TOKYO SOUND Valve300
¥180,000(2000年頃)
解説
P.A.T回路を採用した真空管プリメインアンプ。
Valve300は高感度ビーム管である6L6をプッシュプルで使用しています。
ビーム五極管を単にプッシュプルで動作させただけでは出力の増大は図れても音楽の自然な美しさを再現することが困難でしたが、東京サウンドではP.A.T回路によってパワーとシングル並の自然な美しさを両立させています。
五極管(ビーム五極管)の弱点を改善するため、P.A.T(Positive Alternating Turn)回路を搭載しています。
従来のアンプでは五極管の弱点を改善するために五極管の三極管接続やウルトラリニア接続、あるいはカソードフィードバック等の方法が採用されていました。Valve300に採用されたP.A.T.回路は従来のそれらの方式とは異なる方式で、五極管プッシュプルの弱点(音の曖昧さや不透明さ、高域の粗さ等)を改善しています。さらに、P.A.T.回路は真空管の内部抵抗を低下させるため三極管的な動作状態となり、低域の押し出し感や弾力感も高めています。
P.A.T.回路の概要は下図を参考にして下さい。
五極管(またはビーム五極管)V1/V2のSGに対して直流的には+B2のDC電圧を抵抗AA'を介して固定化して供給しています。それに対して交流的にはOPTのP1から抵抗B'を介してV2のSGに、P2から抵抗Bを介してV1のSGに交流信号を通し、さらにコンデンサーC/C'を抵抗A/A'に並列に付加しています。
V1/V2のSGには対極PからBを経由して軽度のポジティブ・フィードバックがかかり、CGと同相となります。これは交流的にはCGとSGを結合したような状態となり、出力的にはわずかに減少するものの球の内部抵抗が下がるため、三極管的な動作状態となります。加えてCC'をAA'に付加する事によって中高域が滑らかになり、低音も豊かになります。なお、AA'抵抗を通して+b2からSGに電源を供給することによってSGをDC的に固定化し、本機能を成立させています。
金メッキ黄銅削り出し製ピンジャックや太いスピーカーケ-ブルに対応する大型ターミナル、音響用ボリューム、音響用コンデンサー、黄銅削り出しツマミなど、高級機に相応しいパーツを採用しています。
また、AC入力には3Pインレット型を採用しています。
独自のHojunコントロール回路を搭載しており、音質の調整が可能です。
この回路はバイパススイッチによってソースダイレクトにすることも可能です。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力 | 35W+35W |
周波数特性 | 5Hz~50kHz |
定格入力 | 500mV |
入力インピーダンス | 100kΩ/250kΩ(Hojun Bypass) |
残留雑音 | 0.6mV以内 |
コントロール | Select(1、2、3) Tape Monitor(Monitor、off) Volume Hojun(On、Bypass) Hojun Power(On、Off) |
使用真空管 | 6L6GCx4 12AT7x4 |
外形寸法 | 幅430x高さ170x奥行き295mm |
重量 | 16kg |