Panasonic SU-MA10
¥107,000(1989年11月発売)
解説
D.D.D.を採用したツインモノラル構成のデジタルストレートアンプ。
D.D.D.(デジタル・ダイレクトドライブ)方式を採用しています。
この方式では、従来のDACを搭載しただけのアンプとは異なり、DACの出力信号を必要な音量レベルの電圧まで大きくとることで、アナログソースの増幅経路を全く介さずに増幅度1(0dB)のパワーアンプに直結しています。これにより、DAC部の出力電圧=スピーカー端子電圧としており、優れた伝送特性を実現しています。
また、0dBパワーアンプを安定して動作させるため、テクニクス独自のclassAAとフローティング電源を組み合わせて採用しており、パワーアンプ部のS/N比140dBを実現しています。
D.D.D.では通常のボリュームコントロールが行えないため、DAC出力部に電圧可変手段として高耐圧I/V変換器を搭載しており、その変換比率を変化することで出力電圧を可変し、音量を調整しています。
D/A変換部にはMASH1ビットDACを採用しています。
MASHでは、16ビットの入力データを、デジタルフィルタでオーバーサンプリングしたあとにノイズシェーピングすることで、可聴周波数帯域での再量子化ノイズを低減しています。また、原理的にゼロクロス歪などの非直線歪が発生しないPWM方式によって非常に高い精度のD/A変換を可能にしており、大レベル信号の歪成分に埋もれがちであった微小信号の再生能力を高めています。
DAC内蔵アンプで問題となるデジタル伝送経路でのジッター歪を低減するため、独自のデジタルインターフェースレシーバーを搭載しています。この回路では、極めて高い発振精度を持つクォーツを用いたVCXO方式を採用することでジッター歪を低減しています。
また、2個のVCOによる2PLL方式も搭載することで2モード・2PLL方式としており、CDプレイヤーなどの高い発振精度を持つソースではVCXO方式、発振精度の低いソースでは2PLL方式を自動的に選択しています。
電源部には300VAの大容量トランスを左右独立で搭載しています。このトランスは通常より約30%低い磁束密度で使用しており、機械振動と磁気輻射を極小に抑えています。
また、電解コンデンサには新開発のX-Proツインキャパシタを採用しています。このコンデンサは+側と−側の電源用の2個の電解コンデンサを銅キャップ付きの樹脂ケース内に封じており、振動吸収材をつめることによって機械的振動と電磁輻射を低減ししています。
パワーアンプ部は左右が独立したツインモノラル構成としています。さらにプリアンプ部とデジタル部を厳重にシールドしたT型構成とすることで、パワーアンプ部の大電流からの電磁波による左右チャンネル間の相互干渉を極小化し、終段の0dBアンプへのノイズ混入を防いでいます。
光2系統と同軸2系統のデジタル入力に加え、4系統のアナログ入力を搭載しています。
機種の定格
型式 | デジタルストレートアンプ |
<パワーアンプ部> | |
実効出力 | 100W+100W(6Ω、20Hz~20kHz、T.H.D 0.007%) |
全高調波歪率 | 0.003%(20Hz~20kHz -3dB、8Ω) |
ダンピングファクター | 110(8Ω) 55(4Ω) |
<プリアンプ部> | |
周波数特性 | tuner、aux1/2、tape、DAT:0.8Hz~120kHz +0 -3dB 20Hz~20kHz +0 -0.2dB |
入力感度/インピーダンス | tuner、aux1、tape、DAT:150mV/100kΩ aux2:150mV/22kΩ |
S/N比 | tuner、aux1/2、tape、DAT:105dB(IHF'66) |
<デジタル部> | |
全高調波歪率 | 0.005%以下(EIAJ) |
周波数特性 | 2Hz~20kHz ±0.3dB |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 250W |
外形寸法 | 幅430x高さ186x奥行433mm |
重量 | 25.0kg |