VICTOR SX-V7
¥190,000(1台、1995年頃)
解説
トールボーイデザインとマホガニー無垢キャビネットを採用し、音の実在感を追求したスピーカーシステム。
低域には20cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板にはドイツ・クルトミューラーのパルプコーンを採用しており、パルプの持つ適度な内部損失や微小信号への反応の良さや豊かな音色、自然な音場などの優れた特性をそのままに、剛性を強化して軽さとねばりを向上させています。また、エッジにもしなやかさと剛さを併せ持つクルトミューラー製ラバーエッジを採用しています。
さらにビクターが蝶ダンパーをもとにして独自に開発したスパイダーサスペンションを採用しています。スパイダーサスペンションでは素材に麻布を補強材にしたベークライトを使用することで精度を向上しており、小振幅から大振幅までのリニアリティとロングストローク・レスポンスを高めています。
中域には6.5cmソフトドーム型スコーカーを搭載しています。
ダイアフラムには自然素材でもとりわけ張力が強く伸びのある音を再現できる麻を使用しており、ナチュラルで存在感豊かな音質を得ています。
高域には3.5cmソフトドーム型ツィーターを搭載しています。
ツィーターの振動板には羽二重シルクダイアフラムを採用しています。この振動板は軽く、腰があり、トランジェントに優れた指向特性と微小入力時の優れた立ち上がりを持っています。さらに振動板の成型後に薄膜ゴムを多層塗布することで剛性を高めています。
全ユニットに高磁束・低漏洩を誇るビクター伝統の内磁型アルニコ磁気回路を採用しており、特殊な処理を施すことで磁気特性を向上させています。
また、全ユニットのフレームをアルミダイキャストフレームとすることで不要な振動を排除しています。
ネットワーク部の内部配線にはビクター独自のOFC(無酸素銅線)用いており、各ユニットへの配線を独立配線とすることで内部干渉を防止しています。
また、配線はハンダを使用せずにカシメ接続とすることで接点ロスを無くしてストレートな伝送を実現しています。
入力端子には抵抗の少ない金メッキバナナプラグ対応端子を採用しています。
エンクロージャーはトールボーイ型を採用しており、内容積を確保する事で豊かな低域を確保しています。また、テーパード形状とすることで定在波を減少し、全ての稜に丸みを持たせることで回折現象を抑え、くっきりとした音像を実現しています。さらに音の主軸を着座時の耳の位置にあわせるためバッフル面をわずかに傾斜させています。
エンクロージャー素材には、このサイズでは初めて無垢のままのマホガニーを使用しています。特にバッフルは32mm厚、天板は25mm、側板は20mm、地板は30mm厚として強度を高め、響きの良さを追求しています。さらに一旦組み上げた後に表裏層に新開発の樹脂を含浸させることで無垢材特有の経年変化を防いでいます。
外観は丹念に磨き上げて接合面をフラッシュラーフェス仕上げとし、マホガニー独特の木目の美しさを生かしています。
脚部は4点支持方式とすることで音の濁りの原因となる不要振動をアースしています。特にフロント部はバッフル板に埋め込まれたエンドピンから直接アースされており、音の濁りの無いクリアな再生を実現しています。
フロントの2点は高さが調整でき、床面にピタリと設置することができます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型・防磁型(EIAJ) |
ユニット | 低域用:20.0cmコーン型 中域用:6.5cmドーム型 高域用:3.5cmドーム型 |
周波数特性 | 35Hz~30kHz |
出力音圧レベル | 88.5dB/W/m |
定格入力(EIAJ) | 45W |
最大入力(EIAJ) | 180W |
定格インピーダンス | 4Ω |
クロスオーバー周波数 | 530Hz、4kHz |
最大外形寸法 | 幅298x高さ880x奥行309mm(ターミナル、サランボード含む) |
重量 | 23kg |