Technics SL-6
¥54,800(1982年頃)
解説
10曲までの任意のプログラム自動選曲機能を搭載したジャケットサイズのリニアトラッキングDDプレイヤー。
基本操作の全てを電子コントロール化しており、レコード演奏に関する全ての動作を電子制御フルオート化しています。これにより回転数の設定から針の上げ降ろしに至るまで、全ての操作がレコードをセットしスタートボタンを押すだけで完了します。
10曲プログラム自動選曲機構を搭載しています。
キャビネット前面に、1から10までのプログラムボタンを装備し、ボタンを押した順序に応じて10曲まで自動的に選曲を行います。ボタンを押すとその上のLEDが点灯し、プログラムを容易に確認できます。
また、演奏中は曲番表示のLEDが点滅し、何曲目が演奏中かを知らせます。また、レコードの曲数を自動的に読み取るため、編集されている曲数以上のボタンを誤って押してもプログラムしない設計となっています。
スタートボタンを押す前であれば自由にプログラムの変更が可能で、プログラム演奏開始後、ストップクリアボタンを押せばプログラムは全て解除しアームはオートリターンします。なお、プログラムボタンを押さずにスタートボタンを押せば、レコードの最初から演奏開始します。
リピートボタンを押す事で、プログラムした曲順でそのまま繰り返し演奏することが可能です。リピート機構作動時はLEDが点灯し、リピートボタンを再び押せばリピートが解除されます。
プログラミングした曲を演奏中、その曲を最初から聴きたくなった場合などに、プログラムボタンのLEDが点灯している間にそのボタンをもう一度押す事で、その曲の頭に戻ります。
指定曲間サーチを搭載しており、プログラムした曲の演奏中に、その曲の音溝の範囲でアームを少し進める/戻す場合に、スタートボタンあるいはストップボタンをお質杖kルことで、指定曲の音溝の範囲でアームの前後進コントロールが可能です。
レコードの曲間検出にはオプティカルセンサを採用しており、アームと同期して移動し、センサが検出した無音溝部に正確にアームを降下させます。
アームには独自のダイナミックバランス形リニアトラッキングアームを採用しており、カッティングマシンと同様にレコード面を直線移動するため、歪発生の原因となるトラッキングエラーやチャンネル間アンバランスの原因となるインサイドフォースを極小値に抑制できています。
アームの走行には、回転精度が高いDCモーターを使用しており、これをマイクロコンピューターで電子制御しています。さらにアーム偏角検出には、カートリッジの針先近くで行う独自のオプティカルセンサを採用しており、カートリッジを理想的な状態でコントロールしています。
アーム回転軸の中心に重心位置が一致する独自のダイナミックバランス方式を採用しており、厳密な水平調整や針圧調整なしで、常に安定したトレース性能を実現しています。
また、精密ギアを組合わせたアーム昇降機構によりスムーズな動作を実現しており、内蔵したミューティング機構によって、針先がレコード面にふれるときや離れる時に起こるノイズを解消しています。
アーム軸受けはピボットとボールベアリングによる4点支持方式の高感度ジンバルサスペンション構造となっており、水平・垂直ともに高い初動感度を得ています。さらにアームはカートリッジまで含めた実効質量が9gというローマス設計になっており、レコードのソリやウネリに対しても安定した音溝追従性を実現しています。
カートリッジには、磁気回路の全てを高域減衰の少ない多層ラミネートコアとしたMM型カートリッジを採用しています。発電系の高性能化に加え、テクニクスの技術による振動系の性能控除により、広帯域再生を可能にしています。
カートリッジには、交換の容易なプラグインコネクタ方式を採用しており、針圧設定が不要となっています。
また、取付精度の向上やカートリッジとトーンアームの最適マッチングを実現しています。
駆動系にはモーターのローターをターンテーブルと一体化した独自の一体構造DDを採用しており、ターンテーブルを含めたメカニカルな精度を追求しています。
モーターにはSN比の向上とワウフラッタの低減が図れる2相全波駆動方式の平面対向形スロットレスモーターを採用しており、位置検出用ホール素子の特性バラツキによる性能劣化をなくし、回転精度を向上させています。
さらに、回転数検出部には独自の全周検出FGを採用し、より高度な検出信号を得ています。
キャビネットは、上部及び下部、そして底ベース全てを、振動吸収性に優れた独自の音響素材TNRC(Technics
Non-Resonance Compound)で構成しており、音圧を受け難いコンパクトな構造と相まって、耐振性と耐共振性を高めています。
45rpmアダプタは、ターンテーブルのスピンドル周囲に内蔵しています。
別売りのジャケットサイズデッキRS-7との併用により、シンクロ録音が可能です。
機種の定格
型式 | DDフルオートプレイヤーシステム |
<ターンテーブル部> | |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
駆動モーター | ブラシレスDCモーター |
ターンテーブル | アルミダイカスト製、直径30cm |
回転数 | 33・1/3、45rpm オートセレクト(マニュアル可) |
ワウ・フラッター | 0.012%W.R.M.S.(JIS C5521、回転部のみ) 0.025%W.R.M.S.(JIS C5521) ±0.035%Weighted zero to peak(DIN 45507、IEC98A weighted) |
SN比 | 78dB DIN-B(IEC98A weighted) 56dB DIN-A(IEC98A unweighted) |
<トーンアーム部> | |
形式 | ダイナミックバランス型リニアトラッキングアーム ジンバルサスペンション軸受構造 |
アーム実効長 | 105mm |
トラッキングエラー角 | ±0.1゜以内 |
アーム実効質量 | 9g(カートリッジ含む) |
アーム共振周波数 | 12Hz |
アーム駆動モーター | DCモーター |
<カートリッジ部> | |
形式 | プラグインコネクタMM型ステレオカートリッジ |
磁気回路 | オールラミネートコア |
周波数特性 | 10Hz~30kHz 20Hz~10kHz ±1dB |
出力電圧 | 2.5mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、水平速度) 3.5mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、45゜速度) |
チャンネルセパレーション | 22dB以上(1kHz) |
チャンネルバランス | 2dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 12x10-6cm/dyne(100Hz) |
推奨負荷抵抗 | 47kΩ~100kΩ |
針圧範囲 | 1.25±0.25g |
針先 | ダイヤ針 |
自重 | 6g |
交換針 | EPS-24CS(¥2,800) |
<総合> | |
ファンクション | オートスタート・アーム前進コントロールボタン オートストップ・アーム後退コントロールボタン キューイングボタン リピートボタン 10曲プログラムボタン 回転数切換(33・1/3・AUTO・45)ボタン アーム走行位置確認用ダイアルスケール MM型カートリッジ |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 6W |
外形寸法 | 幅315x高さ88x奥行315mm |
重量 | 4.6kg |
備考 | 透明なレコード、JIS規格以外の大きさのレコード ソリの大きいレコード等は正常な自動演奏ができないため、 マニュアル演奏になります。 |