VICTOR KD-95SA
¥108,000(1977年頃)
解説
ビクターの技術を結集して開発したステレオカセットカセットデッキ。
バイアス・イコライザー独立切換え機構とテープ感度補正機能を搭載しています。
これまでのテープセレクター機能に加えて400Hz発振器とキャリブレーションボリュームを搭載することで、テープの種類による感度の違いを正確に補正し、テープの性能を引き出すことができます。
レコーディング・イコライザー・スイッチを搭載しており、感度調整では不可能な高域特性の補正を5段階の録音イコライザー切換スイッチで行うことができます。この機能によってテープの特性に応じて録音時の周波数特性を10kHzで±3dB、1.5dBステップで変化させることができ、より原音に近い録音を可能にしています。
メカニズムには2モーター方式のID(Independent Drive)メカニズムを採用しています。この方式ではキャプスタンの駆動ベルトを他の駆動系から独立させることで、テイクアップホイールなどからの干渉を効果的に遮断し、テープ走行を安定させています。また、KD-95SAでは、キャプスタン駆動に専用のFGサーボDCモーターを使用することで優れたワウ・フラッターを実現するとともに、電子式ロジックオペレーションによって操作性の向上を図っています。
また、カセットハーフにはテープをしっかりと支えるイジェクト機構付デュアルボール方式を採用しています。
録再ヘッドにはSA(センアロイ)ヘッドを採用しています。
センアロイは、最大磁束密度が高い、バルクハウゼンノイズが少ない、キューリー点が高く温度特性が安定している、材料特性の劣化が少ないなどの特徴を持っています。しかし、ブロックコアで使用すると渦電流損失などのヘッド損失が大きいため、高域周波数特性が悪化しやすく、パーマロイ積層ラミネートにするにはあまりにも堅すぎるという問題点もありました。
SAヘッドでは、パーマロイ積層ラミネートコアのテープ摺動面にセンアロイ・チップを高温接着した複合構造とすることでセンアロイのヘッド化を実現し、優れた再生を可能にしています。
ノイズリダクションシステムとしてANRSとスーパーANRSを搭載しています。
ANRSでは、録音時に入力信号の高域をあらかじめ持ち上げておき、再生時に元に戻してフラットにすることで、相対的にテープヒスのレベルだけを低下させ、SN比を改善しています。そしてスーパーANRSはANRSの原理をさらに発展させたもので、ノイズ低減効果に加えて周波数特性や歪率を改善しています。
また、回路のIC化によって高い信頼性を獲得しています。
LEDを用いた高速応答5点ピークインジケーターを搭載しています。
ON/OFFスイッチを搭載しています。
ミラースケールの高精度大型VUメーターを搭載sいています。
マイク/DINとラインのミキシング録音が可能です。
エア・ダンプ式のカセットドアを採用しています。
光電式フルオートストップ機構とメモリーカウンターを搭載しています。
タイマースタンバイメカニズムを搭載しており、別売タイマーを組み合わせることで留守録音や目覚まし再生が可能です。
ラックハンドルは別売オプションです。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
周波数特性 | 20Hz~18kHz(VX/クローム) 20Hz~17kHz(SF) |
SN比 | ANRS off:60dBWTD(VXテープ、1kHz、3%THD) ANRS on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 Super ANRS on:6dB改善(10kHz、0VU録音時) 12dB改善(10kHz、-5VU録音時) |
歪率 | Super ANRS on:3%以下(10kHz、0VU録音時) 3%以下(10kHz、-5VU録音時) |
ワウ・フラッター | 0.05%(WRMS) |
ヘッド | 録再:SA(センアロイ) 消去:フェライト(2ギャップ) |
モーター | FGサーボDCモーター DCモーター |
外形寸法 | 幅420x高さ211x奥行321mm 幅480x高さ211x奥行338mm(ラックハンドル装着時) |
重量 | 11.0kg |
別売 | BTSラックハンドル BH-95(¥4,000) |