
THORENS Prestige
1983年発売
アームレス:¥1,600,000(1989年頃)
TP997w/Lift+SME3012R Goldw/Lift:価格不明(1989年頃)
TP997w/Lift+SME3012Rw/Lift:¥1,935,000(1989年頃)
TP997w/Lift+ブランクボード:¥1,800,000(1989年頃)
SME3012R Goldw/Lift+ブランクボード:価格不明(1989年頃)
SME3012Rw/Lift+ブランクボード:¥1,755,000(1989年頃)
解説
トーレンス設立100周年に発表された最高峰のプレイヤーシステム。
プレステージは2本のロング/ショートアームを搭載する事が可能ですが、オリジナルシステムとしてアームレスシステムの他に5種類のアームバリエーションが用意されていました。
音楽再生にとって有害な外部からの振動をシャットアウトするため、フローティングサスペンション方式を採用しています。
この方式では、ターンテーブルとそれを受けるシャフト及び軸受け、さらにアームベースも一体化したサブシャーシを、本体のメインシャーシからフローティングさせた構造となっています。これにより、音楽信号に影響を及ぼす周波数帯の外部振動をことごとく吸収・ダンプしています。
駆動方式にはベルトドライブ方式を採用しています。
ベルトドライブ方式は、ダイレクトドライブ方式で問題となるモーター本体のノッキングや振動、ひねりがダンプされ、ターンテーブルに直接伝わるのが防げます。また、小トルクの静かなモーターで慣性質量の大きいターンテーブルを駆動できるというメリットも持っています。
さらに、フローティングサスペンション方式を採用した際に予想されるモーターとターンテーブルとの間の位相誤差をベルトの弾性によって補償できるという特徴も持っています。
ターンテーブル部には二重ターンテーブル構造を採用しています。
この方式では、ターンテーブル全体が1つの共振周波数を持った巨大な楽器になるのを防止するため、メインターンテーブルのさらに内側に径の小さなベルト駆動用サブターンテーブルを抱き合わせた構造となっています。これによりメインとサブの2つのターンテーブルの共振を分割共振の原理で互いに打ち消させダンプしています。しかも、この径の小さなサブターンテーブルとモーターをつなぐことで、偏差を少なくしています。
ダンプ材として、アイアングレインをアームベース内部とアルミ亜鉛合金製ターンテーブルの外周24ヶ所に充填しています。
これにより、ターンテーブルの重量は7.9kgにも達しています。
ターンテーブルを支えるシャフトには直径15mm、全長13mmのものを採用しており、オイル一枚がやっとという精密度でベアリングや軸受けと接しています。
また、回転部は鋼板・アルミ厚板・鉛板による3層ダンプ構造のサブシャーシによってしっかりと支えられています。
シンクロナスモーターは、ベースシャーシに固定された特性大型ハウジングにマウントされています。このベースシャーシも鋼板と鉛板を抱き合わせたダンプ構造となっており、振動に強い設計となっています。
また、操作系エレクトロニクスは全てベースシャーシ上にハウジングされており、プッシュボタン方式のフロントコントロールパネルに直結しています。
クォーツコントロールシステムには、シンクロナスモーター自身の回転数をクォーツロックする方式ではなく、タコジェネレーターによってターンテーブルの実際の回転数を検出して補正する方式を採用しています。これにより、再生時の負荷変動やベルト走行の微妙な変化に伴う回転数変動が起こっても、安定した回転を実現しています。
外観はメタリックグレイのエナメル塗装が施されており、木部にはヨーロピアンオーク材"ウインギー"が使用されています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー |
駆動方式 | ベルトドライブ |
モーター | 二相16極シンクロナスモーター |
回転数 | 33・1/3、45、78rpm |
速度微調整範囲 | ±6% |
ターンテーブル | 直径34cm、重量7.9kg |
回転ムラ | 0.02%(DIN45539) |
外形寸法 | 幅612x高さ280x奥行510mm |
重量 | 58kg |