解説　

ソフトドームユニットを中高域に搭載したSXシリーズのスピーカーシステム。

低域にはクルトミューラー社製KDUコーン紙を用いた30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
KDUコーン紙はヤング率が高く弾力性があり、さらに反応が強いなど優れた素材です。
また、大口径ウーファーで問題になる、コーン紙の分割振動をおさえるため、ウーファーに5個のコニカルドームを採用しています。これによりウーファーの歪を低減しています。
エッジにはロール状のサンドイッチ・ダンプド・エッジを使用してます。
磁気回路には電流歪を減少させる銅キャップ構造を採用しています。そして、ボイスコイルにはロングトラベル・タイプを採用し、振幅歪を排除してます。さらに、フェノール樹脂巻きとしているので大入力に強くシステム総合の最大入力100Wを実現してます。

中域には7.5cmのソフトドームユニットを搭載しています。
このユニットの振動板は、均質・柔軟性を第一とするドームは念入りに織られたルーズバインドの麻布を基材とし、ドーム全体を均質成形してます。また、ボイスコイルにはアルミボビンと新しく開発された熱硬化性接着剤の併用による巻線で、瞬間最大入力150Wにも耐える強さになっています。
磁気回路には120mm径の大型湿式Baフェライト・マグネットを採用し、また、電流歪を減少する銅キャップが使われています。
そして、ソフトドームの背面は密閉型式になっており、十分な吸音材をつめた適度なバック・キャビティが付けられています。この構造と、ゴム系ダンプ材で十分にダンプされたソフトドームによって200Hzの低foを達成しています。

高域には3cmソフトドーム型トゥイーターを搭載しています。
ドームの材質は植物繊維を基材とし伸縮をさまたげない均質なルーズバインド、さらにゴム系ダンプ材の塗布で、柔軟性に富む優れた品質を得ています。また、磁気回路には銅キャップが採用され、低歪を実現しています。

キャビネットの前後面には、素直な振動減衰波形を持ち、ピアノ用にも使われている北米産の針葉樹ダグラスファー合板がしようされています。
また、内部には単なる補強用としてだけでなく、ピアノなど楽器の構造から学んだ響棒を採用し、キャビネットの音の伝播を整えています。
吸音材には、一般のグラスウールより、はるかに吸音率の高い動物性繊維を主体にしたエステルウール吸音材を採用しています。

ネットワークは、クロスオーバーポイントが500Hzと5000Hzで、いずれも12dB/octのデバイディングネットワークになっています。
そして、ネットワークのコアにはビクターで開発されたケイ素鋼板コアが採用されています。

レベルコントローラーが高域ユニット、中域ユニットに搭載され、ノーマルポジションから-50dBまで減衰することが可能です。

機種の定格

方式	3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型
ユニット	低域用:30cmコーン型 中域用:7.5cmドーム型 高域用:3cmドーム型
インピーダンス	4Ω
最大入力	100W
出力音圧レベル	88dB/W/m
周波数特性	25Hz～20000Hz
最低共振周波数	40Hz
クロスオーバー周波数	500Hz、5000Hz
レベルコントロール	ミッドレンジ、トゥイーター定抵抗連続可変型
外形寸法	幅355x高さ635x奥行322mm
重量	25.0kg