VICTOR S-755
¥65,000(1台、1976年頃)
解説
フェイズ・リンク・コアキシャルのユニットと38cmウーファーを組合わせた3ウェイフロア型スピーカーシステム。
低域には38cmのコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットのコーン紙とボイスコイルボビンの結合部分にコンプライアンスを持たせたメカニカル・ハイカットフィルターを搭載しています。低いクロスオーバー周波数で通常のLCネットワークを用いると、大きなインダクタンスのコイルがウーファーと直列に入り、そのDC抵抗が無視できない値になってしまいます。S-755ではメカニカルフィルターの材質を慎重に選んでおり、電気的なネットワークと変わらないシャープな遮断特性を得ています。また、大口径のウファーは周波数が高くなると分割振動が始まり、音質的に不利となりますが、S-755では正確なピストンモーションの範囲内で使用しているため大口径ウーファーのメリットだけを十分に生かせています。
振動板には新開発のSP-Iコーン紙を採用しています。SP-Iコーンは繊維の長さが均一で強靭なハイヤング率のコーンとなっています。
中高域にはワイドレンジ設計の20cmスピーカーと4cmツィーターを組み合わせた20cm同軸型スピーカーを搭載しています。
このユニットにはフェイズリンクコアキシャルという技術を採用しています。この方式ではコンピューターを駆使したパルストレイン法やフェイズモアレ伝送パターン測定法等によって放射波形を影像化しており、これを素にしてスコーカーとツィーターの位相を合わせる事で、滑らかな特性を獲得しています。
高域用に定抵抗連続可変型のレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
また、フロントバッフルが後方へ5度傾斜したテーパードバッフルを採用しています。これは通常の聴取位置に対して最も適当な角度を人間工学から割り出したもので、同時にキャビネット内部の定在波による周波数特性の乱れを防いでいます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
ユニット | 低域用:38cmコーン型 中高域用:20cm同軸型 中域用:20cmコーン型 高域用:4cmコーン型 |
再生周波数帯域 | 30Hz~20kHz |
インピーダンス | 8Ω |
最大入力 | 80W(ミュージック・パワー) |
出力音圧レベル | 93dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 250Hz、8kHz |
レベルコントロール | 高域用:定抵抗連続可変型 |
外形寸法 | 幅480x高さ803x奥行410mm |
重量 | 31.5kg |