Threshold STASIS1
1979年発売
¥1,790,000(1台、1981年頃)
解説
ステイシス・コンセプトに基づくアンプの最上級機として開発されたモノラルパワーアンプ。
回路構成にはスレッショルド独自のステイシス回路を採用しています。
ステイシス回路は、トランジスタを実質的に一定電流、一定電圧で駆動することでNFBに頼らずに素子の非直線性を取り除くという考え方で設計されています。
ステイシス回路は電圧増幅段と負荷とのアイソレーターとしてのパワーステージで構成されており、電圧検出回路からステイシス回路に送られた信号によって入力信号に等しい電流供給を行うことで、パワーステージにおけるリニアリティを向上しています。
このステイシス回路は電流源として働くカレントミラー出力の非直線性を打ち消すだけの動作しかしていないため、実質的に一定電流、一定電圧のステイシス・コンディションを維持することが可能となっています。このコントロールを行うためにステイシス回路の出力はカレントミラー出力に比較して非常に低いインピーダンスに設定されています。
ステイシス回路では供給電流がコントロールされているため、PCリミッターを持たずにトランジスタ保護が可能となってます。これにより一般的なアンプでPCリミッターが働くことで発生するクリップが発生せず、音質劣化を防いでいます。
また、オーバーオールのNFBをかけていないため、スピーカーの逆起電力による影響も取り除かれています。
STASIS1では72個ものパワートランジスタを使用しています。
使用されている全てトランジスタは1つ1つノイズの測定とカーブトレーサーによるゲイン、直線性、及び電圧降下特性の測定が行われています。さらに、出力トランジスタにおいては回路が必要とする電圧の1.5倍の電圧で安定した動作ができるかテストまでされています。
内部配線は全て手作業で行われており、機械力による場合に起こりがちな部品の急激な温度変化を防いでいます。
機種の定格
型式 | モノラルパワーアンプ |
定格出力 | 200W(20Hz~20kHz、8Ω) |
高調波歪率 | 0.1%以下(定格出力時) |
混変調歪率 | 0.1%以下 |
周波数特性 | 0.5Hz~100kHz -3dB(290W出力時) 20Hz~20kHz ±0.1dB(200W出力時) |
群遅延特性 | 1.5μsec |
スルーレイト | 50V/μsec |
出力電流供給能力 | 30A(瞬間最大出力電流) 10A(連続最大出力電流) |
最大出力電圧スイング | 116V(ピークtoピーク) |
入力インピーダンス | 75kΩ |
利得 | 26.6dB(200W出力時、入力電圧1.86V) |
ライズタイム | 3μsec |
ダンピングファクター | 100以上(DC~20kHz) |
S/N比 | 106dB(補正無し) 140dB(10Hzフィルター使用) |
負荷インピーダンス | 4Ω以上 |
外形寸法 | 幅480x高さ242x奥行496mm |
重量 | 48kg |