WADIA Wadia16
¥1,100,000(1994年発売)
解説
Wadia6の設計思想をさらに推し進めて開発された最高峰モデルのCDプレイヤー。
D/A変換部にはワディア独自のデコーディングコンピューターを採用しています。
この方式は従来からあるデジタルフィルターやアナログフィルターを用いた補間方式とは異なり、先行する12サンプルからのデータに基いて独自の自然関数"ディジマスター"アルゴリズムによる実補間を行っています。そして、復元された32倍リサンプリングデータをアナログ信号としてダイレクト出力しています。
これによりデジタル再生において最も重要な時間的・過渡的特性を改善し、音楽の持つニュアンスとインパクトをよりリアルに再現しています。
Wadia16ではこの方式の魅力を引き出すため、2基のスター社製4パラレル高速DSPチップとバーブラウン1702リニアDACを搭載しており、56ビット80MIPSの演算処理能力によって21ビット精度の分解能を実現しています。
また、デジタルボリュームで音量を-30dBまで絞った状態でも16ビット以上の精度が確保されており、さらにスケーリングアルゴリズムのワンチップ処理によってデジタルボリューム使用時のクオリティをさらに向上しています。
アナログ出力段にはスルーレート2000V/μsec、ピーク電流250mA、出力インピーダンス1Ω以下を誇る高能力バッファー回路が設けられており、いかなる負荷に対しても強いアナログ出力を確保しています。
筐体にはワディア独自のスーパーデチューンドエンクロージャーを採用しています。
このシャーシでは航空機コンピューターグレードのアルミニウム合金パネルと上下に貫通した4本のスタッドとで構築された高剛性エンクロージャーをレンツの法則に基いきでチューニングしています。これによりオーディオ周波数からVHF、電磁波に至る幅広い帯域での電磁的共振を分散しています。
このデチューニング技術は筐体素材の均一化や厚み、経年変化に備えた表面処理、コーナー部分の処理から基板配置、プリントパターンまで多岐にわたっており、Wadia2000に始まる筐体設計技術の集大成となっています。
トランスポート部には新設計のCMK-3型VRDSメカニズムを搭載しています。
このメカニズムでは緩やかなテーパーを持つアルミダイキャストターンテーブルにディスクを圧着してディスク個々の反りや歪を矯正すると同時に演奏時の振動や共振を排除し、これらに起因するジッターの発生を抑制しています。また、ピット読取り精度の向上に伴ってサーボ電流の変動も低減し、サーボ作動時に発生するノイズによる音質劣化を最小限に抑えています。
さらに、ターンテーブルを支えるブリッジ部には新設計の肉厚補強リブ構造を、ブリッジ及びメカベースの材質には高精度・高比重の特殊高分子素材を採用しており、ディスク圧着を高精度ヘリコイド方式とすることで静粛・確実なクランピングを実現しています。
STタイプ光端子を含む4系統のデジタル入力端子を搭載しています。
50dB(1MHz)以上のジッター低減能力を持つクロックリカバリー回路によってデジタル機器の音声信号に高精度に対応します。
デジタル出力端子は4系統を装備しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
このリモコンではトランスポートの操作や音量調整、入力ソースの選択が行えます。
機種の定格
| 型式 | CDプレイヤー |
| <トランスポート部> | |
| CDドライブメカニズム | 無振動リジッドディスククランピングシステム(VRDS) |
| 量子化ビット数 | 16ビット/チャンネル |
| 変調方式 | EFM |
| 誤り訂正方式 | CIRC |
| ピックアップ | 光学式3ビーム方式、AlGaAs半導体レーザー、波長780nm |
| デジタル出力 | 4系統 ST、TOS、同軸(BNC)、AES/EBU(XLR) |
| <D/Aコンバーター部> | |
| デジタル入力 | 4系統 ST、TOS、同軸(BNC)、AES/EBU(XLR) |
| 対応サンプリングレート | 48k、44.1k、32k(自動識別) |
| デコーディングソフトウェア | ディジマスター |
| リサンプリングレート | 32倍 |
| 分解能 | 21ビット |
| デジタルプロセシング能力 | 24ビット |
| デジタルボリューム・コントロールレンジ | 50dB |
| 出力帯域幅 | DC~20kHz |
| パスバンドリップル | 0(モノトニック) |
| チャンネル位相差 | 0.5゜以下(10kHz) |
| CPU能力 | 80MIPS、計算能力336dB(56ビット) |
| 位相反転 | デジタル領域 |
| 出力バッファ | モノリシック |
| ピーク出力電流 | 250mA |
| 出力バッファスルーレート | 2,000V/μsec |
| 出力インピーダンス | 1Ω以下 |
| 出力レベル(0dB基準) | 4.5Vrms |
| オーディオ出力 | 2系統 バランス(XLR)、アンバランス(RCA) |
| <総合> | |
| 筐体 | スーパーデチンド・エンクロージャー 航空機用コンピューターグレード・アルミニウムプレート使用 レンツの法則にみられる筐体内電磁共振を排除 側板表皮効果トランジション@<20Hz |
| 電源 | トロイダルトランス、AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 25W |
| 外形寸法 | 幅432x高さ155x奥行408mm ポイント受けベース使用時:高さ162mm |
| 重量 | 20kg |
| 付属 | リモートコントローラー ポイント受けベース(4個) |
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