THIEL CS2.3
¥680,000(2台1組、1998年3月発売)
解説
ティールの20年に及ぶ技術的研鑽の成果を結集したフロア型スピーカーシステム。
CS2.3には完全自社開発・自社生産のユニットを採用しています。
低域には8インチ(20cm)コーン型ウーファーを搭載しています。
振動板には高い剛性と低いエネルギー蓄積とを兼ね備えたメタルダイアフラムを採用しています。また、独自のショートコイル/ロングギャップ磁気回路の採用により、大振幅時の歪を低減しています。
さらに低域用には9インチ(23cm)口径の平面型パッシブラジエーターを搭載しており、システム全体としての再生限界を35Hz(-3dB)まで拡大しています。また、一般的なバスレフ型では宿命とされていたポートノイズの発生も根本的に排除しています。
中高域には3.5インチ(9cm)同軸型ユニットを搭載しています。
このユニットは1インチ口径のドーム型ツィーターと3.5インチ口径のコーン型ミッドレンジを一体化した構成となっており、それぞれに高剛性で分割共振が少ない特別製のアルミニウムダイアフラムを採用しています。
このユニットはひとつのボイスコイルでツィーターとミッドレンジをドライブするユニークな構造となっています。2つのダイアフラムをカップリングサスペンションで結合することでメカニカルクロスオーバーとしての機能を発揮し、位相回転や周波数レスポンスの乱れの原因となっていたツィーター~ミッドレンジ間のエレクトロニッククロスオーバーを排除しています。
さらに駆動部には正確で均一なピストンモーションが得られるショートコイル/ロングギャップ磁気回路を搭載しています。
ネットワーク部はミッドレンジ~ウーファー間のみの2ウェイ構成を実現しています。また、コヒレントソースデザインを追求しており、再生音における時間的・位相的レスポンスの完全な整合を通して忠実な原音再生を実現することを目指して設計されています。
ウーファー~ミッドレンジ間をディバイドする1次ネットワークはクロスオーバーする2つのドライバーのシフト量を揃えることでこれを相互にキャンセルさせ、位相回転の無い合成出力を得るよう設計されています。
エンクロージャーは新世代ティールの基本コンストラクションを継承した設計となっており、エネルギー蓄積が最も発生しやすいフロントバッフルには3インチ厚、それ以外の部分には1インチ厚のMDF材を周到な補強構造によって組み上げた構造となっています。また、表面に吟味された天然木による突き板仕上げを施すことで最少のエネルギー蓄積と自然な響きの両立を図っています。
設計としては3次元テーパード・フロントバッフルとユニット配列、そしてネットワーク上での時間補正によって高精度なタイム・ステップレスポンスを実現しています。
外観の仕上げは3種類あり、バーズアイメープル仕上げ、アンバーウッド仕上げ、ブラックアッシュ仕上げが選択できました。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・2スピーカー・パッシブラジエーター方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:8inchコーン型 中高域用:3.5inch同軸型 中域用:3.5inchコーン型 高域用:1inchドーム型 パッシブラジエーター:9inch平面型 |
帯域幅 | 35Hz~23kHz -3dB |
周波数レスポンス | 37Hz~20kHz ±2dB |
フェイズレスポンス | ±5゜以下 |
感度 | 87dB/2.8V/1m |
インピーダンス | 4Ω(最小3Ω) |
推奨パワーアンプ出力 | 100W~400W |
外形寸法 | 幅280x高さ1,054x奥行381mm |
重量 | 32.0kg |