TRIO KP-880D
¥89,800(1983年発売)
解説
DLモーターシステムとDSトーンアームを採用し、より理想的な再生を図ったプレイヤーシステム。
回転系にはトリオ独自のDLモーターシステムを搭載しています。
このシステムでは、スピンドルの外径面にきった特殊なオイルスリットとオイルホールにより、スピンドルの回転に伴いオイルが循環し、スピンドル全体を超高圧薄膜でカバーしスラスト受部と剛体化します。同時に、リングボーンと呼ばれる逆くの字形に加工されたオイルスリットが、流体の圧力を利用した強力な力で、スピンドルを回転軸上に固定しています。
これにより、ワウフラッター0.006%を達成した他にも、軸受部からの振動及びノイズの発生を追放し、さらに磨耗する部分をもたないため長時間使用しても性能の劣化が無いなど、数々のメリットを得ています。
トーンアーム部には、1ナイフ・2ピボット方式のDSトーンアームを採用しています。
トーンアームの前方への動きを防ぐ独自のナイフエッジを設置しており、針先がどんな大信号溝をトレースしても、アームの支点が舞えに引張り込まれないようにトーンアームの支点を固定しています。
この軸受部のガタつきを無くした高剛性設計により、低域のクロストークや高域でのビリつきを抑え、より高音質化を実現しています。
さらに、アーム本体にはアルミをベース材とした高剛性ストレートパイプアームを採用しています。
アーム内部に5本のリブを設けて形状的に剛性を高め、さらに硬質アルミナを積層することで、最低共振周波数を低くし高剛性を実現しています。
クォーツ発振子の基準信号、速度検出信号を比較して位相差を制御するクォーツPLL方式を採用しています。
回転数検出にはマグネットと、モーターのローターの磁束密度の変化によって発電するFGコイルを用い、速度制御系にはIC内部にデジタルメモリーをもつ新開発ICを使用しています。
サンプル&ホールド方式とは違い、コイルや抵抗を使わないため、温度特性や安定性が向上しています。
450kg・cm2の大慣性ターンテーブルを使用し、針先がレコード盤をトレースする時の動的な回転ムラを慣性ロックし、静的な定常回転ムラをクォーツロックしています。
モーター支点(ターンテーブルの回転支点)とアーム支点を明確化するため、メカニカルショート構造を採用しています。
アーム支点とモーター軸をARCB材で固定し、同時にDLモーターシステムもダイレクトに固定することで、トランスファエラー(変換ロス)を大幅に減少させています。
機種の定格
| 型式 | DSトーンアーム・DLモーター・DDターンテーブル |
| <モーター部> | |
| 駆動方式 | ダイレクトドライブ |
| モーター | クォーツPLLコアレス&スロットレス 3相スイッチング、プレーンドライブ、DCサーボ |
| 起動トルク | 1.2kg・cm |
| ターンテーブル | 33cm、1.9kgアルミ合金ダイキャスト製 |
| 慣性モーメント | 450kg・cm2(ゴムシート含む) |
| 回転数 | 33・1/3、45rpm |
| ワウ・フラッター | 0.006%(FG直読法) |
| SN比 | 82dB(DIN-B) |
| <トーンアーム部> | |
| 型式 | スタティックバランスストレートアーム |
| アーム実効長 | 245mm |
| オーバーハング | 15mm |
| トラッキングエラー | +1.8゜~-1.0゜ |
| 針圧可変範囲 | 0g~3g(0.1gステップ) |
| 適用カートリッジ重量 | 2g~12g(付属シェル使用時) |
| <総合> | |
| 付属機構 | 無接点オプティカル検出オートリフトアップ機構 トーンアーム高さ調整機構(可変範囲7mm) |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力(電気用品取締法) | 14W |
| 外形寸法 | 幅490x高さ182x奥行410mm |
| 重量 | 13kg |
| 付属 | 専用シェルx2 |
| 別売 | シェル HS51(¥2,000) |