Threshold T800DG
¥1,550,000(1996年頃)
解説
電源部の徹底した強化によってIGBTの性能を引き出したステレオパワーアンプ。
電源部には1,250VAという巨大なカスタムメイドトロイダルトランスを採用しています。さらに大容量335,000μFのコンデンサを搭載すると共にパラレルでバイパスされたポリプロピレンコンデンサを配置することで高域レスポンス向上を図っています。
また、左右チャンネル別個にアイソレートしたコンデンサーと整流計を設けることで明確なチャンネルセパレーション獲得を図っています。
アンプ部は入力から出力まで全てのステージをバランス構成とし、J-FETを差動バランスペアとして使用したバランス動作によって増幅しています。これによって偶数次高調波歪を排除すると共に優れてコモンモードリジェクションを実現しています。
フロントエンド信号増幅部は特定のアクティブ素子を1種類だけ使用する事によって生じる制約を避けるため、J-FETとバイポーラの両トランジスタを組み合わせており、それぞれの役割分担を明確化し、相互に補完しあうようタンデムで動作させる構造となっています。
また、独自の電源コンデンサーを設ける事でメイン電源にノイズや電圧変動があっても変わらない安定性を持って動作するように配慮されています。
伝送特性の最適化や温度特性の安定化を図るためコンピューターグレードの金メッキピンアッセンブリを用いて出力段に接続しており、バイアス回路、出力段とダイレクトカップリングする事で信号リニアリティとダイナミズムの向上を図っています。
このフロントエンド基板にも独立電源を備えており、主電源とは別のトランスタップを設けてアクティブレギュレーションを徹底しています。これにより通常のクラスA設計では免れなかったプリクリッピングや加熱といった問題の無いクラスA動作を実現しています。
使用されている素子は一つ一つ入念にテストし、厳密なハンドマッチングを経て実装しています。
出力素子には入念なハンドマッチングを経たIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を採用しています。この素子はMOS-FETとバイポーラトランジスタの持つハイスピード、ハイカレント、低出力インピーダンスといったメリットを組み合わせた素子で、動的な条件におけるリニアリティに優れ、ソリッドステート素子としては異例なほどのスムーズで余裕ある再現性を持っています。
このIGBTをチャンネルあたり28個使用し、贅沢かつシンプルな構成としています。
T800DGはDCカップリングアンプで、負荷の影響を受けずに電圧・電流供給を行うことができ、低域の不安定性を補正するためのキャパシターカップリングやサーボ回路は採用していません。
大型の出力メーターを搭載しています。
このメーターは出力レベルを表示するよう調整されており、感度はリアパネルのスイッチにて切換が可能です。
また、メーター部の輝度は希望に応じて明るめの設定にもできるようになっていました。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
定格出力(連続、両チャンネルドライブ時) | 200W+200W(8Ω、20Hz~20kHz) 400W+400W(4Ω、20Hz~20kHz) |
入力インピーダンス | アンバランスド:50kΩ バランス:2kΩ |
全高調波歪率 | 0.02%以下 |
周波数特性 | DC~100kHz |
再生帯域幅 | 2Hz~100kHz |
ゲイン | 27dB |
出力段 | マッチドIGBT(200W/25A)、各チャンネル28個 |
電流供給能力 | 連続20A/ch |
保護回路 | 過電流時:レールヒューズ 加熱時:温度センサーにより動作OFF レールヒューズ遮断時:各チャンネル・ミューティング |
入力端子 | アンバランスド:カスタムメイド金メッキRCA バランスド:ノイトリック製XLRコネクター |
出力端子 | 2系統、金メッキ仕上げ(バイワイヤリング接続対応) |
信号極性 | 非反転 |
電源部 | 1,250VAトロイダルトランス |
消費電力 | 600W |
最大外形寸法 | 幅468x高さ239x奥行675mm |
重量 | 50kg |