TOKYO SOUND ST-14/ST-14S
ST-14:¥11,800(1960年代頃?)
ST-14S:¥9,900(1960年代頃?)
解説
NHK及び民放各局の業務用カートリッジやトーンアーム等の指定メーカーであった東京サウンドが、技術と経験を生かして製作した35センチ(14")型のステレオ用トーンアーム。
ST-14とST-14Sではベース部分の形状が異なります。
ST-14はオーバーハングを自由に変更できるスライド方式のベースを採用しています。また、レコード演奏時にアームを昇降させる油圧式(シリコンダンプ)アームリフターが組み込まれています。
ST-14Sはスタンダードタイプとして、3ヶ所の微調整ネジで水平が保てる丸型ベースを採用しています。また、別売りオプションとしてST-14S用のアームリフターとスライドベースがあり、ST-14と同じ機能を持たせることが可能でした。
回転機構にはジャイロジンバル型を採用しています。
回転部分には当時入手できるものの中で最もフリクションの少ないアンギュラーコンタクトミニチュアベアリングを水平と垂直の両方向に使用しています。このベアリングを独特な角度で精密研磨したピボットと組み合わせることによってスムーズな回転動作を得ています。
独特のインサイドフォースキャンセラーを搭載しています。
この機構は針圧による調整が可能となっており、アームのイナーシャに影響されずに無溝のテストレコード面上のどの位置でも針が流れることなく完全なバランスが得られる優れた機構となっています。
また、ラテラルモーメントに対しても実測値と合致するウェイトを取り付けることで完全な状態としています。
ヘッドシェルには厚さ0.8mmの軽合金を使用することで自重を7gにおさえています。
このヘッドシェルのビスの取り付け穴は14mmのスライド式となっており、プラグインッヘッドは欧州規格となっています。
また、別売りでヘッドシェル単体でも販売されました。
付属のサブウェイトを採用することで重量が大きいカートリッジにも対応しています。
高い耐久性を実現するため、材質の吟味や工作の高制度化を図っており、従来製品の部品の流用を避けて全て高基準の新設計のもを使用しています。
機種の定格
型式 | トーンアーム |
全長 | 332.5mm |
有効長 | 237mm |
オーバーハング | 14mm |
トラッキングエラー | +1.5゜、-1.0゜ |
オフセット・アングル | 20゜ |
針圧 | 0~3g(0.5gステップ) |
使用カートリッジ重量 | 4g~14g 9g~17g(アダプターウェイト使用時) |
パイプ | S型軽合金製 |
ヘッドシェル | 軽合金製、7g |
ヘッド・コネクター | 欧州規格(4Pコネクター) |
リフター | シリコンダンプ式(ST-14のみ) |
降下速度 | 10mm sec-1(針先、ST-14のみ) |
ストローク | 22mm(針先、ST-14のみ) |
付属品 | ベースベッドとめ木ねじx4(ST-14Sは3個) ベースベッドとめナットx4(ST-14Sは3個) ベースベッドとめビスx4(ST-14Sは3個) ベースベッドとめワッシャーx4(ST-14Sは3個) アームレストベースとめネジx1 アームレストベースとめビスx1 アームレストベースとめワッシャーx1 ヘッドビス(ジュラルミン製)x2 ヘッドビス用ワッシャーx2(テフロン製) 取付けゲージ |
別売 | ST-14S用アームリフター AL-4(¥1,500) ST-14S用スライドベース B-4(¥1,000) ヘッドシェル Type-L(¥1,000) |