TRIO KP-700
¥64,000(1981年頃)
解説
トリオ独自の慣性ロックとクォーツロックをベースに、さらに高次元で安定化移転をつきつめたプレイヤーシステム。
キャビネットの重心とモーターの回転軸を一致させるのを徹底するため、共振周波数の異なる2つの材質、パーチクルボードと6mm厚の鉄板を圧着する2層の高剛性キャビネットを採用しています。
キャビネット全体のバランスを考えて鉄材の形状を決定しているため、キャビネットの重心をモーターの回転軸上に持ってくることに成功し、安定した回転を得ています。
また、DCモーターで宿命的なモーターのコギングと呼ばれる機械的なトルク変化(リップル)により、回転方向に対する反作用がキャビネットに与えていた悪影響を抑えるため、水平方向に動きにくいインシュレーターを使うなど、回転精度を向上させています。
モーターは電流をトルクに変換するコンバーターとし、重量級ターンテーブルを扱うためモーターの変換効率をあげる必要があると考え、8極6コイル構造の3相スイッチング・プレーンドライブ・モーターを採用しています。
設置されている全コイル、全ローターを常時使用しているためトルクリップルが少なく、高効率を実現しています。これにより、帰還ループ内のアンプのゲインが少なくてすみ、ドリフトなどの影響をほとんど無くすことが可能になっています。
また、センターシャフトには硬質ステンレス製の10φのものを採用し450kg・cm2の大慣性モーメント・ターンテーブルを安定してドライブしています。
450kg・cm2の大慣性ターンテーブルを使用し、慣性でロックすると同時にクォーツでロックし、レコード針を針先でトレースする実演奏時の回転ムラを発生させないように抑えています。
クォーツ発振子の基準信号と、モーターの速度検出信号を比較して位相差制御するクォーツPLL方式を採用しています。
回転数検出にはマグネットローターの磁束密度の変化によって発電するFGコイルを用い、速度制御系にはIC内部にデジタルメモリーをもつ新開発ICを採用しています。
従来のサンプル&ホールド方式と違い、コイルや抵抗を使用しないことで温度特性や安定性が向上しています。
トーンアーム軸に取り付けられたミラーに向かってLEDから光を投射し、戻って来た光をフォトリフレクターで受け、角速度を検出するオートアップ機構を採用しています。
機械的な接触点や磁石などを使用しないため、内部トランスなどの影響も受けず、正確で静かなオートアップ動作をします。
またオートアップ後、約4秒間ターンテーブルは回転を続けるため、針先を保護しています。
カートリッジは付属していません。
機種の定格
型式 | クォーツPLLオートアップDDターンテーブル |
<フォノモーター部> | |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
モーター | クォーツPLL、コアレス&スロットレス 3相スイッチング・プレーンドライブ、DCサーボ |
起動トルク | 1.5kg・cm |
ターンテーブル | 33cm、1.9kg |
慣性モーメント | 450kg・cm2(ゴムシート含む) |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
ワウ・フラッター | 0.025%(WRMS)以下 |
SN比 | 62dB(JIS) 75dB(DIN-B) |
定常負荷特性 | 0%(針圧120gまで) |
起動特性 | 2.2秒(33・1/3回転) |
回転数偏差 | ±0.003%以内 |
時間ドリフト | 0.0005%/h以下 |
温度ドリフト | 0.00005%/℃以下 |
電源電圧特性 | 0%(±10V) |
<トーンアーム部> | |
型式 | スタティックバランスS字型パイプアーム質量分離方式 |
アーム実効長 | 245mm |
オーバーハング | 15mm |
トラッキングエラー | +1.8゜~-1.0゜ |
針圧可変範囲 | 0~3.0g(0.1gステップ) |
適用カートリッジ重量 | 2~12g(付属シェル12g使用時) |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 14W |
外形寸法 | 幅490x高さ173x奥行409mm |
重量 | 13.8kg |