THIEL CS6
¥1,540,000(2台1組、1996年頃)
解説
THIELが初めて自社開発、自社生産したユニットを搭載したフロア型スピーカーシステム。
全てのユニットには特別製のメタルダイアフラムを採用しています。
ウーファーとミッドレンジのダイアフラムは分厚いシルキーホワイトのアノダイズ処理が施されており、ダイアフラムの分割共振や固有共振を効果的に抑えています。
低域には25cmコーン型ウーファーユニットを搭載しています。
メタルダイアフラムにショートボイスコイル/ロングギャップ設計の50mm径ボイスコイルと単体質量約9kgのマグネットを組み合わせることで優れたドライブ能力と優れたパワーリニアリティを得ています。
低域用に30cm口径の平面型パッシブラジエーターを搭載しています。
中高域には12.7cmコーン型ミッドレンジと2.5cmドーム型ツィーターを組み合わせた同軸型ユニットを搭載しています。
ミッドレンジ部にはCS7で開発されたウェーブガイド方式を継承して搭載しています。
一般的な同軸ユニットでは2つのユニットの音が同じ一点から放射されることで時間軸特性や位相特性が優れているという特長を持っています。しかし、外周側ユニットのダイアフラムのすり鉢形状に起因する回折効果が内周側ユニットの位相特性と周波数レスポンスを見出し、結果として7~10kHz付近にディップを生じさせてしまいます。ウェーブガイドはすり鉢の深さを浅くすることで音質上有害な解説を防止するための装備です。
4ウェイ構成のCS7ではウェーブガイドの材質に軽量で高域反射特性に優れたポリスチレンを使用していました。3ウェイのCS6ではミッドレンジドライバーの受け持ち帯域がCS7に比べて低域側に広く、サイズ的にも大径化されているため、より剛性の高いアルミニウム~ポリスチレン~アルミニウムの三層構造を新たに採用しています。これによりウェーブガイドとしての機能だけでなく、軽質量と高剛性、適切な内部損失という相反する条件をクリアしています。
ツィーター部には7mmの超ロングギャップ設計と0.15mm厚のネオプレン・サスペンションによってツィーターとしては異例の±2mmものピストンモーション長を低歪で達成しています。
また、ボイスコイルのボビンには従来の金属ボビンに代えてカプトン材を採用することで、渦電流によるひずみも排除しています。これにより標準的なツィーターに比べて15dB以上ものダイナミックレンジ向上を実現しています。
ネットワーク部には定評あるシンセサイズド1次クロスオーバーを採用しています。
エンクロージャーのフロントバッフルにはハイブリッド・コンクリートバッフルを採用しています。
このバッフルはスチール&グラスファイバーを混入した高密度コンクリートによる一体成型品で、音質上極めて有害なエネルギー蓄積と不要振動、さらにバッフル周囲の回折現象も低減する独自の形状を採用しています。
ツィーター/ミッドレンジユニットの背面には相互干渉防止用サブバッフルが設けられています。
外観はアンバーウッド仕上げが施されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・2スピーカー・パッシブラジエーター方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:25.0cmコーン型 中高域用:12.7cm同軸型(12.7cmコーン型+2.5cmドーム型) その他:30.0cmパッシブラジエーター |
帯域幅 | 23Hz~22kHz ±3dB |
周波数レスポンス | 19Hz~18kHz ±1.5dB |
フェイズレスポンス | ±10゜以下 |
感度 | 86dB/2.8V/m |
インピーダンス | 4Ω(最小2.2Ω) |
推奨パワーアンプ出力 | 100W~400W |
外形寸法 | 幅330x高さ1,270x奥行475mm |
重量 | 81kg |