オーディオの足跡

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A-X55の画像
 解説 

リニア伝送と実装性能を追求したプリメインアンプ。

上位機種であるA-X77とほぼ同じ構成となっており、パーツ変更や出力などが異なります。

シンプルな2アンプ構成を採用しており、ハイゲインMC・MM/DCサーボ・イコライザーと、ダイナミック・スーパーAパワーアンプによる全段Aクラス動作となっています。

パワーアンプ部には、Bクラスアンプに劣らない高効率ハイパワーでありながら、スイッチング歪やクロスオーバー歪、TIM歪などを一掃したスーパーAを採用しています。また、トランジスタの裸特性を損なわないピュアNFBを加えることでNFBの効果を超高域へ伸ばし、可聴帯域の特性を平坦化しています。

A-X55ではスピーカー実装時の動特性を高めるため、アイソレートドライブ回路とウェーブ・コレクション・プロセッサーと呼ばれる2つの技術が追加されています。

アイソレートドライブ回路は、プリドライブ段とパワー段の間に挿入されています。この回路はプリドライブ段とパワー段あるいはスピーカーの動的干渉を断ち切るもので、FETの特性を生かした一種のインピーダンス変換回路となっています。
一般的なパワーアンプは、出力インピーダンスの高いプリドライブ段でパワー段を定電流駆動していますが、この方法では音楽信号によるパワー段の動作変動やスピーカー負荷の影響がプリドライブ段にフィードバックされて大きな干渉歪を発生します。またパワー段では、プリドライブ段の高い出力インピーダンスと位相補正コンデンサーによる信号源インピーダンスが周波数特性を持ち、低い周波数ほどインピーダンスが高くなってしまいます。
アイソレートドライブ回路によるインピーダンス変換はこれらの干渉歪を極めて効果的に抑制でき、プリドライブ段はパワー段とスピーカー負荷の影響から解放され、歪の少ない安定した動作が可能となります。そして、パワー段は一定の低いインピーダンスで定電圧駆動されるため、出力インピーダンスも広帯域に低くフラットになります。このため、ダンピングファクター特性が向上してスピーカーの駆動力が強化されます。
また、スピーカーの逆起電力も殆どパワー段で吸収することになり、IIM(Interface Inter Modulation)歪の発生を防いでくれます。

ウェーブ・コレクション・プロセッサーは、スーパーAバイアス回路によって補正されたパワー段の信号電圧波形に対して、電流による波形操作を加えて完全な原波形に戻そうとする補正回路で、極めて安定に広帯域な歪低減動作を行います。このため動作上のデメリットを生じることがありません。
アイソレートドライブ回路や新開発の高速動作・高リニアリティ・スーパーA・ICとあいまって、NFBをかける前の歪の低減効果は従来のスーパーAに比べて20~40dBも向上しています。特に、重要な1kHz以下の基音帯域の特性が改善されています。このウェーブ・コレクション・プロセッサーによってパワー段のリニアリティは無帰還アンプとしても十分に通用するほどになっています。

新開発のダイナミック・スーパーA専用ICを採用しており、従来のスーパーA動作を継承しながら高速応答性やリニアリティを向上させています。

イコライザーアンプ部はMC使用時の歪率特性が大幅に向上しています。
これは、初段に付加されたアクティブロードと、パワーアンプ部と同様なピュアNFBの相乗効果によるもので、オープンループゲインを高めて低域から高域まで必要かつ十分な負帰還をかけたことで実現しています。
また、電源回路にも一般的な直列型定電圧回路に加えてシャント型定電圧回路を採用しています。電源電圧を2重にロックしながら信号レベルと無関係に電源ライン電流を一定化することで、信号経路と電源経路の干渉歪の除去を図っています。この干渉歪はアースラインに電位差を生じることが原因ですが、シャント型定電圧回路ではその内部電流と負荷(イコライザーアンプ)を流れる電流の和が常に等しくなるように動作し、負荷のすぐ近くに配線することで基板や配線材の抵抗分によって生じる電位差の悪影響を排除しています。

リアパネルの入力端子は全て基板にダイレクト接続されています。また、Phono入力とスピーカー出力はそれぞれ端子の近くにリモートスイッチを設けて配線の引き回しを無くし、信号系のクリーン化を徹底しています。

大電力を扱うパワーアンプ部の電磁的・静電的影響がイコライザーアンプ部に及ぶことがないよう大型ヒートシンクで回路基板をセパレートしています。

高性能電解コンデンサーをパワー段の基板上に置いたダイレクトパワーサプライ方式を採用しています。また、大電流が流れるパワートランジスタへの給電には太い銅板バスバーを用いて電源インピーダンスを低減しています。

常用スイッチにはショートストロークのクリスタル調大型プッシュスイッチを採用しています。
また、シーリングポケット内にはセット位置がわかりやすいロータリースイッチを多用しており、操作機能を明確に区別しています。

無共振・無誘導化構造のエミッター抵抗などの音質重視パーツを採用しています。

ボリュームポインターを兼ねたLEDプロテクションインジケーターを搭載しており、保護回路の動作確認ができます。

3系統のテープ入出力を搭載しています。そのうち1系統はフロントパネルのシーリングポケット内に装備しています。

パラレル駆動も可能な2系統のスピーカーセレクターを搭載しています。

不必要な超低域と超高域の変化量を抑えたトーンコントロール回路を搭載しています。

機種の定格
型式 プリメインアンプ
<回路方式>
イコライザーアンプ部 ピュアNFB・ICL・DCサーボ、初段EL-FETカスコードブートストラップ付きMC/MMイコライザーアンプ
パワーアンプ部 ダイナミックスーパーA、ピュアNFB・ICL・DC初段デュアルFETカスコードブートストラップ付きパワーアンプ
電源部 ダイレクトパワーサプライ(パワー段)
シャントロック・パワーサプライ(イコライザー段)
<総合特性>
実効出力
(Tuner、Aux、Tape→SPout)
80W+80W(20Hz~20kHz、8Ω、THD0.003%)
83W+83W(1kHz、8Ω、THD0.0007%、By HP-IB Audio Analyze System)
全高調波歪率(実効出力時)
Tuner、Aux、Tape→SPout:


Phono MM→SPout:
0.003%(20Hz~20kHz、8Ω)
0.0007%(1kHz、8Ω、By HP-IB Audio Analyze System)
0.02%(5Hz~60kHz、8Ω)
0.007%(20Hz~20kHz、8Ω、Vol-30dB)
混変調歪率 0.002%(60Hz:7kHz=4:1、実効出力時、8Ω、Tuner、Aux、Tape→SPout)
スイッチング歪 0
TIM歪 0(LPF fc=100kHz)
出力帯域幅 5Hz~60kHz(IHF、両ch動作時、8Ω、THD0.02%、Tuner、Aux、Tape→SPout)
周波数特性 DC~300kHz +0 -3dB(8Ω、Tuner、Aux、Tape→SPout)
ダンピングファクター 150(1kHz、8Ω、Tuner、Aux、Tape→SPout)
入力感度/インピーダンス
(1kHz)
Phono MM:2.5mV/47kΩ
Phono MC:180μV/100Ω
Tuner、Aux、Tape1/2:160mV/47kΩ
SN比 Phono MM:86dB(IHF A-202 84dB、Rec out)
Phono MC:70dB(250μV入力、IHF A-202 76dB、Rec out)
Tuner、Aux、Tape:110dB(IHF A-202 84dB、SP out)
トーンコントロール Bass:±8dB(100Hz)
Treble:±8dB(10kHz)
サブソニックフィルター 18Hz、-6dB/oct
ラウドネス +6dB(100Hz)、+4dB(10kHz)
ミューティング -20dB
<イコライザーアンプ部(Phono→Rec out)>
Phono最大許容入力 Phono MM:250mV(1kHz、THD0.0008%)
Phono MC:15mV(1kHz、THD0.001%)
RIAA偏差 20Hz~20kHz ±0.2dB
全高調波歪率 Phono MM:0.004%(8V出力時、20Hz~20kHz)
Phono MC:0.008%(8V出力時、20Hz~20kHz)
出力電圧/インピーダンス Rec out:160mV/660Ω
<その他>
電源コンセント switched:2系統
unswitched:1系統
電源 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 200W(電気用品取締法)
外形寸法 幅435x高さ140x奥行404mm
重量 10.0kg