オーディオの足跡

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SL-QL1の画像
 解説 

テクニクスの電子技術を投入し、性能と機能を追及したリニアトラッキングプレイヤー。

リニアトラッキングアームは、針先がレコード盤を直線移動するため、歪発生の原因となるトラッキングエラーや、チャンネル間アンバランスの原因となるインサイドフォースを極めて0に近くできるメリットを持っています。
SL-QL1は上部キャビネット内側に、コンパクトな高精度リニアトラッキングトーンアームを搭載しており、正確な動作によって優れた針先のトラッカビリティを獲得しています。

リニアトラッキングアームの走行条件となるアーム偏角はカートリッジの移動に伴って発生します。
SL-QL1の偏角検出機構には、オプティカルセンサ(光学式非接触検出)とマイクロコンピューター制御を駆使し、高い走行精度を得ています。軸受部での検出とは異なり、カートリッジ針先近くで偏角検出を行うため、カートリッジの音溝追従性を理想的ともいえる状態でコントロールしており、トラッキングエラー角は±0.1゜以内、インサイドフォースもほぼ0に近い値を得ており、高い走行精度を実現しています。
さらにアーム走行駆動用モータには、回転精度が極めて高く、サーボに対する応答性に優れたDCモーターを採用しています。また、アーム走行は摩擦係数の極めて小さいスライド軸受けとし、ボールベアリングやローラの採用などに起因する不要振動の無い、静かで滑らかなアーム走行を実現しています。

SL-QL1のトーンアームには独自のダイナミックバランス方式を採用しています。これはアーム回転軸の中心に重心位置が一致する独自の方式で、厳密な水平調整や針圧調整などが不要となり、安定しバランスのとれたレコード演奏を可能にしています。

アーム軸受構造にはピボットとボールベアリングによる4点支持方式の高感度ジンバルサスペンション軸受構造を採用し、水平・垂直とも高い初動感度を得ています。
また、アームはカートリッジまで含めて、実効質量わずか9gのローマス設計となっており、ジンバルサスペンション軸受構造と相まってレコードのソリやウネリなどに対しても安定したとレース性能を実現しています。

カートリッジにはテクニクス独自のピュアボロンパイプカンチレバーを採用したMMカートリッジを標準装備しています。
現存する元素中で比弾性率が極めて大きい純粋ボロンのみで精製したピュアボロンパイプカンチレバーの採用により、振動子の軽実効質量化を図り、高域共振周波数を可聴域外へ追いやっています。
また、磁気回路に多層オールラミネートコアを採用することで高域減衰を極小に抑えてます。また、エネルギーの大きいサマリウムコバルトマグネットの採用や振動支点が明確に一点化するワンポイントサスペンションなどにより、広帯域・低歪再生と優れたトレース性能を実現しています。

トーンアームへの結合は、独自のプラグインコネクタ方式を採用しています。
このプラグインタイプでは、設計段階から共振ピークを12Hzに設定し、より理想的なトレース性能を得ています。また、リード線結合によるカートリッジ端子とアーム端子の接触不良や結合ミスを解消し、端子が外に露出しないため、性能劣化も少なく、結合部の信頼性を高めています。さらに、固定ネジでロックするため、結合部の不完全さや部分共振を防止しています。
SL-QL1では、MC型交換カートリッジ310MCやP-205Cmk3の使用も可能です。

駆動部にはモーターのローターをターンテーブルと一体化した独自の一体構造D.D.を採用し、メカニカルな精度を追求しています。
モーターには、SN比の向上とワウ・フラッターの低減が図れる電流制御全波駆動方式の平面対向形スロットレスD.D.モーターを採用しています。この方式は位置検出用ホール素子の性能のバラツキによる性能劣化が起らず回転性能を向上させています。また、スロットレス化によるトルク効率低下を防止するため、コイルを2層に配した独自のコイル構造を採用しており、分割コイル6個分の働きに相当する効率の高い設計となっています。
さらに、テクニクス独自の全周検出F.G.や電子回路技術により優れた精度の回転性能を実現するクォーツ制御などにより高い回転性能を実現しています。

SL-QL1には4ビットワンチップマイクロコンピューターであるMN1400を搭載しています。このMN1400では電源on/offを除いた全てのオートマチック動作を行っています。また、マイクロコンピューターはフルオート機構のみでなく、クォーツD.D.モーターの制御、アーム駆動用モーターの制御、キャビネット開閉の検出にも使用されています。

全ての操作を4つのキーに集約したシンプルな電子制御フルオート機構を搭載しています。
レコードをセットし、スタートキーを押す事で、回転数やレコードサイズを自動検出し設定します。また、演奏終了後はアームが自動的にアームレストに戻り、ターンテーブルは停止します。
また、回転数はレコードサイズに関係なく設定でき、このマニュアル回転数設定は、ダストカバーを開けると解除されます。
レコードがセットされていない場合は、スタートキーを押しても機能が動作せず、誤作動を防ぎます。

スタートキーとストップキーには、トーンアームを前後進させ、レコード途中曲の頭出しができるサーチ機能を持たせています。

繰り返し演奏を楽しむために、リピートキーを搭載しています。
解除する場合は、ストップキーを押すと、リピート解除とともにアームが戻り、ターンテーブルが停止します。

アームのup/downはキューイングキーで操作できます。
リレーと遅延回路を用いたミューティング機能を搭載しているため、針先がレコード盤面に触れる瞬間と離れる瞬間に気になるノイズを解消しています。

キャビネットは上部・下部ともに精密アルミダイカスト製で、底ベースには振動吸収性に優れたTNRCを採用しています。
さらに、外部振動対策として、ゴムとスプリングを組合わせたインシュレーターを採用しています。

シルバーのほかにブラックカラーのモデルもありました。

機種の定格
型式 クォーツDDリニアトラッキングフルオートプレイヤー
<ターンテーブル部>
駆動方式 ダイレクトドライブ
駆動モーター ブラシレスDCモーター
制御方式 クォーツPLL
ターンテーブル アルミダイカスト製、直径31.2cm
回転数 33・1/3、45rpm
オートセレクト(マニュアル可)
ワウ・フラッター 0.012%W.R.M.S.(JIS C5521、回転部のみ)
0.025%W.R.M.S.(JIS C5521)
±0.035%Weighted zero to peak(IEC98A weighted)
SN比 78dB DIN-B(IEC98A weighted)
56dB DIN-A(IEC98A unweighted)
<トーンアーム部>
形式 ダイナミックバランス型リニアトラッキングアーム
ジンバルサスペンション軸受構造
アーム実効長 105mm
トラッキングエラー角 ±0.1゜以内
アーム実効質量 9g(カートリッジ含む)
アーム共振周波数 12Hz
アーム駆動モーター DCモーター
<カートリッジ部>
形式 プラグインコネクタMM型ステレオカートリッジ
方式 ワンポイントサスペンション方式
カンチレバー ピュアボロンパイプカンチレバー
磁気回路 オールラミネートコア
マグネット サマリウムコバルト(Sm-Co)
周波数特性 10Hz~50kHz
20Hz~35kHz ±3dB
20Hz~10kHz ±1dB
出力電圧 2.5mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、水平速度)
3.5mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、45゜速度)
チャンネルセパレーション 22dB以上(1kHz)
チャンネルバランス 1.8dB以内(1kHz)
コンプライアンス 12x10-6cm/dyne(100Hz)
推奨負荷抵抗 47kΩ~100kΩ
針圧範囲 1.25±0.25g
振動子実効質量 0.29mg
針先 0.3x0.7mil楕円ダイヤ針
自重 6g
交換針 EPS-202ED(¥10,000)
<総合>
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 16W
外形寸法 幅430x高さ88x奥行350mm
重量 7kg