VICTOR TD-V711
¥85,000(1987年頃)
解説
ピュア&ダイレクト設計を追及し、線材にPCOCCを採用したステレオカセットデッキ。
ヘッド部には独立構造の3ヘッドを採用しており、録音ヘッドには磁束密度が高く磁気飽和特性に優れたSAヘッド、再生ヘッドには高域特性に優れたアモルファスヘッドを搭載しています。
さらに、コイル巻線や信号ケーブルにはPCOCC(単結晶状高純度無酸素銅)を採用し、基板にはOFC(無酸素銅材)パターンを使用することでクリアな音の再現を追及しています。
テープ駆動部には高精度モーターでダイレクトドライブするクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用しています。独立ヘッドの両側にキャプスタンとピンチローラーを配すこの方式により、テープの巻き始めから巻き終わりまでテンションを一定に保ち、常に安定したヘッドタッチを実現しています。しかも外乱振動などが伝わりにくく、変調ノイズも効果的に低減しています。
駆動モーターには3相6コイル・セラロックサーボのDDモーターを採用しています。
内部回路の相互干渉による音質への悪影響を防ぐためアンプ部・コントロール部・電源部を分離した3ブロック独立構造を採用しています。
この構造では、マイコン表示部を一ヶ所に集め、デリケートなアンプ部とインナーシャーシで基板ごと分離しています。さらに、電源トランスなどからの磁気滞留を追放するため、電源部をセンターシャーシで分離しています。
電源部には、大型トランスと大容量コンデンサーを用いた±トラッキング制御による低出力インピーダンス電源を採用しています。この回路では、アース電位がゼロとなるようプラス側とマイナス側が連携して動作することで増幅アンプの安定性が保たれています。
また、ハイゲインの電圧比較回路と高周波特性に優れて定電流制御回路の組合せにより、出力インピーダンスをオーディオ周波数帯域で1mΩ以下まで下げる事に成功しています。さらに電源供給は電流変化を抑えるため専用ラインで各回路へ供給しており、、複雑な音楽信号の変化や外乱ノイズ、相互干渉などに強い高安定化電源としています。
オーディオ回路は、録音系も再生系も回路から可能な限りコンデンサーを排したDCアンプ構成となっており、位相特性や歪率、リニアリティを改善しています。しかも、それぞれ別の基板に配した独立構造となっており、アンプ間の干渉をシャットアウトしています。さらにL/R対称の構成にすることでチャンネル間の干渉も断つことでセパレーションを改善しています。
不要な振動を防ぐためインナーシャーシが内部からボディをしっかり補強し、さらにボディ下部の高剛性重量級ソリッドベースで低重心・制振構造を追及しています。
また、大型のインシュレーションフットで外乱振動も排除し、アンダーシャーシに銅メッキ処理を施して磁気歪を低減しています。
音楽ソースを最短距離で入力するため、CDプレイヤーなどが直接接続できるダイレクト入力端子を搭載しています。
フロントパネルの電源スイッチ、入力セレクター、入力レベルのボリュームにはリモートバーを介して、リアパネルの入力端子の間際で切換え、コントロールするよう配慮がされています。また、各回路ブロックの伝送ルートも最短になるよう設計されています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/C NRを搭載しています。
ドルビーHX-PROシステムを搭載しており、録音時にバイアス量を音楽信号の変化に合わせて可変させることでフラットな周波数特性を得ています。さらに、カセットテープでは限界のあった高域特性も大きく改善しています。
大型FLディスプレイを搭載しています。このディスプレイではピークレベルを数字で読取ることができるデジタルピークを搭載しています。
また、メモリーボタンを押したカウントになると自動的に止まるメモリーストップ機構やテープの残量表示などが可能です。
オートモニター機能を搭載しており、録音時は録音直後のテープの音、ポーズで待機中はソースの音を自動的に切換えて出力できます。
自動選曲機能を搭載しています。
バイアス調整機能を搭載しています。
タイマースタート機構(録音/再生)を搭載しています。
ボリューム付きヘッドホン端子を搭載しています。
シンクロ録音端子を搭載しており、ビクター製CDプレイヤーとシンクロ録音が可能です。
極性表示付き極太電源コードや金メッキ入出力端子を採用しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
このリモコンは基本操作だけでなく、録音時にテープ/ソースのモニター切換機能や、デジタルピーク呼び出し機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ヘッド | 録音:SA 再生:アモルファス 消去:2ギャップフェライト |
モーター | キャプスタン用:3相6コイル・セラロックサーボDDモーター リール用:DCモーター メカニズム駆動用:DCモーター |
ワウ・フラッター | ±0.05% Wpeak(EIAJ) 0.022% WRMS |
早巻き時間 | 約95秒(C-60) |
周波数特性(-20dB録音、EIAJ) | メタル:15Hz~21kHz ±3dB クローム:15Hz~19kHz ±3dB ノーマル:15Hz~19kHz ±3dB |
SN比 | 56dB(メタル、EIAJ) 59dB(WTD、1kHz、3%3次高調波歪率、メタル) |
歪率 | 0.5%(1kHz、3%3次高調波歪率、メタル、EIAJ) |
チャンネルセパレーション | 40dB(1kHz、EIAJ) |
クロストーク | 65dB(250Hz、EIAJ) |
入力端子 | CDダイレクト:80mV/50kΩ ダイレクト:80mV/50kΩ ライン:80mV/50kΩ |
出力端子 | ライン:0.3V/600Ω ヘッドホン:0~1mW/8Ω(8Ω~1kΩ適合) |
その他端子 | コンピュリンク-1/シンクロ(x2) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 18W(電気用品取締法) |
最大外形寸法(EIAJ) | 幅435x高さ140x奥行336mm |
重量 | 約10.0kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-RT711 ピンコード リモートワイヤー |