TRIO KT-9007
¥90,000(1974年発売)
解説
D.S.D.C.方式を採用した最上位モデルにあたるFM/AMチューナー。
MPX部はPLL回路とD.S.D.C.方式の2つの回路方式を組み合わせて構成しています。
D.S.D.C.方式では、主スイッチング信号と補助スイッチング回路の出力を左右対称にし、また逆位相にとり、両スイッチング回路の出力を加えることによって漏れ信号を打消しています。また、位相補正回路を設置することで、主信号と漏れ信号の位相を合わせるように設計されています。
これに、スイッチング信号とパイロット信号との位相ズレを抑えることで、セパレーションの悪化を抑えたPLL回路を組み合わせることで、優れた特性を実現しています。
チューニングメーターとシグナルメーターの2メーター方式を採用しています。
シグナルメーターはデビエーションメーターやマルチパス歪検出メーターとして使用できます。また、シグナルメーターは電界強度比例型/リニアメーターとなってます。
プリアンプ部には±2電源方式を採用しています。さらに、オーディオ出力回路にはリードリレーによるミューティング回路を内蔵しており、パワーON/OFF時のポップノイズを除去しています。
また、Rec outとOutputに独立したバッファーステージを設置した低出力インピーダンス設計を採用しています。
リアパネルで音量調整が可能なヘッドホンアンプを内蔵しています。
IF段には、IC2段、トランジスタ2個、8素子のセラミックフィルターを使用しています。
フロントエンド部のRF増幅段とミキサー回路にはデュアルゲートMOS FETを使用しています。また、局部発振回路のバッファーにFETを使用し、大入力時のAM抑圧比や混変調特性、歪、相互変調特性を改善しています。
キャリアリークフィルターには、有極型の減衰量の優れた3段フィルターを採用しています。
M型同軸コネクターを搭載しています。
2段切換式のFMミューティング回路を搭載しています。
ファンクションインジケーターを搭載しています。
4ch DET OUTやマルチパス出力端子を搭載しています。
1975年頃から別売りオプションとしてキャリングハンドルが販売されました。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
アンテナインピーダンス | 300Ω平衡 75Ω不平衡 |
クワイティングスロープ | 55dB(3μV) 65dB(10μV) 73dB(50μV) |
感度(IHF) | 1.7μV |
歪率(400Hz、100%変調) | mono:0.15% stereo:0.2% |
SN比(100%変調、1mV入力) | mono:75dB stereo:70dB |
イメージ比 | 10dB |
選択度(IHF) | 100dB |
IF妨害比 | 100dB |
ハーモニック・スプリアスレスポンス | 110dB |
AM抑圧比 | 65dB |
キャプチャーレシオ | 1.0dB |
ステレオセパレーション | 50dB(400Hz) 42dB(50Hz~10kHz) |
キャリアリーケージ | -65dB |
マルチパスインピーダンス | H:130kΩ V:30kΩ |
周波数特性 | 50Hz~10kHz +0 -0.5dB 20Hz~15kHz +0 -1.2dB |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 520kHz~1610kHz |
感度 | 20μV(IHF) 300μV/m(バーアンテナ) |
歪率 | 0.5% |
SN比(30%変調、1mV入力) | 50dB |
イメージ比 | 70dB |
選択度(IHF) | 40dB |
IF妨害比 | 70dB |
<総合> | |
出力レベル/インピーダンス | FM(400Hz、100%変調):1.5V最大/1.8kΩ AM(400Hz、30%変調):0.15V最大/1.8kΩ 4ch DET OUT:0.15V/30kΩ マルチパス出力:0.13V |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力(電気用品取締法) | 24W |
外形寸法 | 幅435x高さ157x奥行300mm |
重量 | 8.9kg |
別売 | キャリングハンドル D-9(1ペア、¥5,000) |