オーディオの足跡

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DD-88の画像
 解説 

3ヘッド&DDシリーズのカセットデッキ。

メカニズム部にはパルスサーボDDモーターを採用しています。
このモーターは、ビクター中央研究所で開発されたホール素子を用いて極性のスイッチングを行うことでブラシレス構造を実現しており、機械的接点を排除しています。また、コアやスロットも取り去ることでコッキングなどの回転ムラやノイズを除去し、小型・高性能化を可能にしています。
サーボ回路にはFGサーボを採用しており、204極102パルスの全周積分型とすることで位置的なズレが起きても検出誤差を抑えています。また、位置的なズレが起きるのを防ぐためFGマグネットはキャプスタンと同軸とし、センターを保持してから着磁する方法となってます。
さらに温度変化や部品のバラツキによって影響を回転精度に影響を与えるのを防ぐため、新開発のマルチプライド・ブリッジドライブ回路を採用しており、ワウ・フラッターを向上させています。さらに、フライホイールには変調ノイズに有効な複合材料を採用し、鳴き(振動)によるフラッター成分や高域の濁りを排除しています。

3ヘッド&DDシリーズのメカニズム部では、3ヘッド用にさらに細部の改良が施されています。
従来の3ヘッドシステムでは消去ヘッドとパッドでテープを挟んでテンションを与えていましたが、新メカニズムではメカニズム自体の構造を検討しなおし、精度を上げることでテンションパッドを排除してます。これにより摩擦による走行不安定要素が無くなり、変調ノイズが改善されています。
また、立ち上がりの良いソレノイド・オペレーションでありながら、メカ動作音を極力抑えており、操作フィーリングの向上も図られています。さらに、ドアまわりには6件もの実用新案を採用しており、遊び(ガタ)を極小に抑えることでカセットハーフがしっかりと固定され、走行性能に好影響を与えています。

エディ・カレント(渦電流)を応用したテンション・スタビライジング・ループシステムを搭載しています。
この方式は、サプライ側リールに取付けられた平盤マグネットに対向して、テイクアップ側リールと同調して回転する円盤をセットした構造となっており、マグネットと円盤の回転方向は逆になるため、両者の間にエディ・カレントが発生し、テンションが働きます。これにより巻き始めと巻き終わりのテンションの差を小さく抑えることができ、安定した走行性能を得ています。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーC NRとANRS(ドルビーB NR)を搭載しています。
ドルビーCは回路的には2段スライディング・バンド方式を採用しています。スライディング・バンドとは信号のレベルによって圧縮伸長する周波数を変える方式で、ブリージング(息づき現象)低減に効果があり、しかも有信号時のSN比や過渡特性に優れています。
ノイズリダクション帯域は中高域にわたって従来より広くとってあり、高いノイズ低減効果を得ています。また、高域リニアリティを改善する機能も持っており、高域特性をさらに改善しています。
さらに、新開発のドルビーC標準ICを採用することで、動作がさらに安定し信頼性が向上しています。
DD-88ではMPXフィルターを内蔵しており、誤動作を防止しています。

再生ヘッドにX-cutセンアロイヘッド、録音ヘッドにセンアロイヘッドを用いたコンビネーションヘッドを採用しており、それぞれのヘッドに最適のギャップ幅がとれる3ヘッド構成とすることで、より忠実度の高い録音・再生が可能にです。
センアロイヘッドはパーマロイ6層ラミネートコアのテープ摺動面にセンアロイチップを高温接着した独特の複合構造となっており、コア損失やギャップ精度、耐摩耗性、耐蝕性などの面で多数の利点を得ています。また、最大磁束密度が高いためメタルテープの優れた高域特性にも対応しています。そして、X-cutセンアロイヘッドではセンダストチップを特殊形状加工することで高域の伸びに対応して低域のうねり(コンターエフェクト)も改善されています。

消去ヘッドには2ギャップフェライトヘッドを採用しています。

アジマスやヘッドタッチの狂いを防止するため、ヘッドのスライドベースにねじれや変形に強い4点支持の亜鉛ダイカストを使用しています。また、非接触型のバックテンションシステムを開発することで一層の安定を図ると同時に経時変化を飛躍的に改善しています。

アンプ回路には信号系に入るコンデンサーの数を削減したDC構成アンプを採用しており、コンデンサーによって発生する歪やノイズ、位相の変化を少なくすることができ、過渡特性が改善されています。ヘッドアンプはダブル差動アンプを用いたダイレクト・カップリングとなっており、マイクアンプや録音アンプ、ANRS/Dolby NR回路も±2電源によるDCアンプ構成とすることで音声信号の通るアンプは全てDC構成となってます。
さらに、電源回路には誤差検出回路の精度を上げて性能をより向上しており、リップルの少ない安定した回路となっています。

フルロジックコントロールを採用しています。

ピーク/VUの切換えが可能なドットマトリックス2色FL18セグメントデジタルピークメーターを搭載しています。
ピークホールド付きとなっています。

REC EQ機構を搭載しています。

4桁FL電子カウンターを搭載しています。
このカウンターは、テイクアップリールに直結して回るマグネットの磁性変化をホール素子で検出してFL表示しています。また、2点メモリー機構を内蔵しており、オートリワインド機構の併用によって任意の2転換のリピート再生が可能です。
このカウンターはスイッチの切り替えでストップウォッチにもなります。

ミュージックスキャン(自動頭出し)機能を搭載しています。

メモリーオートリワインド機構を搭載しています。

ヘッドホン連動の再生ボリュームを搭載しています。

タイマースタンバイ機構を搭載しており、別売タイマーを接続することで留守録音や目覚まし再生が可能です。

リモコン端子を搭載しています。

機種の定格
型式 ステレオカセットデッキ
ヘッド 録音:SA
再生:X-cutSA
消去:2ギャップフェライト
モーター キャプスタン用:パルスサーボDDモーター
リール用:DCモーター
ワウ・フラッター ±0.05%(Wpeak、EIAJ)
0.021%(WRMS)
早巻時間 約90秒(C-60)
周波数特性
メタル(EIAJ):

VX/クローム(EIAJ):

ノーマル(EIAJ):
25Hz~18kHz ±3dB(-20dB録音)
25Hz~12.5kHz ±3dB(0dB録音)
25Hz~18kHz ±3dB(-20dB録音)
25Hz~8kHz ±3dB(0dB録音)
25Hz~17kHz ±3dB(-20dB録音)
25Hz~8kHz ±3dB(0dB録音)
周波数範囲(-20dB録音) メタル:15Hz~20kHz
VX/クローム:15Hz~20kHz
ノーマル:15Hz~19kHz
SN比 NR off:55dB(メタル)
     60dB(WTD、1kHz、3%3次高調波歪率、メタル)
ANRS/Dolby B on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善
Dolby C on:500Hzで約15dB、1kHz~10kHzで最大20dB向上
        MOL改善効果:10kHzで4dB向上
歪率 0.4%(1kHz、3次高調波歪率、メタルテープ)
チャンネルセパレーション 40dB(1kHz)
クロストーク(EIAJ) 65dB(250Hz)
入力端子 Line:80mV/80kΩ
Mic:0.2mV(-74dBV)/600Ω~10kΩ適合
出力端子 Line:0~500mV/5kΩ
Headphone:0~0.6mW/8Ω(8Ω~1kΩ適合)
リモコン端子 8ピンDINタイプ
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 34W
最大外形寸法 幅435x高さ110x奥行323mm
重量 約6.9kg
別売 ワイヤードリモコン R-50(¥7,000)