Wharfedale Dovedale3
¥57,000(1台、1973年頃)
解説
徹底してカラーレーションを排し、より忠実な音を追求した3ウェイスピーカーシステム。
低域には30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
コーン紙にはスカンジナビア産のパルプを使用しています。また、非磁性体を用いたウェイティングリングをボイスコイル部に装備することでウーファーに有害な800Hz以上の周波数を吸収し、コーン紙に伝わるのを防いでいます。これにより特性的には共振によるピークの発生が抑えられてカラーレーションを抑止しています。このメカニカルフィルターはフェイズシフト無しで12dB/octの急峻なロールオフ特性を実現しています。さらに、このウェイティングリングによって振動系の質量が増え、共振周波数を下げています。しかもコーン紙のネックであるボイスコイルボビンの振動中の変形が押さえられ、リニアに安定したモーションを可能にしています。
エッジ部にも注意がはらわれており、硬度を徐々に変える構造によって反射や共振を押さえつつコーン紙の振動を吸収するよう設計されており、干渉によるカラーレーションを避けています。
リアサスペンション(ダンパー)には独特のカーブが連続したものを使用しており、水平方向の安定度を高めるとともに電磁制動が弱まるのに反比例して強力な復元力を供給できるよう設計されています。磁界内でボイスコイルが運動する範囲ではハイコンプライアンス動作するよう考慮されています。
中域には12cmコーン型スコーカーを搭載しています。
コーン紙には特殊な粘弾性の樹脂ダンプ剤が塗布されており、紙自体のQを下げるよう設計されています。これによって高域限界周波数でのピークや不要振動を吸収し、音のカラーレーションを排除しています。
エッジは材質がフェルトで、振動板とのインピーダンスのマッチングも十分に考慮されています。
スコーカー部には独自のローディングチューブを採用しています。これはフロント側ではスコーカーの背面を覆ってエアタイトにキャビネットに固定されており、リア側はサンドイッチパッドと呼ぶ、やや空気の出入りがある柔らかなキャップで蓋をしてキャビネットに接しています。そしてウーファーからの音圧をスコーカーに伝えないよう可能な限り強い形態となっています。さらにダクト内のダンプ剤によってスコーカーの背面に放射される不要な音を反射せずに吸収しています。
高域には2.5cmドーム型ツィーターを搭載しています。
ダイアフラムはプラスチック製で、エッジから一体成形されています。
エンクロージャーは天板や側板などにロシア製の高硬度プライボードを使用し、バッフルにはポルトガル製の超高密度パーティクルボードを使用しています。
外観はウォルナット仕上げが施されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:12cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型 |
再生周波数帯域 | 40Hz~20kHz |
最低共振周波数 | 48Hz |
インピーダンス | 6Ω |
定格入力 | 50W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
キャビネット内容積 | 45リットル |
外形寸法 | 幅356x高さ610x奥行305mm |
重量 | 19.5kg |