VICTOR FB-7
¥179,000(1台、1975年頃)
解説
プロフェッショナル用ユニットの性能を妥協なく生かすために作られたスピーカーシステム。
ユニットには業務用途を想定して単独に開発が進められたものを採用しています。システムに合わせてユニットを開発するのではなく、ユニットにあわせてシステム開発がされています。
低域には30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板には米国ホーレー社製のコーン紙を採用しています。等価質量が35gに満たない軽い振動系と、総磁束339,000maxwell、磁束密度12,000gaussのアルニコVリングマグネットによる内磁型磁気回路を組み合わせる事で、微小入力のリニアリティも優れた高能率ユニットを実現しています。
また、ボイスコイルには熱処理を施す事で電流歪を軽減したエッジワイズドボイスコイルを採用し、低歪な駆動力を得ています。さらに、特殊鋳物の一体成型ボトム・ヨーク、アルミダイキャストフレーム等にも独自のノウハウが生きています。
高域にはホーン型ツィーターを搭載しています。
このユニットは開口径100mmの大型エクスポネンシャル・アルミホーンを持つカットオフ周波数1kHzのコンプレッションタイプとなっています。FB-7では2kHzから上の広い帯域を受け持っています。
振動板は米国製の40ミクロン耐蝕アルミニウムを用いており、機械歪の少ない独自のエア成型法で精密加工されています。直径は33mmとなっています。
磁気回路にはウーファーと同様なボトム・ヨークの内磁型アルニコVマグネットを使用しており、磁束密度は14,000gaussに達しています。
ホーンの開口部にはドリップ型イコライザーを装備しています。この水滴型イコライザーは通常のスロートイコライザーに対向して置かれており、音響中心をホーン前縁近くまで引き出す役割を持っています。これにより大型ホーンにありがちなスロートの奥から音が聞こえる違和感を解消し、コンプレッションドライバーの優れたトランジェントや周波数特性を損なわずに音像の前進を図っています。
ネットワーク部にはケイ素鋼板コア入りの低損失・ハイQコイルや、ネットワーク専用に設計されたコンデンサー等を採用しています。
特にハイパス・フィルターには誘電損失が無極性ケミコンの1/100、一般的なフィルムコンデンサーの1/10というフィルムコンデンサーを新開発して採用しています。
レベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーはカットオフ周波数35HzのバックローディングCWホーンとなっています。
コンピューター制御のNCルーターによって0.01mmの精度で加工されており、正確に組み立てられています。
移動に便利なキャスターを搭載しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バックローディングCWホーン方式・フロア型 |
ユニット | 低域用:30cmコーン型 高域用:ホーン型 |
周波数特性 | 30Hz~20kHz |
インピーダンス | 8Ω |
最大入力 | 100W(ミュージックパワー) |
出力音圧レベル | 102dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 2kHz |
レベルコントロール | 定抵抗連続可変型(ツィーター) |
外形寸法 | 幅535x高さ975x奥行560mm |
重量 | 56.0kg |