域をカットします。
エフェクトch用バスエクステンションスイッチを搭載しており、エフェクト用に小型スピーカーを使用した場合に80Hzで+6dBエクステンドできます。この機能はフロント/リアで独立しています。
入力切替はモータードライブによるメカニカルロータリースイッチを方式で、音質劣化を低減するため、スイッチ部は入力端子近くに設置しています。
DBS入力では、ディスクリート4ch信号に対応できるようセンターとサラウンドの入力端子を容易しており、さらに4ch→2chエンコード回路も内蔵しているためディスクリート4ch入力時のCINE-DSP再生も可能です。
映像モニターアウトおよび映像レックアウトには適応型Y/C分離回路とY/Cミックス回路を内蔵しています。さらに、信号の有無で自動的にS/コンポジットが切替ります。
AMV-3000との接続に専用のシステムコネクタを使用することでパワーアンプ電源のリモートコントロールも可能です。
システムコネクタ接続時、コンプリート/プロセッサ切替えスイッチによりAVM-3000のアンプフォーメーションを自動的に切替える事が可能です。通常はコンプリートとし、手持ちのアンプをL/Rに使い、AVM-3000をセンターおよびエフェクト用として使用する場合はプロセッサ側に切替えるとL/R出力はピン端子に出力され、システムコネクタのL/Rはフロントエフェクトに、フロントエフェクトはリアエフェクトに切替ります。
Midi in端子を搭載しています。
ラーニングリモコンと簡単リモコンの2種類のリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | DSP AVコントロールアンプ |
<オーディオ部> | |
定格入力 | CD他:150mV/47kΩ |
定格出力 | Rec out:15.0mV/47kΩ Pre out:1V/1kΩ |
周波数特性 | 20Hz~20kHz ±1.0dB |
全高調波歪率 | 0.005% |
S/N比 | 98dB(アナログ、メイン/エフェクト) |
ダイナミックレンジ | 100dB(デジタル、メイン/エフェクト) |
トーンコントロール(L/C/R連動) | Treble:±10dB(20kHz) Bass:±10dB(50Hz) |
バスエクステンション | +7dB(70Hz、メイン/センター) +6dB(80Hz、フロント/リアエフェクト) |
シネマイコライザ | サウンドブライトネスコントロール(ISO-Bチェーンカーブ準拠) センターPEQ(3バンド67ポイントパラメトリックイコライザ) サウンドスクリーン(Off、TapeA、TapeB) |
<プロセッサ部> | |
プログラム | HiFi-DSP:6モード18プログラム Cine-DSP:6モード14プログラム ドルビープロロジック |
A/D | 19bit相当DSP追従制御方式フローティングA/Dシステム 64倍オーバーサンプリング ⊿Σ方式ADコンバーター fs=44.1kHz |
D/A | 8倍オーバーサンプリング アドバンスト複合補完型18bitDAシステム |
<ビデオ部> | |
S/N比 | 50dB |
周波数特性 | 5~15MHz -3dB |
付属機構 | Sビデオ入出力端子装備 ハイビジョン対応 |
<総合> | |
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 50W |
外形寸法 | 幅473x高さ170.5x奥行454mm |
重量 | 18kg |
付属 | ラーニングリモコン 簡単リモコン |