Technics EPC-100Cmk2
¥65,000(1979年頃)
解説
ピュアボロンパイプカンチレバーを採用したMM型カートリッジ。
カンチレバーにはピュアボロンカンチレバーを採用しています。これは、現存する元素中で比弾性率が最も大きいボロンのみで成形したもので、しかも無垢棒を作る事自体難しいこの素材を、特殊製法によってパイプ状に精製することで、軽量高強度を実現しています。さらに針先チップ取り付け用のチップマウントホール加工にレーザービームを使用して精度を追求し、これにより極小の振動子実効質量を得、高域共振周波数を可聴域外に追いやっています。
テクニクスが開発したTTDD(Technics Temperature Defence Damper)を採用しています。これは、一般的に用いられてきたブチル系ゴムに比べ、温度依存性を約1/3に改善しており、しかも優れた粘弾性を持ち、カンチレバーの支持性能に優れたダンパー材となっています。これにより、室内の温度変化による音質変化やトレース性能の劣化が殆どありません。
磁気回路には鏡面研磨HPFコアをポールピースやヨークなど全ての磁性材料に使用することで、優れた伝送特性を得ています。
また、HPF磁気回路において左右チャンネルを完全分離し、対称配列を実現することで、諸特性のチャンネル間のアンバランスを低減しています。
ワンポイントサスペンション方式を採用しており、カンチレバーの根元に円盤状マグネットを置き、これを同じく円盤状ダンパーを介してサスペンションワイヤで支持パイプに取り付けています。
これにより支点はマグネットのすぐ後ろで明確に一点化し、カンチレバーの前後変化による混変調歪の発生や、針先からみた等価質量の増加による高域特性の劣化を防いでいます。
低インダクタンス設計を採用することで、付加の影響を抑えて高性能を発揮しています。
また、直流抵抗も極めて小さく設計することで、アンプ入力段での抵抗成分による雑音が少なく、高SN比を獲得しています。
機種の定格
型式 | MM型カートリッジ |
磁気回路 | 全磁気回路に鏡面研磨のHPFコア採用 |
カンチレバー | ピュアボロンパイプ |
ダンパー | TTDD(Technics Temperature Defense Damper) |
マグネット | Sm-Co(BH)max 30MG・Oe |
周波数特性 | 20Hz~15kHz ±0.3dB |
周波数範囲 | 10Hz~60kHz |
温度特性(5℃~35℃) | ±1dB(10kHz) ±3dB(20kHz、1kHz基準) |
出力電圧 | 1.3mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、水平速度) 1.8mV(1kHz、5cm/sec、zero to peak、45゜速度) |
チャンネルセパレーション | 25dB以上(1kHz) 20dB以上(10kHz) |
チャンネルバランス | 0.5dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 12x10-6cm/dyne(100Hz) |
直流抵抗 | 30Ω |
インダクタンス | 33mH |
インピーダンス | 210Ω(1kHz) |
推奨負荷抵抗 | 10kΩ~1MΩ |
推奨負荷容量 | 500pF以下 |
針先 | シェル一体構造(マグネシウム合金使用) |
振動子実効質量 | 0.23mg |
針圧範囲 | 1.25g±0.25g |
取付 | シェル一体構造(マグネシウム合金使用) |
オーバーハング調節範囲 | 52±3mm(針先からシェル取付基準面までの距離) |
カートリッジ傾斜角 | 左右±2゜ |
スタイラスガード | ボタン操作による自動復帰ロック機構付 |
自重 | 18.3g |
交換針 | EPS-100ED2(¥25,000) EPS-100ED、EPS-101EDも使用可能 |
付属 | 実測チャート テストレコード |