Technics SU-V5
¥54,800(1981年頃)
解説
スイッチング歪、クロスオーバー歪を解消するシンクロバイアス回路、理論値歪ゼロを実現したリニアフィードバック回路、電磁輻射による高域歪発生を事実上解消したコンセントレーテッドパワーブロックの3つの根幹からなるニュークラスA方式採用のプリメインアンプ。
リニアフィードバック回路は、NFBループ内に無限大の増幅を可能にするよう、独立した帰還回路を形成し、理論値歪=0、素子や電源の影響の無いピュアゲイン、逆起電力や線材の影響の無いスピーカー駆動という、理想的な動作を理論的に実現しています。
テクニクス独自のシンクロバイアス回路によりスイッチング歪を解消しています。
通常、高効率を得るためにB級、AB級動作で交互に休止する+側−側各出力トランジスタに、休止サイクルに同期して一定バイアスを供給することで出力段を常に能動状態に保ち、出力段の休止に起因するスイッチング歪を解消しています。
さらに信号経路とバイアス電流経路を独立させているため、出力段は常に適切な動作点をキープでき、理想的な二乗特性を持つ高速応答ダイオードの働きとも相まって、クロスオーバー歪も解消しています。
出力段、電源部など大電流を扱うセクションからの電磁輻射が原因で、高域歪が発生するのを防ぐため、大電流を扱うブロックを一体化したコンセントレーテッド・パワーブロックを採用しています。これにより電磁波の悪影響を根本から断ち切っています。
フォノイコライザ初段にローノイズFETによる差動増幅器を採用しています。MM・MCとも入力コンデンサを追放したICLイコライザとしているため、動作モードをストレートDCにした時、フォノ入力からスピーカー端子までの間には、カップリングコンデンサは一つ(イコライザの出力コンデンサ)というシンプルな回路構成を実現しています。
さらに、フォノイコライザ次段に高ゲインIC(100dB以上)を採用し、極めて低雑音のFETの採用と相まってMM⇔MCのゲイン切換方式を実現しています。
中点ディフィートのトーンコントロールを採用しています。
さらに、ストレートDC/via toneの切換えが可能なオペレーションスイッチを搭載しています。
InputやRecoutの各セレクタスイッチにはリモートアクションスイッチを採用し、合理的なプリント基板設計やシールド線などの引き回しの削減、スイッチの電気的に適切な位置への設置を可能にしています。
純電子式の保護回路を搭載しており、スピーカー端子にDC成分が発生する場合にはリレーでスピーカーを切離します。また、スピーカー端子のショートや異常な低インピーダンス負荷となった場合のアンプ保護にも動作します。
ハイフィルタやサブソニックフィルタを搭載しています。
機種の定格
| 型式 | インテグレーテッドDCアンプ |
| <Tuner、Aux→SP out総合特性> | |
| 実効出力(20Hz~20kHz) | 60W+60W(8Ω、0.005%) |
| 全高調波歪率 | 0.005%(定格出力-3dB、20Hz~20kHz) |
| 出力帯域幅(THD 0.02%) | 5Hz~50kHz |
| TIM | 測定不能 |
| 残留雑音 | 0.5mV |
| ダンピングファクター(8Ω) | 40 |
| 負荷インピーダンス | main or remote:8Ω~16Ω |
| <その他特性> | |
| 入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:170μV/220Ω Tuner、Aux、Tape:150mV/22kΩ |
| Phono周波数特性 | 20Hz~20kHz、RIAA ±0.5dB |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.2dB 2Hz~120kHz +0 -3dB |
| SN比(IHF-A) | Phono MM:86dB Phono MC:68dB(250μV入力) Tuner、Aux、Tape:100dB |
| トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(20kHz) |
| サブソニックフィルター | 30Hz、-6dB/oct |
| ハイフィルター | 7kHz、-6dB/oct |
| ラウドネスコントロール | +9dB(50Hz、Volume -30dB) |
| <総合> | |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 110W |
| 外形寸法 | 幅430x高さ97x奥行310mm |
| 重量 | 7.4kg |