VICTOR M-3030
¥105,000(1977年頃)
解説
動的干渉歪の低減を図ったステレオパワーアンプ。
動的干渉歪を低減するためにビクターが採用したA級・B級独立2電源方式をさらに発展させたAB・LR独立電源方式を採用しています。
動的干渉歪は、B級電力増幅段(出力段)の消費電流が信号レベルの変化に応じて激しく変化し、電圧増幅を行う出力段以前のA級増幅段に干渉することで発生します。この問題を根本的に解決するため、A級・B級独立2電源方式ではA級段とB級段の電源をトランス自体から分け、あわせてA級段用電源を定電圧化しています。これによってB級段の電圧変動が直接A級段に伝わることが無くなり、動的干渉歪を防いでいます。
M-3030に採用されたAB・LR電源方式ではこれを発展させ、B級段用電源を左右チャンネル専用化することでいっそうの歪低減を図っています。
基板パターンや信号ワイヤー間の飛びつき干渉やアースラインの電位差、シャーシ構造による飛びつき干渉などの静的クロストークを低減するため、ツインモノラル構成を採用しています。
入力部のカップリング・コンデンサーを排除したICL(インプット・コンデンサー・レス)回路を採用しています。
左右独立のレベルコントロールを装備しています。
DirectoとSubsonicの2系統の入力端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 信号回路:ダイレクト・カップリング(ICL)カスコード・ダブル差動同相帰還入力 パラレル・プッシュプルOCL出力 電源回路:A級・B級(左右専用)独立電源 |
実効出力 (両ch駆動、20Hz~20kHz) |
130W+130W(4Ω) 100W+100W(8Ω) |
高調波歪率(8Ω、両ch駆動) | 実効出力時:0.02%以下(20Hz~20kHz)、0.005%以下(1kHz) 50W出力時:0.01%以下(20Hz~20kHz) 1W出力時:0.01%以下(20Hz~20kHz) |
混変調歪率(8Ω、両ch駆動、 50Hz:7kHz=4:1) |
実効出力時:0.02%以下 37W出力時:0.01%以下 1W出力時:0.01%以下 |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~55kHz(THD 0.02%) |
周波数特性(1W出力時) | Direct入力:5Hz~100kHz +0 -1dB Subsonic入力:18Hz~100kHz +0 -3dB |
入力感度/インピーダンス | 0.9V/50kΩ(レベルコントロールMAX時) |
SN比 | 110dB(IHF-Aネットワーク、入力ショート) 103(RMS) |
出力端子 | Speaker:4Ω~16Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 243W(電気用品取締法基準) 550W(4Ω、実効出力時) |
外形寸法 | 幅420x高さ166.5x奥行300mm |
重量 | 19.2kg |