Technics SB-8
¥100,000(1台、1981年頃)
解説
デジタルオーディオ時代に対応する音響変換器を目指し、ハニカム平面振動板などの独自技術を投入したブックシェルフ型スピーカーシステム。
各スピーカーユニットの振動板には、軽くて剛性の高いハニカム平面振動板を採用しています。
この振動板は、コーン型スピーカーのコーン前面のくぼみで発生する空気の共振(前室効果)を解消しつつ正確なピストンモーションを得るため、アルミニウム合金を素材とするハニカム構造体を用いた平面構造となっており、剛性は紙コーンの1000倍~1500倍を実現し、大入力時の変形による歪発生や、経年変化・温度変化などによる特性劣化がありません。
また、平面振動板の中心を駆動した際に、ある特定の周波数で全く動かない部分(=節)が発生してしまうのを解消するため、節となる点にボイスコイルをつないでドライブする節ドライブを採用しています。さらに、この時問題となる振動板の形状や周波数によって異なる節の表れ方に対処するため、ハニカムの密度が中心部に向かうほど高くなる独自の軸対称ハニカムを開発し、左右の強度差を解消することで節を真円にさせ、一つの円形ボイスコイルでの節ドライブを可能にしています。
低域には32cmハニカム平面型ウーファーを搭載しています。
このユニットには直径156mmの大口径マグネットを採用し、さらにポリイミド系ボイスコイルボビン及びポリアミド系融着コイルを採用することで250℃にも耐える高耐入力設計となっています。
また、キャビネットへの取り付けはゴムリングを介して行い、振動の伝達を防いでいます。
中域には8cmハニカム平面型スコーカーを搭載しています。
独自の節ドライブにより、10kHzまでピストンモーション可能なユニットを3.5kHzでクロスさせており、ハニカム平面の利点を十分に生かし、固有のカラーレーションを排除しています。
また、ボイスコイルボビンにはポリイミドフィルムを採用することで高耐熱・高耐入力化を図っています。
高域には2.8cmハニカム平面型トゥイーターを搭載しています。
ギャップ内に磁性流体を充填し、さらにボイスコイルボビンには樹脂含浸のものを採用することで、高耐入力を実現しています。また、ユニット前面には特殊形状のイコライザを搭載しています。
ネットワーク部には、低域用・高域用に基板を分割したネットワークを採用しており、チョークコイルなどの相互干渉を防止してユニット間のクロストークを最小限に抑えています。また、ウーファー直列のチョークコイルには高能率・低歪の自己融着線を使用しており、トゥイーター回路には高域特性に優れたメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを採用しています。
トゥイーターには過大入力や以上信号によるユニット破壊を防ぐサーマルリレー保護回路を搭載しています。
エンクロージャーにはリアルウッド板張りの5面仕上げエンクロージャーを採用しています。
容積は72Lで、コンピューターを導入した有限要素法による振動解析で効果的な補強を施し、不要振動を低減しています。また、木組みには三方Z止めを採用しており、経年変化による狂いを抑えています。
また、バスレフポートにはエンクロージャー内の定在波を漏出させない一体成型の特殊形状ポートを採用しています。さらに、内面を平滑仕上げとし、ポート内空気移動時の摩擦ロスを減少させています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:32cm平面型 中域用:8cm平面型 高域用:2.8cm平面型 |
周波数特性 | 36Hz~35kHz -10dB |
出力音圧レベル | 94dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω |
許容入力 | 150W(Music) 100W(Din) |
クロスオーバー周波数 | 1.2kHz、3.5kHz |
外形寸法 | 幅402x高さ711x奥行372mm |
重量 | 27.0kg |