VICTOR TT-101
¥150,000(1977年頃)
解説
プロ用クォーツロック・プレイヤーの技術を活かしながら、さらに進んだ設計思想を盛り込んで開発されたラボラトリーシリーズのターンテーブル。
TT-101の速度制御は2系統の制御回路で構成されています。
基本となるサーボ系は従来のダイレクトドライブ方式と同様の構成で、モーター内にインテグレートされた180スロットの積分型FGからサーボ信号を得て、モーター駆動回路を制御しています。
もう一方のクォーツロック・サーボ系では、同じFGの検出信号と、水晶の正確な発振周波数をもとにした基準信号の位相を比較し、その差を位相制御回路に送ってモーター駆動回路をドライブしています。クォーツロックを付加することで回転精度は改善しており、特に長周期のワウやドリフトに対してや、耐負荷特性が改善しています。
基本サーボ系には±サーボシステムを採用しています。
モーターの回転変動は殆どの場合回転が遅くなる方向(マイナス方向)で生じるため、従来の一般的なサーボ方式では速度低下を重視しています。その反面、速度ーバー(プラス方向)に対してはモーターの駆動電流を切るだけの事が多く、応答が遅れる弱点も持っていました。
±サーボシステムでは速度オーバーに対しても敏速に応答する事でスタート時のオーバーシュートが少なく、45rpmから33-1/3rpmへの減速も瞬時に行います。
世界初の可変ピッチコントロールを搭載しています。
TT-101ではクォーツロックを解除せずに回転数を細かく調整できるという特長を持っており、音楽の標準ピッチであるA音440Hzに対して1Hzステップで±6Hzの調整が行えます。
駆動モーターにはコアレスDCサーボモーターを採用しています。
ステーターコイルから鉄芯を取り除いたコアレスタイプとする事でDCモーターの欠点とされるコッキング(トルクのムラ)を抑えています。
電源部にはリーケージフラックスや磁気振動の少ない高効率トロイダル電源トランスを採用しています。
回転数の表示には4桁のLEDによるデジタルカウンターを採用しています。
また、その他の動作インジケーターにもLEDを採用しており、操作スイッチ類も電子スイッチを採用しています。
電子ブレーキによるクイックストップ機構を搭載しています。
ストップボタンを押すと瞬間的にモーター駆動回路へ逆電流が流れ、逆回転力によって素早く回転を止めます。
機種の定格
型式 | ターンテーブル |
ターンテーブル | 31.6cmアルミダイキャスト製、2.05kg(ゴムカバーリングを含む) |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
駆動モーター | FG検出コアレスDCサーボモーター |
サーボ形式 | クォーツロック±サーボ |
回転数 | 33-1/3rpm、45rpm |
回転数調整範囲 | ±6Hz(440Hz基準) |
回転数切換 | 電子式(電子スイッチ) |
起動特性 | 0.6秒以内(60゜、33-1/3rpm時) |
ワウフラッター | 0.02%(WRMS) 0.008%(回転部) |
SN比 | 75dB(DIN-B) 65dB(IEC-B) |
起動トルク | 1.8kg-cm |
クイックストップ特性 | 1秒以内(33-1/3rpm時) |
オーバーシュート | 2%以内 |
負荷特性 | 0%(針圧120g) |
ドリフト | 0.0001%/h 0.00003%/℃ |
電圧特性 | 0%(±10V) |
回転数偏差 | 0.002%以内 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
取付孔寸法 | 直径281mm正円形 |
外形寸法 | 幅358x高さ150x奥行358mm |
重量 | 10.0kg |