VICTOR KD-970SA
¥83,800(1976年頃)
解説
センアロイヘッドを搭載したステレオカセットデッキ。
録再ヘッドにはSA(センアロイ)ヘッドを採用しています。
センアロイは、パーマロイ・コアの前面に高硬度センダスト合金を接合したもので、フェライトに匹敵する耐摩耗性を備えている上で、割れや欠けの心配が少なく、パーマロイの優れた磁気特性も持っています。
IC化された自動雑音低減装置ANRSを搭載しており、全段直結回路や歪補正回路等によって諸特性を向上したほか、録再切換えIC内部の無接点電子スイッチで行う事によって信頼度を向上しています。
アンプ回路には、3段増幅CR型イコライザーをはじめ全段リニアリティを重視した設計が採用されており、ラインアンプには規準レベル+18dBの大入力にも耐えるIC回路を採用しています。
また、ユニット基板化されたアンプ回路は、それぞれ可変個所を多くして1台ずつ入念に調節する方式を採用しており、基板間の連絡にもワイヤーの使用を極力避け、ライン基板には印刷抵抗を多用してハンダ付け個所を減らすなど、信頼性と均一な品質を重視しています。
ライン入力にはマイクアンプを通らずに独立したボリュームでレベル調整できる方式を採用しています。
VUメーターは出力インピーダンスの低いIC回路でドライブされており、メーターにも精度やダンピング特性の良いものを採用することで20kHzでの指示語さが-2dB以内となっています。
また、スイッチ切換えにより、パルシブな入力に追従できるピークチェックタイプとして動作させることができます。
バイアスとイコライザーが独立して切換えできるテープセレクターを搭載しています。
クローム・バイアス・ポジションでは録音感度補正回路が入り、フェリクローム・テープが使用できるように設計されています。また、クローム・イコライザーは高域だけでなく低域のリニアリティも向上させる3180μS-70μSの時定数を採用しています。
メカニズム部は、テープを見やすくするため30度傾斜させたスラントメカニズムとなっており、モーターには周波数発電機を組み込んだDCサーボモーターを採用しています。
さらに、0.1ミクロンの高真円度を誇る独シュマーグ社製キャプスタンや大型フライホイール、ネオプレン・ゴムベルトの組合せにより、低ワウ・フラッターと安定走行を実現しています。
CdSフォトセルを利用した光電式のフルオートストップ機構を搭載しています。
カセットドアにはエアダンプ機構を採用することでソフトな開閉を実現しています。
ポーズ機構と電磁ソレノイドを組合わせたタイマーレコーディング機構を搭載しています。
メカニズム操作レバーにはSK鋼材が採用されています。
電源回路に安定化電源を採用することで回路を安定させています。また、トランスにはオリエントコアタイプを採用しています。
テープ走行を防げない純電子式テープラン・インジケーターを搭載しています。
メモリーカウンターを搭載しています。
再生専用ボリュームを搭載しています。
ACアウトレットを搭載しています。
別売りで専用のウッドケースがありました。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ |
周波数特性 | 20Hz~18kHz(クローム) 20Hz~17kHz(ノーマル) |
SN比 | 56dB(JIS) 52dB(ピークレベルより) ANRS on時:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 |
ワウ・フラッター | 0.09%(WRMS) |
クロストーク | 65dB(録・再飽和レベルにて) |
チャンネルセパレーション | 35dB(録・再飽和レベルにて) |
バイアス・消去 | ACバイアス95kHz、AC消去95kHz |
ヘッド | センアロイ録再ヘッド 消去ヘッド |
モーター | 周波数制御DCサーボモーター |
早送り・巻戻し時間 | 90秒(C-60にて) |
入力感度/インピーダンス | Mic:0.2mV/600Ω~10kΩ Line:78mV/100kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Line:0~0.5V/10kΩ以上 Headphone:0~0.5mW/8Ω |
録再コネクター | DIN端子 入力:15mV/9.2kΩ 出力:ライン出力に準ずる |
使用半導体 | トランジスタ:37個 FET:2個 IC:8個 ダイオード:33個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 18W |
外形寸法 | 幅420x高さ159x奥行297mm |
重量 | 8.5kg |
付属 | 接続コード ヘッドクリーニングバー チェックミラー |
別売 | ウッドケース WD-10(¥6,000) |