
THIEL CS5i
¥2,700,000(2台1組、1994年発売)
解説
THIELのフラッグシップCS5をベースにバージョンアップが施されたスピーカーシステム。
CS5iでは低音系ユニットが全面変更されており、低域の最大出力音圧レベルを+6dB、歪率特性を50%改良した新ユニット3本によってエネルギー感と透明度を向上しています。
CS5iは高度なネットワーク補正を駆使する事で高いダイアフラム剛性を保ちつつピーク成分を除去しており、25Hz~20kHzの範囲にわたって設計上の目標で0.5dB以内、製造上の誤差で1.0dBに抑えられており、出荷全製品について±1.5dB以内という優れた特性を実現しています。
極めて低い歪を実現するため、スピーカーユニットや磁気回路、ネットワークを構成する部品などの全てに検討が加えられています。
低歪を実現するために各ユニットにはダイアフラムの可動幅を例外的に大きく取る手法を採用しており、ツィーターでさえ±1.5mmの広範囲でピストンモーションを実現しています。また、磁気回路に関してはリニアリティを低下させる動的要因を解析し、特殊形状ポールピースやフラックス・スタビライジング・リングなどの技術を採用しています。
CS5iで採用された新開発のウーファーユニットではマグネットの強化やピストンモーション領域の拡大を図っています。また、サブウーファーではセンターマウント方式に改良された新設計のます・ローディングプレートを採用しています。
超低域用として20cmコーン型サブウーファーを2個搭載しています。
振動板には2層式ケブラーコーンを採用しています。
低域用として20cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板にはサブウーファーと同様に2層式ケブラーを採用しています。
中域用として13cmコーン型ミッドレンジを搭載しています。
振動板にはケブラーフォームサンドイッチコーンを採用しています。
中高域用としてメタルダイアフラムを用いた5cmハードドーム型ユニットを搭載しています。
高域用として2.5cmハードドーム型ツィーターを搭載しています。
中高域用ユニットと同様にメタルダイアフラムを採用しています。
ネットワーク部には位相回転の起こらない独自の1次(6dB/oct)ネットワークシステムを採用しています。
この方式では90゜以内に抑えられた各ロール域におけるシフト量と交差する2つのユニットのシフト量を正確に揃える事で、合成された出力のシフト量をゼロにしています。
さらに、各ユニット及びネットワークの受け持ち帯域が極めて広範囲に及ぶため、例外的な広帯域特性を持った特別製パーツを厳選使用しています。例えばコンデンサーには通常のアルミ箔の代わりに銅線を直接ハンダ付けできる銅箔を用いたポリスチレン・コンデンサーなどの特注パーツを採用しています。
エンクロージャーのフロントバッフルにはファイバーボードの5倍の剛性を持つ重量30kgの大理石を使用しており、回折現象を最小限に抑える理想的な形状に成型し、ネットワークによる厳密な時間補正との組み合わせによって400Hz以上の全領域で0.2msec以下という優れた群遅延特性を実現しています。
CS5iの発売に際し、CS5からの有償アップグレードサービスが行われました。
機種の定格
方式 | 5ウェイ・6スピーカー・密閉方式・フロア型 |
使用ユニット | 超低域用:20cm(8")コーン型x2 低域用:20cm(8")コーン型 中域用:13cm(5")コーン型 中高域用:10cm(2")ドーム型 高域用:2.5cm(1")ドーム型 |
帯域幅 | 20Hz~20kHz -3dB |
周波数レスポンス | 25Hz~20kHz ±1.5dB |
フェイズレスポンス | ±7゜以下 |
感度 | 87dB(2.8V・1m) |
インピーダンス | 3Ω(最小2Ω) |
推奨パワーアンプ出力 | 100W~400W |
クロスオーバー周波数 | 70Hz、400Hz、1kHz、3kHz |
外形寸法 | 幅333x高さ1,615x奥行440mm |
重量 | 81.7kg |
その他 | CS5からのCS5iへのアップグレード(2台分、¥260,000) |