オーディオの足跡

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L-A1の画像
 解説 

90年代の新たな標準機を目指し、新Lシリーズの第一弾として発表されたインテグレーテッドアンプ。

アンプの初段増幅部には同相成分ノイズを低減したSuper C4回路を搭載しています。
一般的に初段には差動増幅回路が用いられ、電源回路からのノイズを差動動作で打ち消していますが、Super C4では、打ち消すのではなく混入させないという積極的な動作で信号成分のみの差動増幅動作を実現し、同相成分除去率(CMRR)極めて高くしています。さらに増幅トランジスタが常に一定のPc(コレクタ損失)を確保でき、素子内部を理想的な動作状態に保つことが出来ます。
また、この回路基板はノイズ発生源となるパワーアンプの出力段及び電源回路から完全にアイソレートするために、ボリューム直近に配置し、信号の混変調やS/Nの劣化を抑えています。

出力段にはQuadrive Multiple Final Stageを採用しています。
従来の機種では、ファイナルトランジスタの数が複数段並列配置されていた高級機でも、直前のドライバー段の構成はシングル接続で構成されており、全体のヘッドルームが制限されていました。
クアドライブ・マルチプル・ファイナルステージでは、ファイナルトランジスタそれぞれに専用ドライバーを備えることにより、各トランジスタの負担を分散し、ドライバー段の直線性を向上させ、全体の余裕度を上げています。これにより低インピーダンススピーカーの駆動能力を改善しています。
さらに、大電力を扱うファイナル段と、小電力を扱うドライバー段の基板をヒートシンク表裏に分離することで、各ステージのラジエーションに注意を払っています。
プリドライバー段、ドライバー段はA級動作となっており、スイッチング歪の発生を抑え、熱的安定を図っています。

ボリュームには完全シールド型超低インピーダンス抵抗体回転式ボリュームを採用しており、摺動子が回転され円盤状の抵抗体が回転することで接点の数を減らし、高音質化を図っています。
インピーダンスは通常の1/100に相当する1kΩとし、熱雑音を1/10に抑えています。さらに、ボリューム及び周辺回路を分割気室フレーム内に納め、パワーアンプ出力部や電源回路、音圧からの影響を排除しています。

ノイズ成分をカットし純粋なエネルギーを増幅回路に供給するため、VIG回路(ボルテージ・インターフェイス・ゲート)を搭載しています。
この回路は増幅器側から見てインピーダンスが低く、逆に電源側から見るとインピーダンスが高く設定されており、電流からの直流エネルギーだけを通してノイズ成分をカットする性質を持っています。
これにより電源のリップルや信号成分、混変調歪成分をカットし、純粋なエネルギー供給を可能にしています。

電源部には450VAの容量を持つ大型タイプのトロイダルトランスと高音質タイプのアルミ電解コンデンサーを採用しています。

イコライザーアンプ部には通常のゲイン切替え方式ではなく、MC・MMそれぞれのカートリッジ特性にマッチしたディスクリートアンプをイコライザーアンプの初段に搭載しています。
高出力・ハイインピーダンスのMM型にはFET素子を、低出力ローインピーダンス型のMC型にはバイポーラ素子をと、異なる特性の専用素子をカスコード接続しています。

筐体は本体フレームや底板を2mm厚底板で構成し、電源部やヒートシンクなどの振動を抑えるのに十分な強度を持たせています。さらに、セレクター・イコライザーアンプパート、電圧増幅電源パート、電力増幅電源パート、ボリューム・Super C4(メインアンプ/初段増幅部)パートの4気室を同じ2mm厚鋼板で分割し、各パートの相互干渉を防ぐとともに剛性を高めています。

リレー制御、電動ボリューム操作等のために制御用マイコンを搭載しています。
これらのクロック制御用デジタル信号がアナログ回路へ回り込み音質劣化を起こすのを防ぐため、専用スモールトランスを設け、さらにマイコンから引出される制御系を全てフォトカプラ(光結合)を使用してアイソレートしています。

プリント基板には高硬度のガラスエポキシ基板を採用しています。
さらに、その基板を鋼鉄製のすたっどを介して2mm厚フレームにリジッド取付けする固定方法を採用し、信頼性を高めてます。

パネルやボリュームノブ、インプットセレクターノブ、キー類は切削材か十分に厚みのある押出し材を使用しており、操作性の向上と高い剛性・信頼性を実現しています。
さらに音圧を最も受けるフロントパネルは5mm厚のアルミ押出し材で仕立てられています。
また、ピンジャックは真鍮削り出しに金メッキを施した高信頼性タイプを採用しています。

アルミ削り出しのボリュームノブには、減衰レベルの指標がついており、微妙なボリューム調整が可能です。
また、微調整レベルを確認しやすい視認性の高いスポット照明がついています。

Input/Rec outセレクターは、大電力を扱う出力段からの電磁結合を抑えたインダクタンス成分を最小にするレイアウト処理が施されており、ピンジャックの近傍に配置し、高性能金接点小型不活性ガス密封型のリレーを使用し伝送ロスを低減しています。またアースには純銅ブスバーを使用しクロストークを徹底して抑え込んでいます。
セレクター部で選択された信号は、最短距離でラインバッファアンプに入力され、低インピーダンスに変換し、その上でボリュームへと入力されます。

通常使用されるインプットセレクターは、ノブ上部の赤色LEDインジケーターで表示されます。
またレックアウトとして機能させる時には、アンバー色に変化し、レックアウトオフ時には全てが消灯します。

バランス入力端子を搭載しています。

リモコンユニットが付属しています。

機種の定格
型式 インテグレーテッドアンプ
定格出力(20Hz~20kHz、両ch動作、THD 0.005%) 100W+100W(8Ω)
全高調波歪率(20Hz~20kHz) 0.005%(8Ω、100W)
周波数特性 3Hz~100kHz
SN比(IHF-A) Phono MM:92dB
Phono MC:78dB
Line1、2、3:110dB
Balanced:95dB
入力感度/インピーダンス Phono MM:2.5mV/47kΩ
Phono MC:0.2mV/100Ω
Line1、2、3:200mV/33kΩ
Balanced:200mV/30kΩ
Phono最大許容入力(1kHz、THD 0.03%) MM:150mV
MC:12mV
出力レベル/インピーダンス Tape rec:200mV/430Ω
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力(電気用品取締法) 280W
電源コンセント 電源スイッチ連動:2系統、200W
電源スイッチ非連動:1系統、100W
最大外形寸法 幅476x高さ163x奥行469mm
重量 27.6kg
付属 ワイヤレスリモコン