解説　

ハニカム平面振動板を採用した2ウェイスピーカーシステム。

各スピーカーユニットの振動板には、軽くて剛性の高いハニカム平面振動板を採用しています。
この振動板は、コーン型スピーカーのコーン前面のくぼみで発生する空気の共振(前室効果)を解消しつつ正確なピストンモーションを得るため、アルミニウム合金を素材とするハニカム構造体を用いた平面構造となっており、剛性は紙コーンの1000倍～1500倍を実現し、大入力時の変形による歪発生や、経年変化・温度変化などによる特性劣化がありません。
また、平面振動板の中心を駆動した際に、ある特定の周波数で全く動かない部分(＝節)が発生してしまうのを解消するため、節となる点にボイスコイルをつないでドライブする節ドライブを採用しています。さらに、この時問題となる振動板の形状や周波数によって異なる節の表れ方に対処するため、ハニカムの密度が中心部に向かうほど高くなる独自の軸対称ハニカムを開発し、左右の強度差を解消することで節を真円にさせ、一つの円形ボイスコイルでの節ドライブを可能にしています。

低域には22cmハニカム平面型ウーファーを搭載しています。
このユニットには従来の25cmクラスに匹敵する直径120mm、重量640gの大型マグネットを採用し、高能率を実現しています。また、ボイスコイルには32mmの大型ボイスコイルを採用し、さらにボイスコイルボビンは高温時にも変形の少ないポリイミド系樹脂積層フィルムを採用することで、250℃という高温に耐える高耐入力を実現しています。
エッジにはローリング(ふらつき)に強いモルトプレンエッジを採用し、大入力時のリニアリティを向上させています。

高域には2.8cmハニカム平面型トゥイーターを搭載しています。
トゥイーターの磁気回路には磁束密度17,500gaussのマグネットを採用しています。これは大型マグネットに加え、ポールピースを円錐状にして時期飽和を防ぐ等の独自の工夫がされたもので、高能率化を図っています。
さらにトゥイーター前面に特殊形状イコライザを装備し、周波数特性をよりフラットにするとともに能率向上を図っています。
また、ボイスコイルとポールピース、ヨークの隙間(磁気ギャップ)に磁性流体を充填し、ボイスコイルで発生した熱を磁性流体を介してポールピースなど熱容量の大きなものに逃がし、放熱効果を向上させています。

ネットワークには、ハニカム平面ユニットの性能を発揮させるため、性能、信頼性の点で吟味した素子を採用しており、チョークコイルのコアには低ロス、低歪のフェライトコアを採用しています。また、ユニット間クロストークを最小限に抑えるために部品配置に配慮がされています。
また、トゥイーターには過大入力や異常信号によるユニット破壊を未然に防ぐ、サーマルリレー保護回路を搭載しています。この保護回路はリアパネルのリセットボタンを押せばワンタッチで復帰します。

エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しており、バスレフポートにはエンクロージャー内の定在波を出さないため、一体成型の特殊形状ポートを採用しています。さらに、内面を平滑仕上げとし、ポート内空気移動時の摩擦ロスを減少させています。
また、バッフル板には18mm、その他の部分は15mm厚の硬質パーチクルボードを採用し、さらにコンピューターを導入した有限要素法による振動解析で効果的な補強を施し、不要振動を低減しています。さらに、木組みには高度な木工技術による三方Z止めを採用し、経年変化による狂いを防いでいます。

機種の定格

方式	2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
ユニット	低域用:22cm平面型 高域用:2.8cm平面型
周波数特性	55Hz～35kHz -10dB
出力音圧レベル	92dB/W/m
インピーダンス	8Ω
許容入力	90W(Music) 60W(Din)
クロスオーバー周波数	2kHz
外形寸法	幅270x高さ440x奥行238mm
重量	8.5kg