VICTOR AX-V909
¥190,000(1989年頃)
解説
デジタル信号処理によるドルビープロロジックとデジタルアコースティックプロセッサー、6チャンネルパワーアンプを搭載したAVアンプ。
AX-V909ではドルビープロロジックのサラウンド情報をデジタル信号処理しており、高度なデジタル信号処理によってコントロール信号のダイナミックレンジを20dB以上も改善しています。これにより音の正確な移動感や小信号時の定位感、チャンネルセパレーションなどを大幅に向上させています。
プロロジックモードは4種類を搭載しています。
デジタル・オートアジマスコレクターとオートバランサーを搭載しています。
ドルビープロロジックサラウンドの方向性強調回路は入力信号に位相差やレベル差があるとリアルな移動感や定位感が損なわれてしまいます。これを解消するため、デジタルオートアジマスコレクター&オートバランサーではソフト製作時や再生機器の信号出力時に発生した位相差とレベル差をデジタル信号処理でリアルタイムに最適自動調整し、ドルビープロロジックサラウンドの持つ音を引き出しています。
サラウンド機能としてDAP(デジタルアコースティックプロセッサー)を搭載しており、実際の演奏会場での臨場感の再現を図っています。
ビクターではこの機能を実現するため、世界各地の著名演奏会場の音を6本のマイクを用いた独自の対称6点音場解析法によって実測定し、ホール内に広がる音を高精度に収録することで360度の音場空間特性を分析しています。さらに、音楽ソフトやリスニングルームにも固有の音場特性があることに着目し、ソフト制作側の協力を得て、録音スタジオやリスニングルームの音場分析も合わせて行い、演奏会場で得たデータとともにコンピューターで総合解析しています。これらのデータの信号処理は一貫したステレオによるL/R完全独立信号処理システムを初めて導入して行っており、従来のモノラル(L+R)信号処理では失われていた音場成分を損なわずにデータとして完成させています。
AX-V909ではプリセットされた音場パターンは8種類あり、さらにリスニングルームの残響時間や広さに合わせて各種パラメーターを調整できるほか、6chと4chの2つの再生モードを搭載することで好みに合わせてオリジナルな音場を演出して楽しめます。
(特長については仕様欄に記載)
D/A変換部にはK2インターフェース回路とDD(Digital Direct)コンバーターを搭載しています。
DDコンバーターは1ビットD/Aコンバーターの一種で、デジタル信号を水晶クロックに基いて変化する1ビット動作のパルス波に変え、直接アナログ変換しています。ビット量を積み重ねないため、従来のラダー型D/Aコンバーターで発生していた振幅誤差に起因するゼロクロス歪が原理的に発生せず、微小レベルの再生能力が大幅に向上しています。
DDコンバーターは8倍オーバーサンプリングデジタルフィルター+VANS方式4次ノイズシェーパー+PEM方式DACの3つのパートで構成されています。新開発のVANS方式ノイズシェーパーはデジタルフィルターから出力されたデータを後段の1ビット動作PEM方式DACに適したデータにするためビット圧縮を行っています。この時発生する再量子化ノイズは1ビット系初の4次ノイズシェーピングによって排除しており、ダイナミックレンジの拡大を実現しています。そしてPEM方式DACで入力データを水晶クロックで変化する高精度・高分解能のパルス波に変え、直接アナログ変換しています。
デジタル入力ではドルビープロロジックサラウンドもDAPも再生機側のD/A変換やAX-V909のA/D変換を介さないデジタル直結のピュア再生が可能です。
A/D変換部には64fs・4次ノイズシェーピング1ビットデュアルA/Dコンバーターを搭載しています。
デジタルディレイを搭載しており、15~30msecまで1msecステップでの可変が可能です。
パワーアンプ部には完全ディスクリート構成の6チャンネルパワーアンプを搭載しています。
しかもフロント2チャンネルとセンター2チャンネルにはダイナミックスーパーAを搭載した音質重視設計となっています。
内部コンストラクションはパワーアンプ部をヒートシンクで囲った構造となっており、デリケートな入力信号処理部をノイズから遮断しています。また、電源トランスは制振ベースを介してマウントすることで振動を追放しています。
ACコードには無酸素銅線を採用し、電源コンデンサーは素材を厳選するなど、高音質化を追求しています。
スピーカー出力はドルビープロロジックデュアルセンター/DAPに対応した8チャンネル分を備えています。
光入力2系統を含む4系統デジタル入力と6系統のオーディオ入力を搭載しています。また、映像入力は6系統備えており、その全てにS端子を搭載しています。
デジタル(同軸)、ビデオ、オーディオの端子には金メッキが施されています。
ドルビープロロジックサラウンド/DAPプロセッサーとしての利用が可能な6系統のプリアウト端子や、独立した6チャンネルパワーアンプとして用いられるメインイン端子を搭載しています。
音と映像のソースが別々に選択できるAV独立RECセレクターを搭載しています。
従来型VTRからS-VTRへの編集に便利なY/C分離回路を搭載しています。
また、画像の輪郭を補正できるエンハンサーを搭載しています。
操作状態をTV画面に文字表示できるオンスクリーン機能を搭載しています。
オンスクリーンではスピーカーの使用状況が絵表示されるとともに、センターチャンネルとリアチャンネルのレベルはデシベルで表示しています。
テストトーン機能を搭載しており、スピーカーの音量バランス調整が行えます。
ガンメタリックとブラックの2色のカラーバリエーションがありました。
リモコンとしてプログラマブルリモコンが付属しており、他のAV機器のコントロールが可能です。
このリモコンにはラーニング機能を搭載しており、ビクターだけでなく、各社のVTRやTV、ビデオディスク、BSチューナー、CD、DAT、デッキなど最高18機種・最大174種類のリモコン信号が記憶できます。
機種の定格
型式 | AVアンプ | ||||||||||||||||||
<オーディオ部> | |||||||||||||||||||
実用最大出力(EIAJ、6Ω) | ステレオモード:130W+130W サラウンドモード フロント:120W+120W リア:50W+50W センター:50W+50W |
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S/N | CDダイレクト:110dB Phono MM:77dB |
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ダンピングファクター | 100(1kHz、8Ω) | ||||||||||||||||||
周波数特性 | 5Hz~80kHz +1 -3dB Phono MM:20Hz~20kHz ±0.5dB |
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トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz) |
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<デジタル部> | |||||||||||||||||||
サンプリング周波数 | 32kHz、44.1kHz、48kHz | ||||||||||||||||||
全高調波歪率 | 0.003% | ||||||||||||||||||
ダイナミックレンジ | 97dB | ||||||||||||||||||
入力 | CD・VDP(光)、DAT(PLAY)・BS(同軸) | ||||||||||||||||||
出力 | DAT(REC)(同軸) | ||||||||||||||||||
<サラウンドモード> | |||||||||||||||||||
ドルビープロロジック |
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デジタルアコースティックプロセッサー |
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プログラムデータを調整できるパラメータ (標準レベルは1) |
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リスニングルーム・音楽ソースに合わせて音場を調整できるパラメータ |
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<ビデオ部> | |||||||||||||||||||
入力 | VTR1/2、VDP、BS、TV、V-AUX (S端子併設) |
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出力 | VTR1/2、Monitor (S端子併設) |
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<総合> | |||||||||||||||||||
ACアウトレット | 電源スイッチ連動:2系統(総合100W) 電源スイッチ非連動:1系統(100w) |
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電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||||||||||||||||
消費電力 | 320W(電気用品取締法) | ||||||||||||||||||
外形寸法 | 幅435x高さ172x奥行440mm | ||||||||||||||||||
重量 | 17.0kg | ||||||||||||||||||
付属 | ラーニングリモコン RM-SA909 |