Technics EPC-205Cmk3
¥30,000(1979年頃)
解説
新開発のブリッジヨーク構造を採用したシェル一体形MM型カートリッジ。
振動系にヨーク部をもつ構造の新開発ブリッジヨーク構造を採用することで軽実効質量を実現しています。
カンチレバーにはピュアボロンカンチレバーを採用しています。
ピュアボロンカンチレバーは、現存する元素中で比弾性率が最も大きいボロンを特殊製法によってパイプ状に精製することで軽量高強度を実現しています。
さらに針先チップ取り付け用のチップマウントホール加工にレーザービームを使用して精度を追求し、これにより極小の振動子実効質量を得、高域共振周波数を可聴域外に追いやっています。
鏡面研磨HPFコアをポールピースやヨークなどの全ての磁性材料に使用することで優れた伝送特性を得ています。
また、HPF磁気回路において左右チャンネルを完全分離・対称配列を実現することで、諸特性のチャンネル間のアンバランスを低減しています。
振動子磁石にはサマリウム・コバルト磁石を採用しています。
低インピーダンス・ローノイズ設計によってカートリッジに接続される負荷抵抗や容量の影響を防止しています。
ワンポイントサスペンション方式を採用しており、カンチレバーの根元に円盤状マグネットを置き、これを同じく円盤状ダンパーを介してサスペンションワイヤで支持パイプに取り付けています。これにより支点はマグネットのすぐ後ろで明確に一点化し、カンチレバーの前後変化による混変調歪の発生や、針先からみた等価質量の増加による高域特性の劣化を防いでいます。
ダンパー材にはTTDD(Technics Temperature Defense Damper)を採用しており、従来用いられていたブチル系ゴムの温度変化による周波数特性の変化やトレース性能の劣化を改善しています。
TTDDは、温度依存性がブチルゴムの約1/3以下でしかも優れた粘弾性を持ち、カンチレバーの支持性能に優れたダンパー材となっています。このため、室内の温度変化や低温時のトレース性能の悪化を抑え、安定した再生能力を発揮しています。
機種の定格
型式 | MM型カートリッジ |
磁気回路 | 全磁気回路に鏡面研磨のHPFコア採用 |
カンチレバー | ピュアボロンパイプ |
ダンパー | TTDD(Technics Temperature Defense Damper) |
マグネット | サマリウムコバルト(Sm-Co)(BH)max30MG・Oe |
周波数特性 | 15Hz~60kHz ±3dB 20Hz~15kHz ±0.5dB |
温度特性(5℃~35℃) | ±0.5dB(10kHz、20℃基準) ±2dB(20kHz、20℃基準) |
出力電圧 | 2.0mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、水平速度) 2.8mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、45゜速度) |
チャンネルセパレーション | 25dB以上(1kHz) 20dB以上(10kHz) |
チャンネルバランス | 0.7dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 12x10-6cm/dyne(100Hz) |
直流抵抗 | 500Ω |
インダクタンス | 240mH |
インピーダンス | 1.6kΩ(1kHz) |
推奨負荷抵抗 | 47kΩ |
推奨負荷容量 | 200pF以下 |
針先 | 0.2x0.7mil楕円針 0.1mm角ブロックダイヤ |
振動子実効質量 | 0.149mg |
針圧範囲 | 1.25g±0.25g |
取付 | シェル一体構造 |
オーバーハング調整範囲 | 52±3mm(針先からシェル取付基準面までの距離) |
カートリッジ傾斜角調整範囲 | 左右±2゜ |
自重 | 15.5g(シェル一体形) |
交換針 | EPS-205ED3(¥15,000) |
付属 | 実測チャート |