TRIO KP-800
¥85,000(1982年発売)
解説
高剛性回転機構であるDLモーターシステムを採用したプレイヤーシステム。
DL(ダイナミックセンター・ロック)モーターシステムは、潤滑流体の圧力を利用して、高剛性でスピンドルを回転絶対中心点にロックする世界初の精密回転メカニズムで、これにより、優れたワウ・フラッターを得ると同時に、摩耗部分を持たないことで長時間使用による性能劣化を防いでいます。
構造は、スピンドルの外径面にきった特殊なオイルスリットと老いるホールにより、スピンドルの回転に伴いオイルが循環し、スピンドル全体を超薄膜状態でカバーしてスラスト受部と剛体化しています。
同時に、へリングボーンと呼ばれる逆くの字形に加工されたオイルスリットが、流体の圧力を利用した力で、スピンドルを回転軸上に固定しています。この圧力は非常に強力で、7.5kgまでのターンテーブルシートやスタビライザーを乗せてもセンターロック能力を維持しています。
450kg・cm2の大慣性ターンテーブルを使用し、針先がレコード盤をトレースするときの動的な回転ムラを慣性ロックし、さらに静的な定常回転ムラをクォーツロックしています。
さらに、スタビライザーやオプション・ターンテーブルシートなどの併用も考慮し、ターンテーブル上に乗せられる負荷に応じてサーボ時定数の切換えスイッチを設置しています。
モーター支点(ターンテーブルの回転支点)とアーム支点を明確化するため、メカニカルショート構造を採用しています。
アームの支点とモーター軸をARCB材で固定し、同時にDLモーターシステムもダイレクトに固定することで、トランスファエラー(変換ロス)を大幅に減少させています。
アームパイプとメインウェイトをブチルゴムでカップリングする質量分離方式トーンアームを採用し、カートリッジに伝わる分割振動を低減しています。
カートリッジは別売りでした。
機種の定格
型式 | クォーツPLLオートアップDDターンテーブル |
<フォノモーター部> | |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
モーター | クォーツPLL、コアレス&スロットレス 3相スイッチング・プレーンドライブ、DCサーボ |
起動トルク | 1.2kg・cm |
ターンテーブル | 33cm、1.9kgアルミ合金ダイキャスト |
慣性モーメント | 450kg・cm2(ゴムシート含む) |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
ワウ・フラッター | 0.006%(FG直読法) |
SN比 | 78dB(DIN-B) |
定常負荷特性 | 0%(針圧120gまで) |
起動特性 | 3秒 |
回転数偏差 | ±0.003%以内 |
時間ドリフト | 0.0005%/h以下 |
温度ドリフト | 0.00005%/℃以下 |
電源電圧特性 | 0%(±10V) |
<トーンアーム部> | |
型式 | スタティックバランスS字型パイプアーム質量分離方式 |
アーム実効長 | 245mm |
オーバーハング | 15mm |
トラッキングエラー | +1.8゜~-1.0゜ |
針圧可変範囲 | 0~3.0g(0.1gステップ) |
適用カートリッジ重量 | 2~12g(付属シェル使用時) |
<総合> | |
付属機構 | 無接点オプティカル検出オートリフトアップ機構 スタティック型アンチスケーティング機構 独立キューイング機構 トーンアーム高さ調節機構(可変範囲6mm) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 18W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅490x高さ155x奥行448mm |
重量 | 11.5kg |