THIEL CS3.6
¥720,000(2台1組、1992年発売)
解説
1978年に発表されたモデル03の第6世代にあたる大型フロアタイプスピーカーシステム。
コヒレントソースというトレードマークに象徴される時間的・位相的レスポンスの整合性の完全さを追及して設計しています。
これを実現するため、まず良質なダイナミック型ドライバーを開発しており、THIEL専用の特注品が使用されています。
次に位相回転を起こさない緩やかなクロスオーバー特性(-6dB/oct)を持ち、各ドライバーに対して完全な時間・位相補正が行えるネットワーク回路が必要となります。ここではドライバーや内部配線材までもネットワーク回路の一部と考え、ドライバー個々の特性を考慮したトータルでの厳密な設計およびチューニングを施しています。
低域には10inch(25cm)のコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板には軽質量・高剛性のリジッドアルミニウムダイアフラムを採用しています。
さらに平面型のパッシブラジエーターを組み合わせて搭載しており、バスレフポートを用いた際に発生するポートノイズや共振を排除しています。
中域には4.5inch(10.1cm)コーン型ミッドレンジを搭載しています。
振動板には2層構造ダイアフラムを採用しており、分割振動やエネルギー蓄積を防ぎ、音の透明度を向上させています。
また、磁気回路にはショートコイル/ロングギャップ磁気回路を採用しており、低歪率と高ダイナミックレンジを実現しています。さらにフラックススタビライジングリングによって動作時における磁界強度を気につかし、磁気回路のリニアリティを高めています。
高域には1inch(2.5cm)ハードドーム型ツィーターを搭載しています。
振動板にはメタルドームダイアフラムを採用しています。また、独自のショートコイル/ロングギャップ設計によってツィーターとしては驚異的な±1.5mmの可動範囲を実現しています。
全てのユニットにはマグネシウムフレームを採用しており、高い剛性を得ています。
ネットワーク部には一次(-6dB/oct)スロープのクロスオーバーネットワークを採用しています。
構成部品には特注品のポリスチレンコンデンサーや無酸素銅線、空芯インダクターなどを厳選して採用しており、歪間の少ない再生を実現しています。
エンクロージャーにはパッシブラジエーターによる密閉構造を採用しています。
フロントバッフルには回折現象を防止するラウンドエッジを採用しています。また、各ユニットとリスナーとの距離が均一化するようテーパーが付けられています。
板厚はフロントバッフルに3インチ、その他部分に1インチのものが使用されており、内部に充分な補強材を用いることで不要共振を抑えています。
外観はアンバーウッド仕上げが施されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・パッシブラジエーター方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:25.4cmコーン型 中域用:10.1cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型 その他:パッシブラジエーター |
帯域幅 | 27Hz~22kHz -3dB |
周波数レスポンス | 29Hz~20kHz ±1.5dB |
フェイズレスポンス | ±10゜以下 |
感度 | 86dB/2.8V/m |
インピーダンス | 4Ω(最小3Ω) |
推奨パワーアンプ出力 | 100W~500W |
外形寸法 | 幅318x高さ1,232x奥行432mm |
重量 | 48.6kg |