TRIO L-07MII
¥120,000(1台、1979年頃)
解説
スピーカーシステムのそぐ側に置く事を前提に設計されたパワーアンプ。
回路をきわめて単純化し、信号は入力端子から最短の経路をとおって出力端子に供給しています。また電源部を信号増幅部から離して設計し、信号系への影響を極小に抑えています。
電圧増幅段は温度ドリフトの少ないデュアルFETを使用した差動3段の前段直結ICL・OCL・DCアンプを採用。CMRR(同相分除去比)を大きくとり、DC安定度を向上させています。
また電流増幅段はEBTを使用した2段ダーリントンのトリプルプッシュプル回路とし、極小の歪率でパワーを確保しています。
電源部は大容量トランスと電源変動に強い18000μFのコンデンサーを2本用いたゆとりある構成とし、大電流で変動の激しいパワー段はできるだけ他の回路と共用を避けることを主眼に設計してあります。
とくにドライブ段以前はすべてA級増幅のため、ドライブ段の電源とは別に高電圧の安定化電源を採用し、ドライブ段の電源変動による干渉を抑えています。
アルミダイキャスト製のチムニー型ヒートシンクを採用。パワートランジスターから発生する熱を、対流効果により効率よく大気中に放射する設計となっています。
使用中の温度上昇はほとんどなく、使用し続けても回路を安定して動作させます。
L-07MIIは、1mのスピーカーコードを使用しスピーカーに接近させてセッティングする方法を採用し、近くのコンセントからAC電源をとり、パワーのON-OFFはコントロールアンプでリモートコントロールできるようにしています。
リモートコントロールは1mAのごくわずかなDC電流をショートするだけで電流ONになる設計となっています。
また、背面スイッチによっても電源のON-OFFは可能です。
信号系に特殊単一金属による高精度被膜抵抗を採用。
低歪率・低雑音のすぐれた特性で、しかも高い安定性を得ています。
使用箇所にあわせて特性の異なった数種の電解コンデンサーを採用。
とくに信号系統に使用されるものはフィルムコンデンサー以上に低歪率をもつ高性能の電解コンデンサーです。
独特の金メッキネジロック式ピンジャックを採用。従来のピンジャックの抜けやすい欠点をカバーしています。
1mの改良型スピーカーコードが付属します。芯線は0.23φ、7芯のより線となっていて、1本1本を発泡ポリエチレンで被い、低容量化しています。
また+側も-側も7組のツイストペア構造として、広帯域にわたってインダクタンスの大幅な減少を実現しています。
パワートランジスタにEBT(エミッターバラストトランジスタ)を採用。エミッターに安定化抵抗を挿入した小電力トランジスタをワンチップに300個集積した構成となっていて従来の150Wクラスのパワートランジスタに比べ、非常に広い安全動作領域とすぐれた高周波特性を実現しています。
機種の定格
型式 | DCモノラルパワーアンプ | ||||||||||||
定格出力(10Hz~100kHz) | 150W(8Ω) | ||||||||||||
全高調波歪率 |
|
||||||||||||
周波数特性 | DC~600kHz +0dB -3dB | ||||||||||||
混変調歪率 (60Hz:7kHz=4:1) |
定格出力時8Ω:0.003% 1/10定格出力時8Ω:0.002% |
||||||||||||
出力帯域幅 | 10Hz~100kHz(IHF歪率0.08%) | ||||||||||||
SN比(IHF-A) | 120dB | ||||||||||||
入力感度/インピーダンス | 1.0V/50kΩ | ||||||||||||
ダンピングファクター |
|
||||||||||||
トランジェントレスポンス | ライズタイム:0.55μs(+1V⇔-1V、+20V⇔-20V、+40V⇔-40V) スルーレート:+170V/μs、;170V/μs |
||||||||||||
定格消費電力 | 190W(電気用品取締法) | ||||||||||||
電源 | 100V、50Hz/60Hz | ||||||||||||
電源コンセント | 電源スイッチ非連動:1個/300W | ||||||||||||
外形寸法 | 幅200x高さ155x奥行390mm | ||||||||||||
重量 | 13kg |