TRIO LS-707
¥89,000(1台、1977年頃)
解説
55Hzから16kHzの帯域にわたり出力音圧偏差を±2dBに抑えるという「リニアレスポンス」の思想が生きる3ウェイフロア型スピーカーシステム。
低域には33cmコーン型ウーファーを搭載しています。このユニットは、磁気回路にツボ型ヨークとアルニコ鋳造マグネットを採用し、均一磁界を得ています。
また、ダンパー、フレーム、トッププレートに囲まれる空気室の空気がコーン紙の運動により圧縮され、リニアリティを悪化させるのを防ぐため、ダンパーとフレームの間に通気孔を設け再生レスポンスを平坦化させるとともに第3次高調波歪を抑制しています。
コーン部ではコーンの素材が再生レスポンスに与える影響を考慮し、CFコーンに酸化チタンをコーティング(塗布)して、再生レスポンスを高めています。さらにエッジには断面が非対称なS字型をした反共振の少ないエステル系発泡ウレタンエッジが採用されています。
中域には12cmコーン型スコーカーを搭載しています。
ウーファー同様に強力な均一磁界が得られるツボ型ヨークとアルニコ鋳造マグネットを採用しています。
高域にはホーン型トゥイーターを搭載しています。
振動板にはスーパージュラルミンを成型したV字状のリング型ダイアフラムを採用しています。リング型ダイアフラムは駆動面からエッジまでの距離が短いため分割振動の生じる周波数が高くなり、高域共振を起こりにくくします。さらに、V字型ダイアフラムの外周に小さなV字型エッジを設け、リニアリティをさらに改善しています。
このリング型状のダイアフラムに音波の回折効果を利用したディフラクションホーンを組合わせています。
磁気回路には15,000gaussの磁束密度を持つ80φ20mmのフェライトマグネットを採用しています。さらに、ポールピースとマグネットの間の空気室には、音の反射を防ぎかつダンピング特性を改善するため、ミクロン・グラスウールを装てんしています。
レベルコントロールには、リッツ線を使用したステップダウン式アッテネーターを採用しており、ダンピングファクターの劣化を抑え、過渡応答特性を改善しています。
バッフル面には3.25度の傾斜角を持たせ、さらにウーファーを床から極力離すことにより、床に設置したときの音の反射や吸収を防いでいます。また、ダクトには断面積を徐々に拡大するテーパードダクトを採用しています。
スコーカーのバックキャビティには比重2.3というレジンコンクリート系の材質に木材のチップを混入し、適度な内部ロスを持たせた特殊合成樹脂を採用して有害な振動を抑えています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型 | ||
ユニット | 低域用:33cmコーン型(LC-0068) 中域用:12cmコーン型(ML-0061) 高域用:ホーン型(HH-0056) |
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周波数特性 | 25Hz~20kHz | ||
出力音圧偏差 | 55Hz~16kHz ±2dB | ||
最大入力 | 100W | ||
定格入力 | 60W | ||
インピーダンス | 8Ω | ||
出力音圧レベル | 93dB/W/m | ||
クロスオーバー周波数 | 1.3kHz、6.5kHz | ||
アコースティックレベルコントロール | 中域:±2dB、3ステップ 高域:±3dB、3ステップ |
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外形寸法 | 幅440x高さ910x奥行404mm | ||
重量 | 43kg | ||
<ユニット特性> | |||
型番 | LC-0068 | ML-0061 | HH-0056 |
型式 | 33cmコーン型 | 12cmコーン型 | リング振動板ホーン型 |
再生帯域 | fo~2.7kHz | 400Hz~10kHz | 3kHz~20kHz |
出力音圧レベル | 93dB/W/m | 97dB/W/m | 104dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω | 8Ω | 8Ω |
磁束密度 | 10,000gauss | 13,500gauss | 15,000gauss |
総磁束 | 145,000maxwell | 48,900maxwell | 28,400maxwell |