
KENWOOD KX-9050/KX-9050S
KX-9050:¥74,800(1992年頃)
KX-9050S:¥89,800(1992年頃)
解説
新開発メカニズムや高品位ヘッドを採用した3ヘッドカセットデッキ。
KX-9050SはKX-9050の構成にドルビーSを追加した構成となっています。
ドルビーSは従来のドルビーCに比べて40%弱のノイズ低減効果を持っており、高域で24dBに加え、従来のNRシステムでは未対策だった低域のノイズも10dB低減しています。また、数値に現れるノイズ低減効果以外に、急激な音の立ち上がり時に発生しがちなブリージングによる聴感上の不自然感も大幅に改善しています。
さらにKX-9050Sでは再生イコライザーにおける聴感上のノイズを低減するために初段Bi-FET方式とS/N劣化の無い新トリム調整機能を採用しています。また、ドルビーS基板は外来ノイズを抑制するグランドプレーン構造を使用しており、基板内の信号経路を最短化する事で業界最小のドルビーS基板(1992年2月当時)を実現しています。
ドルビーSはドルビーBタイプと互換性があり、ドルビーBタイプを搭載したカセットデッキでもドルビーSタイプのテープを再生できます。
メカニズム部には新開発のコアつき周対向型ダイレクトドライブキャプスタン3モータークローズドループメカニズムを採用しています。
カセットデッキ用で初めてコア付き周対向型ダイレクトモーターを採用しており、従来型DDモーターに比べてトルクが大きく、3.4倍の制御特性を実現しています。また、立ち上がり時間も約1/2で安定するため、STOP状態でキャプスタンをアイドリングしておく必要がなく、軸受部の不要摩耗を最小限に防ぐ事ができます。
リールベースにはテイクアップサイドにダンパー付きを採用しており、負荷変動によるリール駆動変化やワウフラッター変化が少ないため、テープトップ・センター・エンドでも常に一定したテープ走行が得られます。
ヘッドにはPC-OCCアモルファスアロイ3ヘッドを採用しています。
録音・再生ヘッドともに電磁変換特性が良く耐摩耗性を考慮したアモルファスヘッドを搭載しています。また、これらヘッドのコイルにはPC-OCCコイルを採用しており、高域特性に優れ伝送ロスの少ないヘッドを実現しています。
消去ヘッドにはセラミックガード付きのセンダストイレースヘッドを採用しています。
通常のフェライトヘッドでは金属としての結晶密度が低いためマイクログループ(微小な穴)が出来てしまいます。クローズドループデュアルキャプスタン方式ではテープヘッドタッチの圧が強いためマイクログループによる摩擦効果によって高域成分における残留磁束の自己減磁が発生してしまいます。この問題を解消するためセンダストをフェライトコア表面に用いる方法が一般的となっていますが、センダストを用いた場合ハイバイアスと呼ばれる210kHz消去バイアスではヘッド自体の発熱量が高くなり、テープに与えるダメージが大きくなるため、録音バイアス210kHzの機種でも消去バイアスを150~160kHzにしていました。
セラミックガード付きのセンダストイレースヘッドでは消去効率が高くギャップ間の渦電流損失をなくす非磁性体部を持つ三相構造のコアのため、発熱量はダブルギャップフェライト並に抑えられており、センダストイレースヘッドでの210kHz消去バイアスと高効率消去が可能となっています。
ヘッドブロックには真鍮ボスと1.6mm厚鋼板による構成を採用しています。
これにより通常のダイキャスト製鋳造ヘッドベースに比べて収縮等の狂いが生じにくく、経年変化によるアジマスずれも起こしにくい構成を実現しています。
メカニズムをセンターレイアウトにする事で理想的な荷重配分と電源レイアウトを実現しています。
また、徹底した振動対策として1.6mm厚の鋼板シャーシを採用すると共に、ツインビーム構造のPCボードベースや同じ厚さのパネルサブフレーム、1.2mm厚のシャイ面パネルを採用しています。
全面タイプのカセットスタビライザーを採用しており、カセットハーフのねじれや振動を抑え、装着精度を高めています。
ハーフ接着面には通常用いられる樹脂系の振動吸収素材ではなく、純毛フェルト素材を制振材として装備しています。
A.T.C.S.&バイアス・ファイン・アジャスト機能を搭載しています。
バイアスレベルは400Hzと10kHzで、テープ感度では10kHzを自動調整します。さらに設定値から±3段階のバイアス値シフトができ、好みに合わせた音質調整が可能です。
また、A.T.C.S.値をテープ別(ノーマル・クローム・メタル)にメモリーするバイアスプリセット機能も搭載しており、同一テープで録音する場合に再度キャリブレーション作業を行うのを省略できます。
CDダイレクトイン機能を搭載しています。
この機能ではCDの2V固定に合わせ、バランスや録音レベルをパスし、直接ドルビーICまで信号を入力します。これにより接点抵抗が減り、より純度の高い録音が可能です。
デュアルFLメーターを搭載しています。
電源部には4電源供給巻線を分離した±電源トランスを搭載しています。
パワーローディングシステムを搭載しています。
ディスプレイ全消灯を含む2段階ディスプレイオフスイッチを搭載しています。
16キーのフルファンクションリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
トラック形式 | ステレオ |
録音方式 | 交流バイアス(ハイバイアス210kHz) |
ヘッド | 録音・再生:アモルファスアロイヘッド(コンビネーションヘッド) 消去:セラミックガード付きダブルギャップセンダストチップフェライトヘッドx1 |
モーター | キャプスタン駆動モーターx1 リール駆動モーターx1 メカアシストモーターx1 ローディングモーターx1 |
ワウ・フラッター | 0.024%(WRMS) |
早巻時間 | 約75秒(C-60テープ) |
周波数特性 | メタル:20Hz~22kHz ±3dB |
SN比 | 59dB(Dolby NR off) 67dB(Dolby B NR) 75dB(Dolby C NR) 80dB(Dolby S NR、KX-9050Sのみ) |
歪率 | 0.7%(1kHz、第3次高調波歪率、メタル) |
入力感度/インピーダンス | Line:77.5mV/50kΩ CD Direct:460mV/10kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Line:490mV/1kΩ Headphone:2.3mW/8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 23W(KX-9050) 26W(KX-9050S) |
最大外形寸法 | 幅440x高さ138x奥行328mm |
重量 | 7.3kg(KX-9050) 7.5kg(KX-9050S) |
付属 | ワイヤレスリモコン(RC-X090) |