TRIO L-07CII
¥160,000(1979年頃)
解説
スピーカーシステムの近くにあるパワーアンプまで入力信号波形を忠実に伝送するために、10Ω以下の超低インピーダンス出力回路を内蔵したコントロールアンプ。
スピーカーの近くに設置されているパワーアンプまでオーディオケーブルを伸ばして使えるように、出力インピーダンスが10Ω以下のバッファーアンプを内蔵しています。これにより、180PF/mのシールド線を20m接続したとしても、周波数特性は500kHzの超高域でわずか0.1dBしか落ちず、ケーブルでの高域ロスはほとんど問題となりません。
また、このバッファーアンプの性能は、残留雑音に直接関係してくるために、回路構成が練られており、初段カスコード差動増幅、終段はコンプリメンタリープッシュプルでNFBを100%かけた本格増幅回路とし、残留雑音3μV以下の低雑音化を実現しています。
イコライザーアンプには、十分に検討を加えた低歪率・高SN比の回路を開発し、採用しています。
回路構成は初段に極低雑音のFETを用いた高ゲインのカレントミラーつきカスコード差動アンプ。初段のゲインを落とさないために2段目にはエミッターフォロアーを設け、3段目にはカレントミラーつき差動アンプ、終段はピュアコンプリメンタリーSEPPという構成になっています。
低インピーダンスでも低歪率で余裕をもって動作し、大きなダイナミックレンジを確保しています。その結果0.003%と測定限界にせまる低歪率が得られています。
SN比は2.5mVの入力に対して90dB、雑音レベルは入力換算IHF A補正値で約0.079μV、-142dBVとなります。
しかもトランジスターと異なり、入力に使用したFETは接続する信号源インピーダンスにSN比が左右されにくいため、接続するカートリッジを選びません。
L-07CIIでは、MCカートリッジの信号の流れを単純化するために、イコライザーアンプの前にヘッドアンプを挿入する方法をとらず、ワンNFループ内をハイゲインとする本格MCイコライザーアンプをPHONO2ポジションに組み込んでいます。
これによりMCカートリッジの信号経路はPHONO入力→イコライザーアンプと単純化でき、音質も大幅に改善されています。
回路としてはFET入力差動2段として増幅度を安定化し、さらにインピーダンスを下げることでSN比を改善しています。
入力インピーダンスは600Ωとカートリッジの動作条件に近く、しかも信号レベルが下がらない値です。
トーンコントロール回路は、抵抗とコンデンサーをスイッチにより切り替える方式をとり、ワンステップが正確に1.5dBずつ変化するようにしてあります。
トータルの可変範囲は±7.5dB以内に抑えているため、周波数によって信号レベルが大きく変わることなく、低歪を維持できます。
ツマミを中央のフラットポジションにしたときには、コンデンサーなどのCR素子のすべては回路からはずれます。
バッファーアンプは初段がカレントミラーつきカスコード差動回路、終段がコンプリメンタリープッシュプルという構成で、低インピーダンス、低雑音、低歪率設計です。
左右の回路間やその部品どうしの干渉、あるいは配線や回路ループなどの結合によって生じるさまざまなクロストークを徹底的に排除するために、プリント基板の中心線で左右の増幅回路を分割。
この中心線に、また信号の流れにそって、内部で厳重にシールドされたスイッチやボリュームを配置しました。
信号回路用のプリント基板には、高絶縁性・高安定度を要求される測定器などに使われているのと同性能のガラスエポキシ材による両面基板を採用し、温度や湿度変化に起因するさまざまな音質劣化を抑えています。
ボリュームには厚みが均一で、表面の平滑性が0.2μ以下と、きわめて滑らかな新しい抵抗体であるコンダクティブプラスティックを採用。摺動子のある可変抵抗器ながら、内部雑音は一般のPD抵抗よりも低い、きわめて信頼性の高いボリュームです。
イコライザーアンプにはポリプロピレン系の高性能フィルムコンデンサーを使用しています。誘電損失の少ないフィルムを良質の電極箔とともに最適のテンションで巻き、電極箔とリード線をガッチリ接続しています。このため外部振動による影響や自己振動につよく、つねに十分な低歪率を確保してます。
機種の定格
型式 | ステレオコントロールアンプ | ||||||||||||||
入力感度/インピーダンス |
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SN比 |
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出力レベル/出力インピーダンス | Tape Rec:140mV/100Ω Out Put:定格出力1V/10Ω以下 |
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定格負荷 | 50kΩ | ||||||||||||||
最大許容入力(1kHz) | Phono1:450mV Phono2:40mV |
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周波数特性 | Tuner、AUX、Tape:1Hz~3.5MHz +0dB -3dB | ||||||||||||||
RIAA偏差 | Phono1(MM):20Hz~20kHz ±0.2dB Phono2(MC):30Hz~20kHz ±0.2dB |
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全高調波歪率 |
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トーンコントロール | BASS:100Hz±7.5dB TREBLE:10kHz±7.5dB |
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サブソニックフィルター | 18Hz、12dB/oct | ||||||||||||||
チャンネルセパレーション | 100dB(Aux、ショートサーキット) | ||||||||||||||
トランジェントレスポンス ライズタイム |
VR MAX:0.1μS(+0.1V⇔-0.1V、+1V⇔-1V、+2.5V⇔-2.5V) VR -6dB:0.2μS(+0.1V⇔-0.1V、+1V⇔-1V、+2.5V⇔-2.5V) |
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定格消費電力 | 50W(電気用品取締法) | ||||||||||||||
電源 | 100V 50Hz/60Hz | ||||||||||||||
電源コンセント | 電源スイッチ連動:3個/300W 電源スイッチ非連動:1個/100W |
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外形寸法 | 幅480x高さ100x奥行340mm | ||||||||||||||
重量 | 8.2kg |